短歌研究社の「短歌年鑑」に五首首えらばれた「短歌」に寄稿した六首からのもの。いずれも「相聞」だった。
・汝(なれ)はいま大人の表情見せたりき紫式部のいろ淡き日に
・舗道(しきみち)を踏みしめ歩く真昼間に奈美の言葉を思いいずるも
・夜の道に吹き寄せられし落葉踏み乾ける音が夜道に響く
・わが心すさんでいるのがありありと会話の中にあらわれ悲し
・氷雨降る駅のホームに汝(なれ)を待つ別離を告ぐる言葉さがして
【奈美という女性と過ごした数週間。これが恋人とは限らない。知人・友人でもありうる。知り人へのいたわりや思いを表現するのが「相聞」だ。】