原題;RILLA OF INGLESIDE
アンシリーズの最終巻。
松本侑子さんの完訳&詳し過ぎる注釈。やっと順番が来た!
なるほどー、アンシリーズを完結させて、そして新しいヒロイン、エミリーに向かったんだな。と最初に思った。
リラ(1921)、エミリー(1923)だから。
そして余談ですが、私(1974生まれ)とモンゴメリ(1874年生まれ)はちょうど100歳違いなので、書かれた年代と年齢が、とても分かりやすい。
アンの末娘、マリラから名前をもらったリラが主人公。
ちなみに、アンの年齢が今の私と同じぐらいでした。アンの年齢を明らかにしてくれてるところもありがたい。
やっぱり私は少女なんだな。
リラのケネスとの恋にときめいていたわ。あはは。
ほかの人たちの恋は、近所で幼なじみで身近で決めちゃってと思ったけど。
第1次大戦の4年間が背景というか主題にあり、
日本と違って欧米では大戦といえばこっちという話を少し前に聞いたところだったので、なるほどと思う。
戦争を絡めて、少女の成長につなげた。そこも見事だと思う。
次兄の戦死も、そうだな、、前はただ悲しいこととして読んだけれども、感じやすい子にとっては生き残って思い出すことも辛いのだろう。今でいうPTSD。そんな子には死は救いだったのだということ。も、分かった。
1次大戦が、あっちの金儲けのための戦争だったことを知ると、
それで亡くなったり悲しんだ人がこんなにいることが、許せない思いになってしまうなあ。
やっぱり、長兄の帰りを待つ犬の話は涙なしでは読めない。
ハチ公的な話。
キリスト教では動物には魂はないというけど、そんなことないよって言ってるところも、私が著者を好きなところ。牧師の妻なのにね。
この作品は、続編の中では「夢の家」の次に好き。暗い感じの作品が好きなのかな。深いところが好き。
この世の年齢と魂の年齢は違うこととかもちゃんと分かってるところが好き。
さて、注釈もとてもすごいの。
分量がね。いつも。
今回は戦争の舞台になった地名が多かった。
「白い羽」ってそういう意味なんだー。とかね。
くだけた言葉を田舎者の口調で訳す。とかも、さらっと言うけどきっと大変よ。
スペルが違うのにその言葉のくだけた言い方ってどうやって調べるんだろ?
「むがーす、むがす」が「昔々」だってどうやって分かるんだろ? みたいな(笑)
今回やっと分かったのは、戦争孤児を入れて運んだ「スープ入れ」について。
勝手に大きな鍋をイメージしていた。赤ちゃんが入るぐらいだから、芋煮の鍋を(笑)
全然違った。陶器でできたきれいな模様のついた容器だった。
関連で、この子がリラを「ウィラ」って呼ぶとこは、二男が長男を「ティッタ」自分を「パータン」と呼んだときを思い出すねー。
最後の訳者の解説もすごい。
何十年とモンゴメリ作品と向き合ってきた訳者ならではです。
ありがとうございます。
エミリーブックスも、訳してくれませんか??