網膜ディスプレイ、ブラザーが2010年に発売へ
網膜に光を当てて映像を映す、眼鏡型の網膜走査ディスプレイ(RID)を、ブラザー工業が2010年に発売する計画だ。
ブラザー工業は、網膜に光を当てて映像を映す、眼鏡型の網膜走査ディスプレイ(RID:Retinal Imaging Display)を2010年に発売する計画だ。まずは法人向けに展開し、ディスプレイに回路図を投影しながら工事したり、カルテを映しながら手術すると いった利用を見込んでいる。
9月4日に東京で開いたプライベートショー「Brother World JAPAN 2008」(東京国際フォーラム)でモックアップを展示した。
RIDは、目に入れても安全な明るさの光を網膜に当て、その光を高速に動かすことによる残像効果を利用し、網膜に映像を投影する技術。
従来のヘッドマウントディスプレイと異なり、目に直接光を当てるため、小型液晶ディスプレイなどはなく、眼鏡型といってもレンズもない。目の前にあるのは透過型の反射板だけ。映像の向こうには外の景色が透けて見える。
眼鏡に装着する投影部は25グラムと軽く、かけると60センチ手前に14~15インチサイズのディスプレイがあるように見える。試作機の表示解像 度は800×600ピクセル、フレームレートは60fps。液晶ディスプレイやCRTディスプレイよりも広い色域を再現し、高画質な映像を表現できるとい う。光はごく弱く、消費電力を低く抑えられる。
プリンタ開発で培った技術を生かした。網膜に光を当てる仕組みは「レーザープリンタの感光体が、目に代わったというイメージ」(説明員)という。
インクジェットプリンタのピエゾ技術を活用して高速・小型のミラーデバイス(光MEMS:Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)を開発し、小型化と高画質化を両立させた。端末サイズは、2005年の愛・地球博に出展した試作機(光源部の重さ 100キロ、光走査部70キロ)の1000分の1に縮小している。
商品化時の価格は未定。まずは業務用途で販売し、量産・低価格化のめどが付けば個人向けにも発売する考えだ。個人向けには、移動中に映画を見ると いったエンタメ用途のほか、移動中の新幹線や飛行機で、PCを使って機密性の高い仕事をする際、のぞき見されないセキュアなディスプレイとして利用する いった用途を考えている。
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