定型詩の意をふまえて 今号も会員の健詠ぶりに驚いた。気になった一点。短歌は「現代の定型詩」であるので、不自然で、必要性のない句またがりや、一首まとめて31音で済ますものはいかがなものかと思う。さて作品批評。・無人の家に紫陽花が咲く歌・漁港の片隅に捨てられた秋刀魚の歌・花を濡らす雨の歌・鳴きしきる蝉の歌・心を鎮める歌 抒情の深きものを5首選んだ。一首目。情景を詠んでいるのだが心理的な作品。目の付け . . . 本文を読む
叙情の深さと感覚の鋭さ 戦争が始まった。私などショックが大きく、新作がほとんど詠めなくなってしまったのだが、会員諸氏の健詠ぶりに驚かされた。・(思いを文字に書きゆく歌)・(小舟のような心の歌) 境涯詠をまず2首。生きて来れば、忸怩たる思いのいくつかはあるだろう。それを愚痴でなく作品化したがよい。1首目の下の句の言い切りと、2首目の上の句の比喩が効いている。・(風に気配を感じる歌)・(梅の実がかす . . . 本文を読む
抒情とは何か 「短歌は詩である。端的に言えば抒情詩である。」佐藤佐太郎の残した言葉だが、人間の生活の中に抒情がある。今号はそれを感じさせる作品が多かった。 ・除雪する歌 「諦観」は仏教用語。「悟りを開いてものを見る。」の意。上の句のリフレインに切迫感があるが、雪国で生活する者として、悟っているのだろうか。諦めていないところに人間としての強みがある。 ・雪の降る街の歌 雪の降る中で足早に家へと向かう . . . 本文を読む
歌それぞれ選歌と批評文を書く場合、作品の中に琴線に触れるものを選び、それに合った批評文を書く。それに見合うタイトルをつけて。今回はこれで選ぼうと決めているわけではない。 ・川岸の蘭草の歌 ・街路樹剪定の歌 ・キノコの傘の雨粒の歌 叙景歌を3首。心に響く景が顕ってくる。この欄で書いたがことがあるが、目に見えるものを表現できずに心理詠はおぼつかない。作歌につまずいたら叙景歌に徹するのも一つの方法。 ・ . . . 本文を読む
星座α26号:作品批評。 人間を詠う ・真夜中に電話のコールがとまる歌 ハットさせられる歌である。作者の心も騒だったに違いない。その一瞬を上手くすくい上げた。・故郷の料理を作る歌 コロナによる自粛、家籠り、天候不順と続けば気も晴れぬ。そういう時はなつかしくき味を楽しみたいもの。・水のように雲のような心を持ちたいという歌 境涯詠である。愚痴でないのが良い。「短歌は詠嘆の詩形」と . . . 本文を読む
星座α25号・作品批評:茂吉と佐太郎の歌論に学んで実感のある歌を 詩と事実報告は何処が違うか。それは抒情(喜怒哀楽)の実感があるかどうか、実感が深ければ、それだけ深い歌になる。感想文ではなくなるのだ。 今号は、一人7首を目途に選歌したが、粒ぞろいの作者の場合は8首選んだ。・(冬の福寿草の歌) 初句の比喩が効いている。朝露の光る朝を思わせて、福寿草が咲いている。実景が見えるようだ。 ・( . . . 本文を読む
「星座α」24号・作品批評 人間を詠む(抒情詩の一つの視点として)今号も収録する歌数にバラツキが出てしまった。前号は乱調気味と感じたからだが、今回は作品の豊かさゆえである。・(母が幼子を詠う歌) 今号は、この作者の作品に注目した。母となった作者が、子どもの成長に驚き、心を打たれている。その愛情は溢れるばかりだ。作品批評にない歌も是非読んで頂きたい。・(母が子どもを詠う歌)・(母が娘が身 . . . 本文を読む
星座α23号が刊行されました。選者としての作品批評です。 【今だから心を落ち着かせて】 今回の詠草を一読してやや乱調気味か、と感じた。秀作がある一方で、毎号よい作品を出詠していた作者作品が軽くなっていたり、日常報告的になっていたり。それ故、選んだ歌数にバラツキが出てしまった。添削を希望しない作者の作品にも手を入れた。ご了承願いたい。 乱調はコロナで生活が落ち着かないせいかと思うが、こう . . . 本文を読む