*ウサギのお部屋*

日記・レビューなどなど。
最新日記は数日後に非公開にします。

明橋大二「輝ける子」

2007年05月29日 | 
輝ける子―100メートルを10秒で走れと言われてもさ、いっくら努力しても走れない奴っているじゃん
明橋 大二
1万年堂出版

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サブタイトルにこんな文言が。ブルーハーツの人の言葉なんだってね。

「100メートルを10秒で走れと言われてもさ、いっくら努力しても走れない奴っているじゃん」

これが内容を端的に表している。

だよねー。



児童館に置いてある本。

読みやすいから、みんなが来る前などにささっと読んでしまえる。



子育て本としても読めるけど、子供が学校に行くのはまだ先なのもあるし、心理学の先生の書く本だから、普段の人間関係にも当てはめることができる。



人に嫌なことを言われたりされたりしたときに(含;荒らし)「なんだよ、こんちくしょー!」ってだけ思ってないで、「この人は、どうしてこんなことをするのであろうか?なにか理由があるはずだ」、と考える手助けになる。そうして、そう考えることは、成長するきっかけになるだろう。

ちょうど、自分で答えを導き出したあとでこの本を読んだから、私の背中を押してくれてるようでうれしい。

こういうのも、ちょうど、タイミングよく読むようになっているんだな。

モンゴメリ「黄金の道」(ストーリーガール2)

2007年05月25日 | 
黄金の道 下―ストーリー・ガールPART2  New Montgomery Books 8
木村 由利子,Lucy Maud Montgomery
篠崎書林

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1913



こないだの「ストーリー・ガール」の続編。

次の年の物語。



うーん、やっぱり、おぼろげに、読んだことがあるかもな。



ストーリー・ガールが語る物語だけを並べると、短編集みたい。

でも、それだけで済まない+αがあるのよね。そこが物語を活き活きとさせている。



第1作では、ぎこちなかった「ぼく」の語りも、こっちではどんどん冴えてくるし、子供たちの性格描写も素晴らしく、セシリーは本当にかわいい人だなーと思ったり。

2つの結婚式による周りの変化、最後には旅立ち、別れも待っていて、この物語の中に少年少女時代がすべて閉じ込められている。そこがいい。



でも?だから?なんだか切ないねー。

日記にも書いたけど、なんだか切なくて、読み終わったときに泣いちゃったよ。

これも、何回も読みたい作品のひとつになった。



ジャスパーとアリスの物語は、すごくよかったな。

偶然とか、夢が本当になるとか、そういうの好き。

毛利子来「育児のエスプリ」

2007年05月18日 | 
育児のエスプリ―知恵の宝石箱 (新潮文庫)
毛利 子来
新潮社

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1993年

「たぬき先生」でおなじみの小児科の先生が書いた本。

子来と書いて、たねき、と読むんですってね。

ルソーさんを中心に、先人の著書から、なるほど、と思われることを紹介してくれてる。



だいたいにおいて、私の今のままでいいんだ!ってことがわかったからよかったなー。

気が楽になった。なりすぎ?ってくらい(笑)

ちょっと前のことだと、シーソーにのぼっていっちゃって、真ん中すぎてがっくんとなって転落したことがあった。

そのときに、「なんで助けないんだこの親は」って思われてるのかなー?ってちょっと気にしてたんだけど、「あぶないよ!」って言ったのに勝手に行ったのはあいつなんだから(笑)こういう痛い目に遭って学習すればいいのさ!と思っていた。

それでいいんだー(笑)



ルソーさんだっけね、

1日に100回転べはしめたもんだ。

火の怖さを知るには、実際に火に触ることだ。ひどいやけどをすれば、二度と触らないだろう。

とか言ったの。

ここまで言い切ると極端だけど(笑)親が先回りして危険なものを遠ざけてばっかりいると、自分では何もできない人になっちゃうもんな。

少々痛い目に遭わないと学べないのさ。



植物にたとえるなら、親は水をあげるくらいでいい。その子が伸びたい方向に行くのを見守って、時々サポートすればいい。

盆栽のように、型にはめないこと。



・ルソー

・福沢諭吉

・エレン・ケイ

・フレーベル

・植木枝盛

・ボルノウ

・スポック

・松田道雄

・太宰治

・コルチャック



この中から、もう知ってたよ、ってこと(その子にまかせておけば、自然とその子なりのペースで成長するもんだ・早期教育は、その子が楽しんでやってるならよし・みたいなことね)は除いて、なるほどなーと思った教えを紹介。





○子供は大人の小型ではない。子供には子供の成熟がある。

将来のため、といって縛り付けて、その子が明日死んでしまったらどうするの?



これは、ちゃんとした言葉では書けないんだけどー

いっちゃんが「お友達」という年代は決まってて、それ以上は「人」になる

みたいなこととも関連があるのかもしれない。



それから、モンゴメリの作品を読んでても、それをすごく感じることができる。



○できるようになったことの裏には、できなくなったことがある。



たとえば、歩くことができるようになったら、ハイハイは上手にできなくなる、とか。

蓋を開けて、「なーんだ」って思っちゃったら、もう「ここには何が入っているんだろう?」っていうワクワクはなくなる、とか。



勉強ができる子は、ずる賢いかもしれない。

できない子は、優しい心を持っているかもしれない。

それでも、できる子のほうがもてはやされるという現実。

できる方がいい!みんなが同じようにできることが望ましいっていう感じでどんどんきちゃってるから、今の日本の教育は。こういうのが差別とかいじめを生むのかもね。



○子供のため、と言いながら、実は大人のためであることが多い。



これは、知ってたことだけど、やっぱり陥りやすいから書いておく。

習い事をするのは誰のため?

いい学校に入るのは誰のため?



○親と子供は家庭において平等であるべき



「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」

の人が家庭でもその考えを実践したんだって。

確かに、親が上から目線で見てしまうもんね。子供に教えられることもすごく多いのに。





それにしても、この人の考えは、堅苦しくないところがいい。

基本的な考え方が似ているから受け入れやすいのもある。



人間として生まれた以上、社会のルールってもんがあるんだから、なんでも自然にまかせてばかりもいられないでしょ。

たとえば交通ルールを知らないで、車の多い場所で遊んだりすることを想像すればわかるね。



だから、その線引きは、その時々で、その子によって親によって変わってくるけど、少しくらい、大人の都合で振り回してもいいんだ。

って思ったら気が楽になった。

だって、電車に乗り遅れそうなときに、寄り道をしたりするから「はやくしてよ!」ってすごいせかすからさ、これって良くないよなぁ、って思ってたのさ。でも、このくらいはいいのね。

その代わり、ゆっくりできるときに、なんぼでも寄り道に付き合ってあげればいいんだよね。



私も育児雑誌しか読んでなかった時期があったから、

たとえば

おっぱいを飲ませるときは、ちゃんと赤ちゃんの目を見て、話しかけて。もちろんテレビを見ながら、や、携帯を見ながら、なんてのはダメ!

って書いてあったからさぁ、気にしてたんだよねー。でも、ヒマでしょ(笑)

そういうのも、別に気にしなくていいんだね。



自分のことはいい。

心配なのは、成人したときに、兵隊にとられるかもしれない世の中に、今向かっていってるってこと。

それから、その辺に売ってる食べ物は、みんな添加物に農薬に遺伝子組み換えばっかりってゆうのも、自分だけではどうにもならないこと。国が変わってくれないと。

200年前、100年前の先人の言葉が、今の日本の状況に当てはまっているなんて、悲しいことだなぁ。

キャロル・シールズ「ストーン・ダイアリー」

2007年05月17日 | 
ストーン・ダイアリー
キャロル シールズ
小学館

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1993年(カナダ)



貸してくれた友達には悪いけど(ごめんね!)よい作品ではない。



実在の人物について書いた小説ですって。

1905~199*年に生きた女性の一代記。

訳者のあとがきによると、著者いわく、伝記と小説の中間の表現があってもいいんじゃないか?みたいな。



わかるけど…

どれが事実でどれが創作?

この書簡は本物なの?

そんなに勝手に人の人生を決め付けていいの?

っていうのがいまいちわかんなくて。

この試みは失敗なんじゃないかと思う。

(でも、ベストセラーらしい。この作品のあと、似た試みの作品が多く出たらしい)



語りも…

最初は「私」と主人公の口から語り始めるんだけど、それが一貫してなくて「彼女」に変わったり、他の人が語り手に変わったり、とにかく忙しい。

いろんな角度から検証したいというのであれば、「私」という語りはなくすべきだと思うなぁ。

原稿を何回も熟読してくれたという、スペシャルサンクスの名前に載ってた人たちは、1人もそのことに気がつかなかったのかしら?

訳が下手だっただけなのかしら?



どうも煮え切らないわね。

モンゴメリ「ストーリー・ガール」

2007年05月17日 | 
ストーリー・ガール 上 (1) (New Montgomery Books 5)
木村 由利子,Lucy Maud Montgomery
篠崎書林

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何年か前に読んだことがあるかも?と思ったけど、全然覚えていない(笑)

読んだことあると思っても、このシリーズは全部読んでしまおう♪



1911年

といえば、結婚した年だから、独身時代最後の作品ってとこかな。

たぶん、自身の子供時代を、この作品につぎこんだからこそ、お気に入りの作品なんだろうな。

ストーリー・ガールが語る物語は、どれも作者の一族の話だったり、作者自身が聞いた話である。



妊娠中に見てたドラマシリーズ「アボンリーへの道」は、この作品が土台のモデルとなっている。



「ぼく」が弟とともに、父の故郷・プリンスエドワード島に来るところから話は始まる。

同年代の、親戚の子供たちがいて、みんなで愉快な(ときには愉快でないこともあるが)夏を過ごし、絆を深める。

みたいなお話。



主人公・セアラ(セーラ)・スタンリーは、ストーリー・ガール、つまり、お話をするのが上手な女の子。

「ぼく」の初恋のような眼差しで活き活きと描かれる。



子供たちは、11~14歳くらい。

大人目線では思いもよらないことを考え付いて実行して失敗したりする。

モードは本当に子供心をよくわかってる人だな、と感嘆させられる。

私たちには大人の気持ちはわからない、だって、大人になったことがないから。

でも、大人は子供だったことがあるのに、なぜ私たちの気持ちがわからないの?

みたいなところは、親として、反省すべき点だ。



ラストのほう、夏が終わる切なさ、物語が終わる切なさがいい。

それに、過去は永遠に自分たちのものだ、という記述がよかった。

未来はないかも?現在はつらいものであるかも?しかし、既に過ごしたあの夏を消し去ることは誰にもできない、みたいなこと。

こういうのを読んで、ハッと気づける自分でありたい。



物語はいったん終わるが、続編がある。

これも楽しみ♪(読んだことあるはずだけど、覚えてないので…w)また借りてこよう♪

モンゴメリ「アンの村の日々」

2007年05月05日 | 
アンの村の日々 (New Montgomery Books 1)
上坪 正徳,Lucy Maud Montgomery
篠崎書林

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収録作品;

想い出への道

仕返し

妄想家

無駄足

ほら、花嫁がやってきた!

鍋とやかん

ペネロピさんの育児



前に、買おうと思ったら、続編しかなかったやつ。図書館にあったので、即借りてみた。

没後見つかった原稿の中から、ブライス夫人(ギルバート・ブライスと結婚して子供が大きくなったくらいのアン)や、子供たちが脇役程度に出てくる短編を集めたもの。短編というよりは中編くらいかしら。



アンや子供たちや、ギルバートも、なんて理想的な一家。

歳をとらない奥さん(アンのことね)ものわかりのいい医師(ギルバート)躾のよくゆきとどいた、美男美女揃いの子供たち。

こんだけ非の打ちどころがないと、かえって気持ち悪いような(笑)

ここまで書かなくてもいいんじゃない?みたいな(笑)

でも、主役は別の人たちなので、それは、まぁ、いいのさ。



それにしても、読書の歓びふたたび!って感じ。

久しぶりにモードの作品を読んだから、もうそれだけで嬉しかったよ。

彼女の作品の良さは、もう書き尽くしたような気がするけど、本当に、読者の心理をよくわかっている構成で、ミステリーではないのに、ハラハラドキドキ。最後にすべてが明かされる部分なんかも、すばらしい。

スピリチュアルな視点から読める作品があるのもいい。



全部よかったんだけど

「花嫁」のやつは、すごくよかったな。

結婚式に出席した人が、それぞれどう思っているか、を並べて書いていくことで、この結婚に至るラブストーリーがだんだん浮き上がってくる、というもの。

事情を知らない遠くの人が、噂に聞いた話を思い浮かべるところから始まって、だんだん核心に迫っていき、結婚する本人たちの思いも挟めて、最後に、花嫁にいちばん近しい人が、友人にことの顛末を話して聞かせる、というところで読者は全貌がつかめる、という構成。

これはよかったな。



図書館にあるやつを読みつくしてやるw