岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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エルサレムは誰のものか

2017年12月08日 01時37分54秒 | 政治経済論・メモ
中東は戦争の火種を抱えている。イスラエルとアラブ諸国の対立だ。第二次世界大戦後、4度に渡る中東戦争があった。ユダヤ人とアラブ人の対立でもある。

 この発端を作ったのがイギリスである。イギリスは第一世界大戦のときに、オスマントルコ帝国を倒すために、アラブ人とユダヤ人の双方に、パレスチナに独立国を作るのを約束した。オスマントルコ帝国の領内のアラブ人とユダヤ人を味方にするためにである。このときのアラブ人への工作に派遣されたのが、「アラビアのロレンス」のロレンス中尉のちの中佐だ。

 そもそも、一つの地域に二つの独立国は無理な話だ。しかし、イギリスは、アラブ人には、フセインマクマホマ協定を、ユダヤ人にはバルフォア宣言を出し空約束をした。
 
 この空約束が遠因となってイギリスは中東から手を引く。第二次世界大戦後にそれに替わったのが、アメリカだ。アメリカは中東の仲介者となった。その頃にはシオニズムという運動があって世界のユダヤ人が十数万人の規模で、パレスチに移住し始めていた。当然、居住するアラブ人との軋轢が生まれる。

 それが最高潮に達したのが、イスラエル建国だ。イスラエルは次々と入植地を作ってアラブ人の土地を奪って行った。これが第一次中東戦争の原因となった。アラブ諸国がイスラエルに反撃したのだ。しかし、イスラエルは勝った。アメリカが強力に後押しし、中東一の軍事大国になっていたからだ。

 アメリカは仲介者として和平の仲立ちをしていた。姿勢はかなりイスラエル寄りだ。イスラエルを中東での影響力行使の手段として利用してきた。

 しかし、オセロ合意のように和平に前向きな役割も果たしてきた。ましてや、エルサレムは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地がある。エルサレムはイスラエルだけのものではない。国際社会はエルサレムを国際管理のもとに置こうという意見が優勢だ。イスラエルはエルサレムを首都としているが、国際社会はそれを許してはいない。

 今回、アメリカ大統領が「エルサレムをイスラエルの首都とする」と宣言したことで、アラブ諸国の反発は避けられまい。エルサレムのアラブ人が受け入れまい。このことが、第5次中東戦争の引き金にならないように願う。集団的自衛権が認められた自衛隊が中東に派遣される可能性もある。

 日本政府はトランプ大統領に翻意を促すべきだろう。

 【参考文献】「パレスチナ」「パレスチナ紛争史」。このブログで紹介しています。



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