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岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

2017年の現代歌人協会の総会

2017年12月15日 12時53分22秒 | 短歌の周辺
6月29日の定期総会。

事業報告があり、会計監査の承認があり、来年度予算の決議があり、理事が改選された。佐佐木理事長が退任。大島新理事長が就任した。また、第62回現代歌人協会賞が発表された。受賞者は、鳥居。歌集「キリンの子」が受賞対象。大阪大学の学生だが、かなり厳しい葛藤が描かれている。

 親戚からの暴力から逃れ、他人の家を点々とし、納屋や屋根裏に追いやられたこともあり、友達も家族もいない、こんな自分でも世界に存在してもいいと、感じた時に、短歌を作りはじめたという。ここには、ゲーム感覚の姿勢はなく、真剣に生きる作者像がみえる。短歌での年収2000万を越えなければ歌人とは言えない、などという、ふざけた態度がない。
 
 大変な葛藤だが、それをしつこくなく表現しているのがいい。受賞の言葉を言う時の作者は涙ぐみ、「何度も死のうと思った」と述べた。僕の娘より年少だ。たまらず、駆け寄って「生まれて無駄な命などないよ」と声をかけた。
 
 懇親会では、何人かと挨拶を交わした。僕の歌集「聲の力」を送った歌人たちだった。

 次に、12月9日の臨時総会と忘年会。総会では監査役を選任し、現代短歌大賞が発表された。現代短歌大賞は永田和宏の全業績が受賞した。前衛短歌を目の当たりにした最後の世代。受賞は当然だろう。

 祝賀会、懇親会では、同じ「星座」に所属する歌人と言葉を交わし、面識のある歌人と挨拶をした。「歩道短歌会」との歌人とは長い時間話をした。自分の作品と表現方法は異なっても、創作上の刺激となっていると話をした。

 大島理事長からは、詩人のアーサービナードの言葉を引用して、日本語が消滅しようとしている。アメリカ言いなりはおかしい。小学生からの英語教育への批判もあった。外来語、カタカナ語の氾濫。これは問題の一側面だが、洋語も日本語の一つと考える。アメリカ言いなりを問題にするには、他の言い方はなかっただろうかと思う。


 今年も稔りの多い総会、懇親会だった。





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