孫社長iPhone予約受け付け中止要請
ソフトバンクモバイルの孫正義社長は13日、日本での販売権を取得した米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」について、「当初端 末がどのくらい入ってくるか分からない」と述べ、混乱を避けるため販売店に対して、現時点での予約の受け付けを止めるよう要請したことを明らかにした。端末価格についは、購入者の支払額が米国価格(約2万1000円など)を超えない方針を表明。料金も月額基本料を980円に抑えたソフトバンクの「ホワイトプラン」を適用する方向で検討しているとした。
孫社長はアイフォーンの強みとして基本ソフト(OS)を挙げ「パソコンと同じだ」と指摘。「日本メーカーもデザインだけなら同じようなものが作れるだろうが、OSを含めてあそこまで行くのは5年仕事」と、アップルの技術の先進性を強調した。
[2008年6月13日20時54分]
ニッポンの携帯電話はどこへ行く? iPhoneがうらやむ“ガラパゴス”日本 「課題先進業界」日本のケータイ(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース米国時間の6月9日、ついに米アップルはiPhoneの新機種「iPhone 3G」を正式発表した。7月11日には日本でもソフトバンクモバイルから発売される。日本の携帯電話事業者各社は5月末から6月はじめにかけて、携帯電話 端末の夏モデルを続々と発表したが、iPhone 3Gはこれらを一気に話題の外に追いやってしまった感がある。ただ同時に、iPhone 3Gは日本の携帯電話市場が世界のフロント・ランナーであることも示唆していた。それはiPhone 3Gの発表の場で、アップルのスティーブ・ジョブズCEOが行ったデモから垣間見える 。
ジョブズCEOがこれまでのiPhoneの課題として第一に挙げたのが第3世代携帯電話(3G)への対応だ。ジョブズCEOは、初代iPhone が採用していた通信方式と、iPhone 3Gが新たに採用した通信方式である3G(HSDPA)を使ってWebページが表示されるまでの時間を測るデモをして見せた。結果は3Gが倍近く高速。こ の3Gサービスが世界で最も普及している国が日本である。
iPhone 3Gを使うに当たり、さらにもう1つ、日本市場が先行している点がある。それがGPS(全地球測位システム)の活用だ。iPhone 3Gは、今回初めてGPSを内蔵した。既に日本ではGPSを活用した携帯電話サービスが当たり前のように提供されており、ここでも大きく海外に先行してい る。
日本には、iPhoneが必要としていた高速な3Gのネットワークが既に存在し、そして実際に多くのユーザーが3Gの携帯電話を使いこなしてい る。iPhoneにとって理想的な環境、iPhoneがうらやむ市場 。それこそが外から見た日本の携帯電話市場の姿なのである。
「日本はビジョンで世界をリードできる」
契約者数の頭打ち、端末メーカーの撤退 。日本の携帯電話業界を取り巻くのは暗い話題ばかり。だが、改めて世界から日本の携帯電話市場を見直すとあながち暗いだけとは言い切れない。話は1カ月前 にさかのぼる。ソフトバンクモバイルの孫正義代表取締役社長は5月7日、2008年3月期の決算説明会で日本の携帯電話市場の先進性を次のようにぶちあげ た。
「(日本の)3Gの普及率は圧倒的1位。日本は急に人口を増やすことはできないが、日本の先進的携帯ユーザーのおかげで我々は携帯が“インターネット・マシン”化するというビジョンで世界をリードできる」
孫社長の発言には前段がある。同社は決算発表に先立つ4月24日、約3億9000万もの加入者を抱える世界最大の携帯電話事業者であるチャイナモ バイル(中国移動)、そして世界中で約2億5000万加入となる携帯電話事業者グループを率いる英ボーダフォンとともに、携帯電話端末を使う新サービスや その土台となる技術を開発する会社の設立を発表した。
こうした世界の巨人とソフトバンクがなぜ対等な立場で合弁企業設立を合意できたのか。その理由として孫社長が語ったのが前述の言葉である。「三社 連合の中で、ユーザー数が一番少ない(5月末時点で1895万2800)ソフトバンクがなぜ発案者になり、なぜビジョンをリードできるのか。それは日本の 携帯ユーザーの皆さんのおかげ、日本の携帯メーカーのパートナーのおかげ」だと孫社長は言う。これは何もソフトバンクモバイルだけに当てはまる話ではな い。日本の携帯電話事業者はすべからく、こうしたユーザーに支えられている。
日本の携帯電話業界は“ガラパゴス”か?
日本の携帯電話業界に関する報道は、これまでかなりネガティブな面が強調されてきた。そうした報道を目にしてきた読者にとって、孫社長の発言は「おや」と思わせるところがあるだろう。
「ある人は日本の携帯はガラパゴスと揶揄(やゆ)するけれども、世界的に見たら進んでますよね」。NTTドコモの辻村清行取締役常務執行役員プロ ダクト&サービス本部長(インタビュー当時)がこう述べるように、事業者には先進のサービスを提供してきた自負はこれまでもあった。だが、“ガラパゴス” というイメージが定着し、日本の携帯電話市場の良さに関してはなぜか声高には叫ばれてこなかった。
“ガラパゴス”とは日本の携帯電話市場が国内の閉じた世界の中だけで発展してきたことを、独自の生態系を持つガラパゴス諸島になぞらえたもの。例 えば端末メーカーが携帯電話事業者の仕様に基づき、海外市場では通用しない端末を開発してきたことなどが当てはまるだろう。ただ、こうした見方は一面でし かない。少々飛躍するが、次のような見方もできるのではないだろうか。日本の携帯電話業界は独自の進化を遂げた“ガラパゴス”ではなく、世界の携帯電話業 界がこれから進む道に実は“先適応”(せんてきおう)している 。
その例が世界に先駆けて3Gが普及したことによるデータ通信市場の興隆である。iモードなど数々のデータ通信サービスで先行し、独自の道を歩んできたかに見える日本の携帯電話市場だが、実は欧米市場でも急速にデータ通信市場が立ち上がっているのだ。
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