観測にまつわる問題

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生産性と経済

2025-01-10 19:02:29 | 経済財政
今は需給ギャップがあるから、経済が悪いという言説が流行っているようです。もっともらしいですが、本当でしょうか?金融緩和と積極財政を続けて、インフレ目標を達成しているのに、まだ足りないとな?逆に考えてみましょう。ステレオタイプの認識が誤っているから、経済が軌道に乗らないのではないか?

①目標を何処に設定するかの問題で、GDP(国内総生産)が日本のポテンシャルからして小さ過ぎます。他の先進国と同じように成長するだけで、生産はまだ増やせると分かります。ただし、寿命の不可知性から老後の貯蓄は基本的に上手く消費できない可能性はあります。

②需要が無いと言いますが、日本は貯蓄過剰の状態です。貯蓄を消費に変える強力な供給が日本に不足しているのであって、これは結局生産性の問題です。寧ろ需要不足の固定観念が賃金及び低失業率の維持のために企業の過剰保護(護送船団方式の温存)で不要な供給の調整を遅らせてきた可能性が高く、それはつまり質の低い供給が需要を引き出せないということです。ただし、民間の供給の相対的な弱体は公的サービスの充実が原因の可能性があります。公的サービスの充実は(利用者にとってではなく)生産サイド的にコスト高ということであり、お金にならない過剰品質は生産性が低いと言えるのであって、それを削るのが民間ですが、民間部門の拡大が需要拡大だと言えます。つまりコスト高の生産が需要を押し下げています。

③そもそも「減税かつ積極財政政策は出来る」という煽り流行りに対して、インフレが加速するだけと指摘しています。公共投資を減らす代わりに(給与所得控除引き上げによって)減税してインフレ目標を維持することは(人手不足業界に更に需要を増やす意味での)過度の供給を減らし、需要を増やす(=供給が増える)ことになり、経済に良いことを疑っている訳ではありません。当然インフレ目標を基準に上げ下げするべきなんです。インフレ目標達成時に両方やるなんてどうかしています(インフレが足りないなら足りないで目標を上げるべきで、インフレに苦しみながらインフレを促進するのは狂っているとしか言えません)。基本的には国が需要を創るより、民間の需要に合わせて民間が供給した方が需要の深掘りに繋がり、それは結局供給が強化されているということです。

④基礎控除引き上げが駄目な理由は、生産性の低い仕事の支援になるからです。給与所得控除引き上げなら、基本的には最低賃金の縛りがあります。フルタイム最低賃金以上を稼ぐ個人事業主の法人化でフルタイム最低賃金より稼げてない人を減らせば減らすほど、人手不足は解消されていき、潜在需要が満たされ、賃金が増えるので、また需要が増えます。

⑤生産性の低い中小企業を守らないことも大切です。中小企業は労働分配率は高いですが、だからこそ余裕がありません。下請けの価格転嫁対策は重要ですが、基本的には余裕をつくるための価格転嫁であって、余裕の無い企業が増えれば増えるほど、賃金と経済の好循環は無理になるでしょう。日本は現役世代が減少しています。その上でGDPを他国並みに成長させるなら、生産性を高める以外の結論は皆無です。労働分配率が高かろうが低かろうが、企業規模による優遇措置は綺麗キッパリゼロにすべきです。生産性の高い企業規模が正義です。新しい需要を創るのが中小企業が得意なら、中小企業が勝つはずです。資金力がある大企業が猿真似後追いで勝つとしたら、それは基本的には知的財産権の問題であるはずです。結局、供給サイドの強化が賃金を増やし、需要を拡大するということです。

⑥サービス残業はケシカランと思っています。賃金と経済の好循環のためには、企業家が基本的に前向きにならないといけません。時間が限られることで、生産性が上がりますが、その結果、労働者に時間的余裕が出来る可能性が高く、それが消費増・少子化対策・個人の幸福に繋がる可能性が考えられます。勿論生産性の高い人には割増賃金を払ってでも長時間労働して欲しいということはあるかもしれません。それはつまりタイパを意識した消費が促される等、富裕層の消費が増えると解釈することも可能です。生産性はわりと全てを解決します。注意が必要なのはサービス残業をさせると統計上は生産性が上がるということです。実際の時間当たりの生産性は下がっているにも関わらず。これが誤解を招いています。

⑦老後の生活の安心は重要ですが、経済が好循環しているから安心なのであって、負担なき給付で経済を好循環させることは難しいでしょう。誰も働かなくなるからです。経済(生産)が拡大し続けないと、経済は上手く回らない訳です。

⑧中長期戦略ですが、少子化対策は重要です。負担の大きい子育て世帯の支援は、そのまま消費拡大に繋がると思われ、負担の少ない非子育て世帯との公平性が重要ですが、非子育て世帯が老後に不安を感じているなら、非子育て世帯の削減が消費の活性化に繋がるでしょうし、非子育て世帯が不安を感じておらず消費拡大に繋がらないとしても、負担の均等化は少子化対策の切り札になり、年金の逆ピラミッド状態を緩和していくことで、世代間対立を緩和出来ると考えます。子育ての費用を考えると、少子化を推進することで実は国民の幸福は促進され得るかもしれません。しかし人手不足と過度の賃金上昇を通じて、日本製品の価格競争力は落ちる方向性だと考えられ、資源輸入国の日本にとって、これはマイナスです。

⑨輸出も大切でしょう。少子化で内需が不足しているなら、外需です。日本は今貿易赤字です(内需を取られている側です)。遠慮なく円安を利用して輸出を拡大すれば良い。勿論インバウンドも遠慮なく拡大すれば良い。勿論外需を取り込めば取り込むほど円高になるでしょう。それは仕方ないことなので、円安で始めて円高へジワジワ動くことを容認するべきというか、目標をその辺に置くべきでしょう。その昔、超絶円高で撃沈した何とか政権がありましたが、その轍を踏んではなりません。これは今の日本が円安誘導しているという意味ではありません。無論、購買力平価は日本は下がっています。過剰な円安だという人もいるでしょう。しかしちょっと考えてみて欲しい。需要不足の日本が外需を切って、経済が復活するのか?経済が好調なら、方向性としては円高に向かうでしょうが、円高にすれば経済が好調になるというのは倒錯しています。円高が物価を十分安くする保証も無ければ、浮いたお金が消費に回る保証もなく、今の日本は円高方向の安定的な円安を必要としており、それは物価の継続的上昇要因ではありませんし、賃上げが始まり企業家のマインドが変わりつつありインフレ目標は達成しているので、今あえて円安による物価上げは必要ありません。

⑩労働集約の仕事は日本に必要ありません(生産性を上げるのです)。高失業率に悩む途上国に委託するべきでしょう。それで物価が抑えられ、日本の需要は拡大します。日本に仕事が無くなったら困りますが、今は人手不足なので、大丈夫と考えて良いでしょう。途上国が豊かになることによって、インバウンド消費の増加やハイエンド製品の輸出にも繋がると考えられます。ただし安全保障の観点から、委託先に注意は必要です。敵対的な国の経済が強くなったら、防衛費の増大に繋がるのであって、自分で自分の首を絞めるようなものです。

⑪研究開発力は高付加価値創出型経済の実現(勿論生産性は上がりますが、これは潜在需要を創出します)に向けて重要です。日本は理系の給与が低く、今から頑張っても、短期的には研究開発力は落ちると考えられます。貿易収支が赤字になっているので、もう落ちているのではないか?注意すべきはここではアメリカを参考にしてはならないということです。アメリカはドルを世界に供給して世界の成長を助けています。構造的な貿易赤字国家と言えます。アメリカが慈善事業をしている訳ではありません。世界の成長はドルをアメリカに還流させ、空前の好景気を産み出しています。アメリカの金融は断トツトップな訳です。アメリカがそれが嫌なら、アメリカはドルの覇権をあっさり捨てて、中国元に覇権を譲るでしょう。確かにトヨタは強いです。新日鉄もわりと強いでしょうし、造船も技術はあるかもしれません。復活の余地はあるでしょう。しかし、公平に見て、家電(や半導体)が象徴的ですが、日本は中韓に押されています。理系の給与が上がることで、中韓への技術の流出も避けられます。今は完全に悪循環です。

⑫地方の過疎化が進んでいます。近視眼的には東京の生産性が高いからです。地方は強みを活かして生産性を上げるべきですが、よくよく考えてみると、人口を生産しているのは地方です。東京は出産子育てコストを地方に丸投げして成長しているとも言えるんですね。その代わりに財政支出もやってはいますが、いずれにせよ、地方の縮小でこのサイクルは持続可能ではありません。どうするかですが、大都市の物価は高いという当たり前の原点に戻るべきではないか?大都市に人が流れるから、大都市と地方の賃金を揃えていこうというのが陥穽だと思います。人は生活していかなくてはなりません。高い賃金が高い物価に繋がり(今までの日本は価格転嫁が機能していなかった訳ですが)、安い賃金が安い物価に繋がるなら、必ずしも地方から都会に出ていくということにはなりません。名目最低賃金に気を取られてはなりません。実質最低賃金の格差は縮小傾向にあるようで、それなら事態は実は既に改善していると言えます。それでもなおそうは思えないのは、それだけ日本全体の少子化が深刻ということ/地方の人手が取られているということですが、つまり東京は人手不足状態であり、地方から人を取っているのに人手不足なのは、働いてない人を(配偶者控除を主体とした働ける人の)扶養控除、或いは家事手伝いの形で抱え過ぎだと思われます。なお夫婦別姓の流れは、父と娘の絆を深めることによって、家事手伝いを増やす方向に働き、少子化を促進していると思われます(中韓伊でそうなっています)。夫婦同姓は核家族に向いており、核家族が中長期戦略に適います。高所得者が夫婦別姓を強力に志向し、働かない家事手伝いを産んで、(中途半端な高所得者が)少子化を促進するのではないか?日本はまだ選択的にでも夫婦別姓を導入していません。それが高所得者の出生率の減少を押しとどめている可能性があります。いずれにせよ、都会が労働力を自前で供給すれば、結局物価は抑えられ、実質賃金は改善しますが、名目賃金も抑えられ、大都市への人の移動が抑えられる可能性があります。大都市の(低所得者の)実質賃金が改善すれば、中長期的に自前の人口増で地方からの人の吸引が抑制される可能性も高いです。ここで物価の解像度を上げると、人件費率の高い業界の都会での物価は上がってゆきます。従ってサービス業の都会での物価は高くなるでしょう。地方で遊んだ方が安いということになるはずです。これは地方の幸福度を上げる可能性があり、大都市への人口流出が抑制される可能性があります。また大都市の会社員が出産子育ての負担を地方同様に引き受けることで、大都市住民の幸福度を経済的に下げる可能性があり、また大都市の法人の効率性を落とす可能性があって、いずれにせよ、大都市への人口の流入が抑制される可能性がありますが、中長期的には自前で人口が増加する割合が改善します。長くなりましたが、要約すると、物価は上がり始めたばかりで少子化対策は本腰が入っていません。ガタガタ言わずにインフレ目標の堅持と少子化対策をやってみろということです。

⑪生産性の低い中小企業が地方に多いとしたらどうなるのか?それは遅かれ早かれ衰退します。生産性の低い企業は生き残ることが出来ず、仕事が無いことが地方から人が出ていく主な理由のはずです(今は地方は人手不足ですが)。天に唾を吐いても仕方がない訳で、生き残れるところが生き残るしかありません。それを少しでも緩和するなら、少子化対策に力を入れる(入れさせる)ことです。

⑫移民はどうか。世界共通言語でデジタル移民や(仕事がキツイと嫌われている)肉体労働の移民は生産性が高く実質賃金を上げる可能性があります。需要をロスして少子化を乗り切れるのか怪しいので、必要に応じて移民は考えられていいと思いますが、レジ打ちのような単純作業を安い賃金で移民にやらせるのは、仕事が無くなるだけで止めた方がいいでしょう。要は生産性が高く人手不足のキツイ仕事は移民が参戦する余地があります。人手不足が解消されるまで何処までも賃上げすると、生産性が上がってないのに物価が上がるだけであって、実質賃金が落ちる方向性でしょう。ただし犯罪には注意する必要があります。絶対的に安い賃金でこき使うのは物価の問題があり、企業家は諦めた方が良い。稼げている移民が容易に犯罪を犯すと思い難いですが、仕送りは兎も角、家族の帯同で扶養は要注意するべきでしょう。

⑬農業といった食料生産の生産性はどうか。消費の拡大のためには消費性向の高い低所得者を切り捨てる訳にはいきません。人は食べずに生きていけず、低所得者はエンゲル係数が高く、食料安全保障の観点からも、先進国が農家等に給付を出して生産過剰にして価格を抑えることは意味があります。ただし獲る漁業はアウトです。高い生産性は将来の低い生産性に繋がるからです。結論として魚の数に併せて漁業従事者の数を調整するしかありません。仕事を分け合うのではなく、仕事が少ないなら、その仕事から離れるべきなんです。勿論理論上は補助金を出して仕事を分け合うことは出来ます。しかし無駄な補助金が国民の理解を得られるか怪しいということです。消費税の軽減税率や免税事業の見直し(不労所得には課税)も食費の抑制の観点から考えるのは良いと思います。

⑭林業の生産性はどうか。脱炭素の観点からは世界の森林の減少は望ましくないでしょう。世界の森林の減少の要因を分析して、例えば農地開発に問題があるなら、日本がちゃんと食料生産しておくことが間接的に重要です。パルプや建築用木材に問題があるなら、日本がちゃんと木材生産しておくことが直接的に重要です。パルプや建築用木材の需要を補助金を出して振興しないことも要考慮ですが、砂利は有限だと思われ、循環型経済の視点から/長期戦略で、木材重視は意味の無いことではなさそうです。日本の地形は急峻で、林業はコスト高体質だと思われますが、以上の観点から林業振興に意味が無いとは言えません。ただ需要増大策が微妙というだけです。

⑮防災も生産性が重要です。建築建設は人手不足で需要を振興する局面に無いからです。過疎が問題と言いますが、自分達を守るだけの防災対策が国民の理解を得られるとは思えません。その地域が他所の地域に貢献している=仕事があるからこそ、防災にお金をかけるのもありだよねとなります。防災だけで地域を支えるのは不可能です。

⑯最後に法人税/内部留保課税はどうか。お金を使わないなら、増税も要考慮だと思います。特に内需に依存する企業においては、増税が企業の海外逃避に繋がることもありませんし、使わないお金を取るだけですから、経済にプラスにしかなりません。しかし輸出企業保護も過剰にならないよう気を付ける必要はあります。友好的な外国人のヘイトを買うのでは、日本は国際的に生きていけませんから。いずれにせよ、研究開発で高付加価値創出は重要ですが、それを誘導するための税制は一考に値するでしょう。財源に余裕があれば、法人税減税とセットでもいいし、余裕が無ければ、切り札にもなります。

世代間格差をどう考えるか

2025-01-10 18:54:19 | 少子化・男女問題
世代間格差の問題の解決ですが、賦課方式を積立方式にすることは出来ません。高齢者世代は子供を作ってきており、進歩した社会で利益を得ているのは若者世代という視点も必要です。とは言え、逆ピラミッドを支えるのはキツイでしょう。

一つには働き手を増やすことです。働ける成人の扶養控除はゼロが問題解決に資すると言えます。また未成人の扶養控除もゼロで所得制限なしの一律給付に出来れば、逆進性が改善するので、消費の促進、階層の流動化という観点でなお良いです。

後、日本は高齢者層に資産が偏ってより、寿命の不可知から消費に繋がっていません。インフレ目標の堅持とゼロ金利政策の維持、為替介入による資本逃避の抑制が今の日本の過剰貯蓄対策として有効だと考えられます。消費が増えれば、企業の収益も上振れ、賃金がアップして、逆ピラミッドを支える余裕が出てきます。政府の黒字傾向に対しては、防衛費の増加、少子化対策への支出、給与所得控除の引き上げで世代間格差縮小が対応として考えられます。

少子化問題解決の最適解

2025-01-10 15:50:43 | 少子化・男女問題
少子化問題を解決するには、事実上の子無し税を取って子育て世帯にバラ撒くしか無いんですが、低所得者が子供をつくってない問題があるので、効果的な子無し税とは累進課税になります。つまり所得税で取って、所得制限なしの一律給付でバラ撒くのが最適解です。大幅所得税減税も年少扶養控除の復活も低所得者に厳しいという意味で今の問題解決に逆行しています。所得制限なし給付の理由は所得税の累進課税との二重取りになるから、子育て世帯への給付という理念に反するから、壁が生じるから、行政の簡素化に反するからです。増税をしなくても過剰投資の公共事業を削って所得税を財源とすれば良い。