*ウサギのお部屋*

日記・レビューなどなど。
最新日記は数日後に非公開にします。

凪良ゆう「わたしの美しい庭」(2019)

2024年02月21日 | 
 
「流浪の月」の著者のことが気になったので、また借りてみた。最新のは順番が来ないのでこっち。
やっぱ、著者は自分の過去と主人公をリンクさせているのかなという感じ。全ての作品がそうかどうかは知らない。もしかしたら、幼い自分を、こういう作品を書くことによって救っているのかもしれないな。と思った。
両親が事故で亡くなり、母の元夫に引き取られた少女。周りは好き勝手に無責任にいろいろ言うけれど、2人だけしか分からない愛の形を育てていけばいい。
みたいな。前に読んだものと似ているのかもね。でも、大分印象は違うかと思います。

そこは、マンションの屋上に「縁切り神社」と呼ばれる神社があり、大家が神主で管理している。その大家で神主が養父で、その養女である少女もその「庭」で日々を過ごす。
そこには、いろんな人が来る。
少女とその養父、マンションの人たちのオムニバスストーリー。
辛い過去も含めて優しい世界だった。

何があっても、誰を失っても、日々は続いていく。悩んでも何してても子供はどんどん大きくなる。
って、「荒地の家族」の感想と同じことを思ってしまった。きっとこれが全てに言えるんだろうなと思う。思ってきた。


モンゴメリ「アンの娘リラ」(1921)

2024年02月18日 | 
 
原題;RILLA OF INGLESIDE
アンシリーズの最終巻。
松本侑子さんの完訳&詳し過ぎる注釈。やっと順番が来た!

なるほどー、アンシリーズを完結させて、そして新しいヒロイン、エミリーに向かったんだな。と最初に思った。
リラ(1921)、エミリー(1923)だから。
そして余談ですが、私(1974生まれ)とモンゴメリ(1874年生まれ)はちょうど100歳違いなので、書かれた年代と年齢が、とても分かりやすい。

アンの末娘、マリラから名前をもらったリラが主人公。
ちなみに、アンの年齢が今の私と同じぐらいでした。アンの年齢を明らかにしてくれてるところもありがたい。

やっぱり私は少女なんだな。
リラのケネスとの恋にときめいていたわ。あはは。
ほかの人たちの恋は、近所で幼なじみで身近で決めちゃってと思ったけど。

第1次大戦の4年間が背景というか主題にあり、
日本と違って欧米では大戦といえばこっちという話を少し前に聞いたところだったので、なるほどと思う。
戦争を絡めて、少女の成長につなげた。そこも見事だと思う。
次兄の戦死も、そうだな、、前はただ悲しいこととして読んだけれども、感じやすい子にとっては生き残って思い出すことも辛いのだろう。今でいうPTSD。そんな子には死は救いだったのだということ。も、分かった。

1次大戦が、あっちの金儲けのための戦争だったことを知ると、
それで亡くなったり悲しんだ人がこんなにいることが、許せない思いになってしまうなあ。

やっぱり、長兄の帰りを待つ犬の話は涙なしでは読めない。
ハチ公的な話。
キリスト教では動物には魂はないというけど、そんなことないよって言ってるところも、私が著者を好きなところ。牧師の妻なのにね。

この作品は、続編の中では「夢の家」の次に好き。暗い感じの作品が好きなのかな。深いところが好き。
この世の年齢と魂の年齢は違うこととかもちゃんと分かってるところが好き。

さて、注釈もとてもすごいの。
分量がね。いつも。
今回は戦争の舞台になった地名が多かった。

「白い羽」ってそういう意味なんだー。とかね。

くだけた言葉を田舎者の口調で訳す。とかも、さらっと言うけどきっと大変よ。
スペルが違うのにその言葉のくだけた言い方ってどうやって調べるんだろ?
「むがーす、むがす」が「昔々」だってどうやって分かるんだろ? みたいな(笑)

今回やっと分かったのは、戦争孤児を入れて運んだ「スープ入れ」について。
勝手に大きな鍋をイメージしていた。赤ちゃんが入るぐらいだから、芋煮の鍋を(笑)
全然違った。陶器でできたきれいな模様のついた容器だった。

関連で、この子がリラを「ウィラ」って呼ぶとこは、二男が長男を「ティッタ」自分を「パータン」と呼んだときを思い出すねー。

最後の訳者の解説もすごい。
何十年とモンゴメリ作品と向き合ってきた訳者ならではです。
ありがとうございます。
エミリーブックスも、訳してくれませんか??


モンゴメリ短編集(リー・ウィルムズハースト編)「ひそやかに影はささやく」

2024年02月10日 | 
 
原題「Among the Shadows」
長編「アン」でブレイクする前から、モンゴメリは雑誌に短編を寄稿する作家であり、生涯に500編以上の作品がある。
その短編がテーマごとに編集されていて、これは、暗い側面の話を集めたもの。人生の暗い側面、不思議な話、または、幽霊の話。「アン」の人がこんな作品を書いていたと驚く人が多いことでしょう。
でも、やっぱり、私はそういうところが好き。
こういう部分があるから、深みが出るんだと思う。

やっぱり、その表現が秀逸と思う。翻訳は大変だったかもしれない。分からないけど。
自然の美しさ、その描写がいい。それが、心情とも結びついていたりして。
そして、心理描写もすばらしいと思う。

どんなお話かちょっと紹介。
感受性の強い少女が、閉ざされたドアの中で死者が「生きて」いると想像していて、そして、そのドアを開けてそのとおりのものを目撃した話。
老婦人が初めて乗った汽車の中で親切にしてくれた男性が、そのとき読んでいた雑誌に載っていた殺人事件の犯人だった話。
などなど。
こうやってまとめて書いちゃうと、ふーんって感じでしょうかね。でも、それが、100年前に書かれたんですよ。
ミステリーとしてもいいと思う。人が殺されないミステリーを読みたいと思う。そして、それがもう100年前にあった。


赤松佳子「赤毛のアンから黒髪のエミリーへ L.M.モンゴメリの小説を読む」(2022)

2024年02月07日 | 
 
これも2回目。
時間があるときに、モンゴメリの家にある何かを読もうかなと思って、これをもっかい。
2回目だけど、大体知ってる内容だけど、初めて読むように新鮮な気持ちで読む。
大学の英文学の先生がモンゴメリ研究をして書いた論文。
(大学の先生だけど)それでも、最初は私と同じような文学少女だった。モンゴメリに共感して、彼女のつくりだす少女に自分を重ねてたのは私だけじゃないんだねと思う。
14歳から24歳の自分への手紙とかさー。私もまねっこしてやったなあ。どっか行ったけど。

2008年は「グリーンゲイブルズのアン(赤毛のアン)」が刊行されて100周年だった。
そして、2023年は、「ニュー・ムーンのエミリー」から100年だった。
そういえば、100周年何もなかったな。。
私は、断然アンよりエミリー派。
だから、このタイトルがうれしいんですよ。

分量はアンのほうが多いけれど、、、作品数が多いのでしょうがない。
アンも最近松本侑子さんの完訳を読んだばかりなのですごく分かる。

モンゴメリは牧師の妻なのに輪廻転生とか異教徒の話に興味があるところとかも好き。この本には紹介されていないけど幽霊の話も書いてる。
日本に興味を持ってくれてるところも推せる。
自然を愛して、例えば、木を愛したら木も愛してくれるというようなことも、本当にあると分かったから、それを知っていたのがすごいなって思う。

今回気になったのは、この時代に孤児が多かった話。
モンゴメリ自身も孤児に近く、孤児が家庭を得る話を多く書いている。
それから、日本のミッションスクールについて。モンゴメリと同年代の宣教師が日本に行った話も知っているだろう。
この2つの真実を知りたいなあ。

あとは、ミュージカルやアニメーションへの翻案について。
これも最近気になる話ですね。
分量の違いがあって全部同じにはできないけれど、やはり、原作に対して愛があるかどうかかな。


佐藤厚志「荒地の家族」(2023)

2024年02月06日 | 
 
2回目。せっかく買ったからもっかい読んだ。
最初に読んだとき、あのことがあって、結構落ちてたんだっけな。フラットな気持ちのときに読んでみよう。
ここに住む人以外の人には、「震災文学」と言われるけれど、これは決して震災文学ではない。っていうか、震災文学って何じゃ??
何が起こっても、誰を失っても、変わらずここで生きていく。悩んでいても何していても子供はどんどん大きくなる。ただそれだけのこと。
今回気づいたのは、自殺する同級生も自分(主人公)なんだなということ。もう1人の自分。そうなってしまったかもしれない自分の姿。でも自分は生きてる。生きていく。
そんな感じなのかな。
あまり大したことを書けないや。

方言がそのまま文字になっているのを読むのはやっぱり楽しい。私は仙台弁ネイティブじゃないからあこがれる。

鈴木常夫「みやぎの苗字 あなたはどこから来たか」(1998)

2024年02月06日 | 
これもおもしろい。分かりやすい。
最近聞いた話とも一致する。平安時代には姓は4つ。源、平、藤、橘。
皇族が増えたから姓を与えて臣下にした。その結果、同じ姓がたくさんになってしまった。
例えば、藤原があふれてしまって、加賀の藤原=加藤、伊豆の藤原=伊藤 などなどになったとか。

あとは、県内に多い苗字が、なぜそうなのかというところも教えてくれる。
私調べでは、千葉さん、庄司(庄子)さんは、こっちに来てたくさんいた。それもちゃんと書いてあった。
この県に来て出会った人たちが結構網羅されてた。自分がなった苗字もあった。近所のママ友から子供の同級生、バイト先の方々、ここ数年出会ったこっち側の方々、果ては宅配便の方まで。

合併の前の本なので、合併の前の市町村別で、どんな苗字が多いかの数字もある。
(合併前、すてきな名前のまちがたくさんあったのになと思う。もったいない。。)
まちによっては、珍しい苗字が1位になってたり、いろいろと傾向があるみたい。これもなかなか興味深かった。

凪良ゆう「流浪の月」(2019)

2024年02月05日 | 
 
2020本屋大賞 2022映画化
ってことで読んでみた。映画はまだ観ていない。
この人の本読むの初めて。(余談は、まみずがめ座の方だった)
映像化の原作問題というか、映像化に当たり原作者に断りなく改変されてしまう問題が最近あって、それは昔からあったっけね、そういう観点から見てみるんだろうかとか雑念があったけど、ただ心を持っていかれた。一気に読んでしまった。

幼女誘拐事件の被害者と加害者というレッテルを貼られた2人が、15年後再会し、2人だけの名前のない愛を貫く話。
って一言で言ってしまった。
何か、ちょっと落ちてる気分のまま一気に読んでしまったから、あまり言葉が出ない。
全ての出来事が、不幸な出来事全部が、2人を結びつける要素になっているというか、それがすごいなと、後から思った。ここで助かってたら出会ってなかった。ここも、ここも。
最初の章と最後の章で種明かしするところはすごくいい構成だった。実写映画ではここは表現できないだろうからカットされてるらしい。

あまり、辛い話を蒸し返したくないのでこのくらいで。
映画も今度やってたら観てみる。


芸術新潮編集部編「神々が見える神社100選」(2016)

2024年02月03日 | 
 
つい、神社の本を借りてしまった(笑)影響されちゃったね。
芸術新潮さんってことだから、芸術としての側面で見る神社、みたいな感じですかね。
信仰と芸術は切り離せないという観点。
北から南っていうんじゃなく、テーマごとにいろいろな神社を集めてみた感じです。
①神社の誕生
②神話の神さまとその現場
③神社名建築紀行
④神と仏の千年史
⑤人、神となる
⑥山は神さま
⑦国宝あります
⑧諸国一の宮めぐり

何とか造りとか、何とか様式とかは、図解されてもよく分からないけど、きれいだなー美しいなーって見ていた。
神社とお寺が一緒だった頃もあって、それはそうだな、明治になってから分かれさせられたんだからね。
仏像みたいな、神像ってのもあるんだって。ふうん。
道真公(天満宮)や家康公(東照宮)など、人がなぜ神社の神様になったのか? みたいな話もあった。
宮城県からは、最近行ったばかりの、神社好きな方に好評だった2つの神社が出ていた。国宝、大崎八幡宮(でも④に載ってた)、陸奥國一の宮、鹽竈神社。やっぱりこの2つなんですねー。
いろいろたくさんきれいな神社があって行ってみたいなーと思いました。