何度も読んでいたのだけど、上下巻だったのが文庫版になり加筆されて1冊にまとまったと聞いて、買った!
これなんか、ものすごくすごい傑作ですよ。
赤毛のアンの人が書いたんだーふふん、くらいで読み始めたらすごく裏切られると思う。
ミステリーだし、ロマンスだし、一族の物語、群像劇、などなど。悲劇もあり、喜劇もあり、人間の美しいところ、醜いところ、深いところ、人生のおもしろいところ。全てが詰まっている。
ちょっと、登場人物の数が多くて、最初はこんがらがるかもしれない。それも含めてタイトルですよ(笑)
「ダーク」と「ペンハロウ」という2家族の物語。
2つの家は、特別な縁があり、その家同士での結婚がめちゃくちゃ多い。
60人のダークが60人のペンハロウと結婚した、その結果、家系図が蜘蛛の巣のようにこんがらがってしまった。
っていうのがタイトルの意味。
ミセス・ダークは、元ペンハロウだし、その逆もあり。
その一族(二族?)の長老的な存在の80歳のベッキーおばさん。
彼女が亡くなる前に、家宝である水差しを誰に遺すかということを発表するとして、一族の者たちが呼ばれた。
結局その発表は1年後にするということであった。
で、その1年間に一族の者たちに何が起こったか? 1年経ってどうなったか? 誰が水差しを受け取ったのか?
というお話。
この水差しに導かれて集まった一族が、そこに集まったことによって運命が変わるのがおもしろい。
ダークorペンハロウ以外の男性と婚約してる18歳のゲイ。
結婚式で新郎の付添人に一目ぼれをしてしまい、新居から戻ってきて10年そのままのジョスリンとヒュー夫妻。
小柄なビッグ・サム(年上)と大柄なリトル・サム(年下)は仲良く一緒に暮らしていたが、仲たがいをすることに。
オールドミスのマーガレットは、現在誰も住んでいない家に名前をつけて、いつかそこに住むことを夢見ている。
などなど、人物たちも皆生き生きと描かれている。
ゲイの物語は、やっぱり、若くてかわいい女の子だから、いいなと思う。これって、でも、「エミリー」の結末の逆にしたのかなとかちょっと思った。
ビッグ・サムとリトル・サムは、さすがのユーモアのセンスだなあと思う。好き。
一番好きなのは、やっぱり子供が幸せになる話。
小さなブライアンは、母親が亡くなって親戚の家で愛されずこき使われていた。
前述のマーガレットと、その親友の子供のブライアンが出会ったのは何度読んでもいい話だなー。書きながらまた泣いてる(笑)
最後は皆、めでたしめでたしで終わるのもよい。
訳者のあとがきに、著者本人もダークとペンハロウがこんがらがって、登場人物の名字を間違って書いてる箇所があったんだって。
訳者がそっと直しておいてくれたそうな。ありがたい。読んでてもこんがらがるもね(笑)