*ウサギのお部屋*

日記・レビューなどなど。
最新日記は数日後に非公開にします。

マーシャ・ロリニカイテ「マーシャの日記 ホロコーストを生きのびた少女」(1965)

2024年01月29日 | 
 
原題は「私は語らなければならない」

ホロコーストも嘘だったみたいな話もあるが、、取りあえず読んでみた。
女性の日記を読むのが好き。
リトアニアの少女。
ゲットーから、強制収容所まで、それから逃げてソ連兵に見つけてもらって助かるまでの4年間の記録。
ゲットーに入る前に父と、ゲットーから移動するときに、母、姉、幼い弟妹と離れてしまい、収容所にはたった1人で行くことになってしまった。

すごい詳細な記録。
うん、日記というより記録。
書いた紙を隠しておいたっていうけど、書けないときは頭に刻み込んだっていうけど、可能だったのかなあ。
でも、そうか、と思う部分もあった。
「ゲットー」ってただ言葉だけで覚えていたけれど、そこに住んでる人がいて、そこに住んでた人がまず追い出されて、それから、別に住んでた人がそこに追い立てられて閉じ込められる。1つの家に1家族ということはなく、5家族も8家族も詰め込まれる。しかも家具もほとんどなく、もしベッドがあったら子供や老人が優先。
っていうことも、知らないで終わるとこだったな。

それから、収容所での過酷な生活も詳細に書いてて、夏の暑いときも大変だけど、冬に背中のあいたドレスしか着るものがないとか、靴や靴下がないとかはもう。
薄い手袋で手がしゃっこくてしもやけになったなーとか言ってる場合じゃないね。。

解放後は、父と姉と再会できて、
作家として活躍し、2016年に死去した。
もう語れない死んでしまった仲間のために語り続けたそうです。


盛鶴延「気功革命 治癒力編」(2005)

2024年01月19日 | 
 
中国出身の著者による、誰にでもやりやすいという気功法などを教えてくれる本。
なんだけど、私は図解とか言葉で説明されても、ぴんとこなくて。。手取り足取り教えてくれないと無理(笑)
あまり本気でやろうと思ってないからだろうね。

でも、その考え方には共感です。
症状を抑えるだけの西洋医学はおかしい。ということ。
病気になるのは、バランスが崩れるから。
例えば陰陽のバランス。
などなど。
これはよく分かる。

例えば、心の病の場合は、その心の向きを変えるというか、原因を取り除かないと治るわけない。
だから、それを薬で治すってのがいかにおかしいのかも分かる。よね。

ここの臓器がおかしいときは、この気功法をやるといいよって細かく教えてくれる。
これは、そういうときに、この場合はどうだろう? ってぱっと見て、それをやるのがいいみたいだね。借りて一度読むだけじゃダメで。
覚えておいて、また活用したいと思います。多分。忘れなければ(笑)


赤澤真理「御簾の下からこぼれ出る装束 王朝物語絵と女性の空間」(2019)

2024年01月19日 | 
 
新しい大河が始まったので、図書館で平安時代のいろいろな本が特集されていた。内容がよく分からなかったけど手に取った本。
建築が専門の方の研究だった。
なかなか新鮮な視点です。知らない話だった。

御簾の下から女性の衣装がはみ出てるってのがあって、それが、平安時代には実際に女性の衣服がはみ出てる感じ、中世以降は服だけを置いてその後ろに女性がいるみたいな感じに変わっていく。
そして、引き上げる簾じゃなくなって、ふすまなどの引き戸になっていくにつれ、なくなってしまった。
っていう話でした。

その衣装が出ている状態またその物自体のことを「打出」(うちいで)という。
女性は姿や顔を隠していたけれど、男性の空間である公の場所に、こうやって存在を出していた。
そこにいる女性の身分によって衣装も変わる感じ。身分の高い女性がいるときは華美だったりなどなど。

あとは、そういえばそうだなと思ったのは、「源氏物語」などの絵について。
例えば江戸時代に描かれた絵もあるんだなと。それだと、平安時代当時のそのままの絵ってわけじゃないんだね。
全部、「昔」で一緒にしちゃいかんな(笑)
だから、描かれた時代によって、その描かれた時代の風俗が入ってる場合もあるということでした。


伊坂幸太郎(編)「小説の惑星 オーシャンラズベリー編」「小説の惑星 ノーザンブルーベリー編」(2021)

2024年01月13日 | 
 
 
伊坂さんが大好きな短編小説を集めたアンソロジー。
前書きですごい熱量で紹介していただいたけれども、、、私にはあまり刺さらず(笑)
好きな作家さんの好きな作品を、自分も好きとは限らないのだなと学びました。まあ音楽でも言えるけれどね。

知ってる話もちょっとあった。「蠅」とか懐かしいね。
目が滑って読めない話もあった。
読めるけれども、「で?」ってなってしまった話も。
でも一応全部読もう。せっかくだから。

あ、これが元ネタであの作品を書いたのかな? みたいなのもあった。
でも、いかんせん、私には刺さりませんでしたですよ(笑)

どっちかといえば、ブルーベリー編のほうが読まさりました。
大した感想じゃなかった(笑)


映画「市子」(2023)

2024年01月11日 | 映画
木曜日までで終わりって言ってたけど延びたみたい? でも行く。
これはよさそうだった。
よかった。
舞台が原作で、その演出家が映画も監督してる。舞台がどんな感じだったのか分からないけど、ロードムービーみもあるから、映画化はよかったんだと思う。

これもかなりいい映画だった。
謎解き系は結構好き。
予告を観た印象と少し違った。
杉咲花さんはさすがですね。彼女ならっていう安心感があるよね。
恋人役の若葉竜也さんは存じませんでした。なかなかいい青年って感じでよかった。

渡辺大知さん地味によく出てるよね。「正欲」にもいた。
びっくりしたのは、机君が机君そのままで出ていた。何か声が似てるけど??? 喋り方が利助っぽいけど??(「天外者」伊藤博文役) って思ったら本人だった。机君(笑)※森永悠希さん。

内容は結構ハードな感じでした。
でもその表現が婉曲だったので、抑えた表現の中で壮絶なところを想像するという感じがよかった。

最後も皆まで描かないところが好き。

全てを知った上でもう一度観たいという意見もあったようだが、、
私は一回で十分な感じでした。

余談は花さんの衣装のワンピースがかわいかった。ああいう体の線を拾わないのを着たいのよ。

お腹空いてたのでちょっと具合悪かった(笑)最後はよ終われーと思った。
次の電車でさっさと帰りました。
おわり。

國部克彦「ワクチンの境界 権力と倫理の力学」(2022)

2024年01月08日 | 
 
いわゆる反ワクな本かなって思って、それを今読む意味あんのかと思ったけど全然違った。
これはすごい本でした。

ここ数年の感染症対策、これを教材に、全体主義に向かっていく危うさについて説いてくれる。

言葉で何かを考えたり伝えたりするということは、あなたの個人の問題ではなく、人類共通のものになる。言葉は人類に共通のものだからである。

誰かの言うことを信じるということは、人類全体に波及するかもしれない。
たとえ、その人の言うことが正しかったとしても、何も考えずに信じるのは危険。なぜなら、いつもそれが正しいとは限らないのだから、いつか間違いを犯してしまうかもしれない。そうすると、将来にわたって罪を犯すことになるのだ。みたいな。
これは面白くなりそう。

著者は経営倫理という専門の方。
国内外のいろいろな思想家の考え方を引っ張ってきて、冷静にフラットに考察していく。
ここでは、ワクチンがいいか悪いかの議論はしない。政府の対策が正しいか否かの議論はしない。
ただ、相反する2つの考え方がある場合に、本来であれば十分に議論を尽くすべきなのに、片方の考え方ばかりを推し進めてきた。反対の声や、疑問、不安の声までも、デマ、陰謀論と言って封じ込めてきた。このやり方はすごく危険であるということ。

何かを信じるということは、思ってる以上に重大なこと。信じる前に調べる義務があると。何も考えずに信じるのは罪。
信じてその道に進んだとしても、常にそれが正しいのかどうか検証しなくてはならない。
それを全て省略してしまっているから、全体主義に傾いてしまう。

うん、ずっと我々が思ってたことを、いや、それ以上のことをきちんと書いてくださっている。
今まで分かってなかった人も、普通に読めば分かってもらえると思う。

科学的に説明できないからリスクはないのだというのも危うい言い方。リスクはないということを科学的に説明しなくてはならないのに。

あとは、健康至上主義みたいな今の風潮も危険。
健康のためなら死んでもいいみたいな(笑)そこまではいかないけど、感染症にかからないことが一番みたいになってしまっている。
それを突きつめたら、生きていればいいみたいな、野生動物みたくなってしまう。野生動物はワクチン打たないけどね。

全部は紹介し切れないのでおわり。