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保守記事.101-141 この国の現状

2012-03-22 18:23:51 | 記事保守

密室に封印された12年前の殺人 親の“スネ”をかじり尽くした放蕩息子の末路は…

2012.3.20 12:00

 神戸市兵庫区のトランクルームで昨年11月、同区在住だった長野繁雄さん=当時(65)=が腐敗遺体で見つかった。捜査線上には、すぐに部屋の借り主の繁雄さんの長男、孝志容疑者(56)=兵庫県加古川市=が浮上。平成12年夏に繁雄さんを殺害、遺棄したことを自供したことで事件は解決に向かった。兵庫県警は2月28日、発生から10年以上という時間の壁を乗り越え、孝志容疑者を殺人容疑で逮捕したが、捜査で浮き彫りになったのは、親を殺してまで“スネ”をかじり尽くした放蕩(ほうとう)息子の姿だった。(田中森士)

*耐え難い異臭

 神戸市兵庫区新開地の雑居ビル2階に4室が並ぶトランクルーム。その1室に神戸地裁の執行官が強制執行に立ち入ったのは昨年11月10日だった。17年8月ごろから月額2万円の賃料滞納が続き、所有者が部屋の明け渡しを求めていたからだ。ドアを開けて入ると耐え難い異臭が漂っていた。その「意味」を感じ取った執行官は、すぐさま地元の県警兵庫署に「異臭がする」と通報した。

 駆けつけた署員は、異臭の発生源が室内にあったプラスチックケースであることはすぐに分かった。大きさは縦約1メートル、横約50センチ、高さ約50センチ。外側はブルーシートが巻かれ、粘着テープでしっかりと止められていた。署まで運んでケースを開けると、腐敗した遺体が布にくるまれた状態で見つかった。

 遺体はワイシャツにズボン姿。靴下もはいていた。ケース内には消臭剤が2つ入れてある。何者かがケースに遺体を入れ、放置したとしか考えられなかった。すぐに疑いの目が向けられたのが、部屋の借り主。翌11日、事情を聴かれた孝志容疑者は「平成12年夏ごろに父が死んだ。遺体をトランクルームに運んだ」と供述。遺体は繁雄さんで、自ら遺棄したことを認めた。

 ただ、繁雄さんが亡くなって10年以上。すでに死体遺棄罪の公訴時効(3年)は成立している。繁雄さんが死亡した経緯はその時点で判然としなかった。このため県警は、孝志容疑者が加古川市役所で、繁雄さん名義の住民基本台帳カードを交付されていたことを裏づけ、孝志容疑者を詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。12月には繁雄さん名義の住基カードを悪用して、融資金約240万円をだまし取ったとして、詐欺容疑などで再逮捕した。

*ギャンブルに浪費

 孝志容疑者は高校を卒業した後、家電販売会社や食品製造会社でアルバイト生活を送った後、繁雄さんと同じ神戸市内のワイヤ修繕会社で働くようになった。繁雄さんは若い頃に妻と離婚し、孝志容疑者に愛情を十分に注ぐことができなかった負い目を抱いていた節もあったが、周囲には親子関係がぎくしゃくしてみえた。口げんかが絶えず、繁雄さんが同居を持ちかけても兵庫区内で別居を続けていたという。

 そんな12年7月31日、繁雄さんは、勤務先を突然欠勤した。連絡がつかない繁雄さんを心配した同僚が孝志容疑者に聞くと、「30日の夜に一緒に夕食を食べて家まで送った」と平然と説明した。孝志容疑者は同僚に促されるがまま同署に捜索願を出したが、間もなく「父親を捜す」と言い残して勤務先を退職した。

 ところが実際は、繁雄さんが欠勤した同じ日、孝志容疑者は繁雄さんの遺体が見つかったトランクルームを借りていた。繁雄さんの遺体を車で運び入れた孝志容疑者は、繁雄さん名義の預金通帳や年金手帳、健康保険証なども入手。繁雄さんが長年かけて貯蓄してきた預金を引き出しては、ギャンブルに浪費する生活を続けた。

 当然、自堕落な生活は長続きはせず、16年には繁雄さんの預金を使い果たして自己破産。それでも浪費癖が治らなかった孝志容疑者は悪知恵を働かせ、さらに繁雄さんの年金を担保に融資を受けようと画策した。融資の申請には身分証明が必要なことから17年、繁雄さんになりすまして加古川市から住基カードを入手。融資金名目で金融機関から現金をだまし取ることに成功した。

 さらに、住基カードを紛失して融資金を受け取れなくなったため、21年4月にカードの再交付を受けた。こうして16年以降、5回にわたって計約1200万円の融資を受けていた。2度も住基カードを詐取された加古川市は被害届を県警に出したのを機に記者会見を開いた。

 担当者は、20歳以上も年上の繁雄さんになりすました孝志容疑者を見抜けなかったことに対し「残念だ。今後は本人確認を厳格にするしかない」と平謝りするしかなかった。

*「口論の末」?

 孝志容疑者は、逮捕直後こそ、繁雄さんが死亡した経緯については「話したくない」と口を閉ざしていたが、すぐに観念したのか、繁雄さんを殺害したことまで供述し始めた。

 「父親と口論になった末に首を絞めて殺した」

 ただ、殺害の自供は得られたものの、遺体は死後10年以上が経過しており、発見当初の司法解剖でも死因は判明していなかった。県警は、殺人容疑で立件するには物証が必要と考え、同県佐用町の大型放射光施設「スプリング8」で遺体の首の皮膚を鑑定、絞めた跡の確認を目指したが、腐敗がひどく死因を特定するには至らなかった。最終的に県警は、孝志容疑者の供述と状況証拠だけでも殺人容疑で立件できると判断。2月28日に殺人容疑での逮捕に踏み切った。

 それでも、なぜ父親を殺害したのかという動機が現時点ではっきりとしていない。確かに「口論の末に殺害した」という供述は重要だが、その一方で、孝志容疑者は繁雄さん殺害後に多額の預金を引き出し、ギャンブルなどの遊興費に充ててもいた。

 口論の末の「弾み」で首を絞めてしまった偶発的な犯行だったのか、それとも金目当ての計画的犯行か。いずれにしても孝志容疑者が、繁雄さんを殺害後、その貯蓄を食いつぶしただけでは飽きたらず、死んだ後に借金漬けにしてまでスネをかじり続けた事実は変わることはない。



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