*ウサギのお部屋*

日記・レビューなどなど。
最新日記は数日後に非公開にします。

石田衣良「波のうえの魔術師」

2008年02月23日 | 
波のうえの魔術師 (文春文庫)
石田 衣良
文藝春秋

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2001年



実家にあった本シリーズ。兄の本なのかな?

前に来たときには、あんまり気分が乗らなくて読まなかったんだった。

今回も…最初を読んで、わ、株式?経済??わかんない!って思ったんだけど、この人なら、ちゃんとした場所に連れてってくれるんじゃないかなって思って、読んでみた。



結果、すごーくおもしろかった。

最後までハラハラ!

ちきんと落とし前はつけるし、明るい前途で終われるし、ほんと、自分が主人公になった気分。こんなのは久々だなぁ。



1998年。

就職浪人で、とりあえずパチプロでも…って思ってた主人公「おれ」の前に、ある老人が現れる。

その老人の手伝いをするうちに、株式なんてちっとも知らなかった「おれ」が、やり方を学んで、成長していく。

「おれ」と一緒に、素人から勉強していけるので、とてもわかりやすかったり、感情移入が容易だったり。

タイトルの、「波」って株価の値動きを表にしたもののことね。

経済の動きや、実際にあった事件というか、そういうので、物語のクライマックスを作っていくさまはすごい!と思った。

企業が庶民を食い物にすることへの憤りとか、しかし、その企業にいる人もつらい思いをしているとか、ちゃんと描いている。



彼の作品は、テーマが多岐にわたるから、恋愛もの好きの私は、この人が好きなのかどうか、ちょっと決めかねてたさ。

でも、これを読んで決まったw

衣良氏を、私の好きな作家の一人に数えようと思う。

もっといろいろ読んでみよう♪


ロレンス「チャタレイ夫人の恋人」(完訳)

2008年02月21日 | 
チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)
D.H. ロレンス
新潮社

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1928年

伊藤整・訳(伊藤礼・補訳)



昔買った本をもう一度。

わいせつな表現が、裁判にまで発展して、欠落版を出版するしかなく、ようやく32年後(1993年)に完訳が出版された。

ってのもあるし、ある程度話が知られているのもあるし、「夫人の恋人」=不倫かよ、けがらわしい!って思われそうなのと、で、実家で読むのはちょっと嫌だったよ(笑)



でも、本当は、そんな話じゃないのにな、エロ小説みたいなイメージばっかり先行して嫌だな。

といって、まだうまく説明できない。

もっとちゃんと理解できるようになってから、また読んでみないといけない。

そのくらいすごい作品だと思う。



この時代の(産業革命?)イギリスの様子を見てると、今の日本みたいだなぁ、と思った。

夫は、炭鉱の所有者。村の人々は鉱夫とその家族。という背景。

支配者は支配者、労働者は労働者、それが逆転することはない。とか。

旧世界(夫)とたたかう新世界(妻とその恋人)って構図も見て取れたり。



こんな世の中に、子供を送り出すのが怖い。

っていうのもうなづける。

でも、これが、100年近く前の話で、そうやって言いながらも今まで続いてきたんだって思うと、これからも、なんとかやっていけるかも?って希望に思えたりもする。



怖がってばっかりいないで、子供を祝福して迎えて、愛を持って見つめてあげることで、それが子供の未来になる。

ってのも、力をもらった気分。

前に読んだときは独身だったしね。



余談としては、イギリスは、もうこんな時代を脱却しているのに、日本はまだ堂々巡りしてるのがアレだね。


伊坂幸太郎「グラスホッパー」

2008年02月14日 | 
グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)
伊坂 幸太郎
角川書店

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2004年



久しぶりに伊坂さんを読もうと思ってね。帯に「夏の100冊」って書いてあるから、夏に買って、いま、やっと読んだのね。

図書館の本の合間に、飛行機などの移動中に、と思ってね。

だから前半は一気に読めなかったのがちょっとだけ悔やまれる。



「グラスホッパー」というタイトルにも惹かれる。

スピッツに同じタイトルの曲があるからw

群れる人間は虫みたいだ、っていう最初のところで、タイトルの所以が語られる。



「殺し屋」小説だって。

はっきり言って、人を殺す場面の描写が気持ち悪くて、目を背けたくなるくらい。

それでも、伊坂さんは、読者(私)を変なところには連れて行かないって信じられる作家の1人だから、悪いようにはならないだろう、と思って読んだ。

さすが、最後のあれこれは、すべてがハッキリして、スッキリしたわー。



ただ、最後の最後が、余韻を残していて、いつもと違う感じで興味深かったな。

ネタバレをするとつまらないので、この辺でw



殺すだの殺されるだの物騒な話は嫌いなんだけど、それでもやっぱりこの人の作品は好きだな。

「わたしの赤毛のアン モンゴメリの生涯」

2008年02月10日 | 
わたしの赤毛のアン―モンゴメリの生涯 (心にのこる文学)
キャサリン・M. アンドロニク
ポプラ社

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キャサリン・M・アンドロニク・著

折原みと・訳(1994年)



児童書のコーナーでふと見つけた。

忙しくて、もう1冊借りた本(そっちのがメインだったのに)が読めなかったから?のに?これだけは読んでしまおうと頑張ったさ。



頑張ったっていっても、子供向けの本で、読みやすくなっているし、前にいろいろいっぱい読んだから(自伝・伝記・日記・書簡)ほとんど知ってる内容だったから、それを再確認していったって感じ。

やっぱり、成功って、並々ならぬ努力や挫折・犠牲の上に、成り立ってるのね。



今年は、「アン」がこの世に出てから100周年なんだよ。

映画「阿修羅のごとく」

2008年02月03日 | 映画
阿修羅のごとく

東宝

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http://www.toho.co.jp/movie-press/asyura_press/

2003年

原作;向田邦子

監督;森田芳光



大竹しのぶ

黒木瞳

深津絵里

深田恭子



森田監督の作品、けっこう観てるかも。

けっこう好きかも?

向田さんの本は読んだことがないな。今度読んでみようと思う。



かるーく観てしまったので、あんまり感想はないんだけど。

一緒に観てる夫が、同じものを見ているのに、大事な部分を見逃していて話の流れはわからずじまい、それでいて好きな女優さんが出てくるとなんだかんだ言ってて、そこから男女の違いを知れておもしろかったw

モンゴメリ「マリゴールドの魔法」

2008年02月02日 | 
マリゴールドの魔法 上 (1) (New Montgomery Books 13)
田中 とき子,Lucy Maud Montgomery
篠崎書林

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1929年

田中とき子・訳(1982年)



そろそろ癒されたくて、借りてみた。

絶対に読者(というか私w)を裏切らない作家第1位は、モンゴメリだなぁ。

訳者のあとがきに、モンゴメリ作品への愛情が感じられないけど、訳はまぁまぁよかったかな。



生まれる前に父が亡くなり、母と祖母と曾祖母と暮らす家で育つマリゴールドの、生まれてから12歳までの物語。



素敵な偶然がさらっと書かれていたり、人生の知恵が語られたり、やっぱり好きだなぁ。

死んでいくひいおばあちゃんの言葉なんてのは、深いね。



この人は、なんでこんなに子供の気持ちをわかってるんだろう!

6歳の女の子の思ってること、想像すること、恐怖、恥、なんでもわかっている。

人間というものをよくわかっているんだろうなぁ。



ものわかりのいい母、厳しい祖母

の記述を読むと、「いいお母さんだなぁ、おばあちゃんはひどい!」って思うくせに、私がいっちゃんにしてるのはおばあさん寄りだったりしてガックリ(笑)

母になってから読むと、また勉強になることが増えるね。

これから、何度も読もうと思う。