シルミド・裏切りの実尾島・ (ハヤカワ文庫・NV)イ・スグァン,米津 篤八早川書房このアイテムの詳細を見る |
2003年
韓国映画「シルミド」と同じ題材の、より真実に迫ったとされる、実録小説。
関係者の取材を徹底的にした、という。
けど、事件を起こした者は自害・あるいは死刑になっていて、軍事裁判の記録も非公開らしく、その辺が悔やまれるね。
おおまかな流れは、映画を見たから、だいたいわかっていたので、意外とサクサク読めた。
小説、という形式だから読みやすかったってのもある。
主人公は、死刑囚・ジュノ。
刑務所にいるところを、「国家に忠誠を誓い、北朝鮮へ行く工作員となり、侵入して金日成の首を取ったら、死刑を取り消して、かなりの地位につくことも可能」と言われて、軍隊の特殊部隊に入り、無人島である実尾島(シルミ島)で訓練を受けることに。
他のメンバーも、チンピラだったり、前科者だったり、存在を消されても誰も探さないような人たち(実際は違ったのだが)。
しかし、3ヶ月で決行されると言われていたのに、3年以上経っても作戦は決行されず、訓練兵はすべて殺される、との噂が広まり、訓練兵たちは、教育兵を殺して島を脱出し、ソウルに乗り込む。
この国も、国家による詐欺行為は日本と変わらないのねーとか思って読んだ。
これは!って思った部分は、作者の思いでもあると思われるところ。
祖国は祖国であり、政治家は政治家。
自分=国家だと勘違いしている政治家がいるけど、違うんだ。
祖国を愛しているが、自分を裏切った大統領は許せない。この二つに矛盾はない。
っていうようなところ。
愛国心を見せるために国歌を歌え!って強要した誰かさんに教えてあげたいねーここんとこ。
それから、軍隊のある国って、本当にこんなんなんだなー。おっかないなーと思った。
「国家機密」とされている真実が、すべて明るみにされる日は来るのだろうか。