ドンキ放火の119番対応、法廷へ 遺族が提訴(朝日新聞) - goo ニュース
3年前、従業員3人が犠牲になったさいたま市の「ドン・キホーテ浦和花月店」で起きた放火事件。その際の119番通報に対する消防局の対応をめぐり、遺
族が市を相手取って損害賠償を求める訴えを起こした。通報があった場合、消防職員は、状況の把握と避難指示をどのように行うべきなのか――。119番の対
応について、全国統一の基準はないといい、そのあり方が法廷で問われることになる。
「1階のどの辺から煙が出てんの?」
「ちょっと分かんないです。すいません。私出ます」
04年12月13日午後8時21分。ドン・キホーテの契約社員だった小石舞さん(当時20)は、しびれを切らしたように119番通報を打ち切った。後ろでは、火災警報音が鳴り響いていた。
訴状によると、小石さんは、焼死した他の2人と消火や客の誘導をしているうちに逃げ遅れた。小石さんが1階ブランド品売り場から通報したのは同19分。消防車が現場に到着したのは同25分という。
遺族側が公開したテープは1分49秒。消防局職員と小石さんとのやりとりが記録されていた。
店の構造や出火元を重ねて尋ねる職員に対し、何度も質問を聞き返す小石さん。2人の会話は雑音に遮られ、かみ合わないまま終わっている。
遺族代理人の猪狩俊郎弁護士は「小石さんに危険が迫っていたにもかかわらず、避難指示や安全確認をしていない。適切な指示があれば、焼死することはなかったのではないか」と指摘する。
遺族は事件後、市消防局幹部らと3度、面会したが、消防側は119番対応に関して「特に問題はなかった」と説明していたという。朝日新聞の取材に対し、市消防局は「通報内容に関しては事実を確認中なので、現時点ではコメントできない」としている。
市消防局によると、119番通報を受けるのは指令担当の職員。初めて指令業務に就く場合、受理の仕方やシステムの操作など1カ月程度の研修を受けるという。
東京消防庁に40年以上勤務した男性(71)に今回のやりとりを聞いてもらったところ、「火災報知機が響き、通報者の声が聞き取りにくい
中、情報収集に時間がかかり、避難指示までいけなかったのでは」と推測。119番対応では、迅速で適切な消火のために状況確認が重要という。
また、1日に約680件の119番通報を受理する横浜市安全管理局は、火災通報に関しては、居住者や通報者の安全確保が最優先と説明。「大きな火事であれば、他からの通報もあり、まずは発生場所と火災の大まかな状況が確認できればいい」
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【さいたま市消防局指令課と小石さんとの119番通報のやりとり】(04年12月13日午後8時19分42秒)
小石さん(以下、小):もしもし。もしもし。
指令課(以下、指):火事ですか。救急ですか。
小:えーと。火事なんですけど。
指:ドン・キホーテで火事?
小:はい。そうです。
指:火事なのね。何が燃えてるの?
小:えー、何が燃えてるんだろう。何が燃えてるのか、ちょっと分かんないんですけど。
指:建物なの?
小:はい。
指:火が出てんの?
小:火が出てる。ここからはちょっと見えないですけど、煙がすごいです。
指:どこで? ドン・キホーテの中?
小:ドン・キホーテの中で。
指:はい。何階建て?
小:はい。
指:何階建て?
小:私の?
指:何階建て? ドン・キホーテは?
小:えっ。ごめんなさい。聞こえないんですけど。
指:ドン・キホーテは何階建てなの?
小:あっ。えーと2階建てで上が駐車場です。
指:上、駐車場?
小:はい。
指:はい。で、1階2階建てなのね?
小:そうです。で、1階から火が出てます。
指:1階から火が出てんの。
小:はい。
指:今出しますからね。お宅さんの名前は?
小:はい。
指:お宅さんのお名前は?
小:あっ。私、小石って言います。
指:小石さんね。
小:はい。
指:電話番号は○○○○○○○(店の番号)でいいの?
小:はい。
指:はい。今行きますからね。
小:はい。お願いします。
指:1階のどの辺から煙が出てんの?
小:はい?
指:1階のどの辺から煙が出てんの?
小:ちょっと分かんないです。すいません。私出ます。
指:もしもし。もしもし。
(通話時間1分49秒)
保守記事.101-53 なんでも訴えればいいと思っている