TBS報道特集
「インクルーシブ教育が変えるもの」
障害がある子もない子も、ともに学ぶ「インクルーシブ教育」。
特別支援学校に通う子が増えるなか、障害の有無によって環境を分けることなく同じ場で学ぶ現場を取材した。
https://www.youtube.com/watch?v=8BuUmZXK40s
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《きょうだいについておもうこと》
【家に友だちが遊びに来るようになった。
友だちが来て一番驚いていたのは、2歳年上の姉の光里さんだったという。
実は光里さんは、カズキ君が通常学級に通うことに反対していたのだ。
(母)「どうして普通学級なのと、私に対しても言ってきました。迷惑かけるでしょって。でも友だちが遊びに来て、あ、こういうふうな仲間になるんだって、娘はすごく変わっていった」
(光里さん)「最初は、自分の心も、子どもってこともあったんですけど、同級生とかに、なんかこんな弟いるんだっていう認識も嫌だなって思ったりした時期があって。だけど今はなんかぜんぜん周り気にしなくなって、それはカズキのクラスのお友達のみんなのおかげかなと思ったりしています。」】
□
姉の生きてきた世界のなかでは、弟が受け入れられる世界は想像できなかったのだろう。現実にふつう学級に入れなかった6年間の親と弟の思いも一番近くで見ていたのだから。
それを溶かしたのは、中学の同級生たちだった。弟のつながりの両端が、姉の目にも見える。一度見えてしまえば、「本物」か「嘘」かは間違えようがない。だから、信じられる。
光里さんは「心が子どもだったから」というけれど、光里さんのせいではない。子どもだからでもない。弟を分け続けた学校が、光里さんだけでなく、すべての子どもに教えていたことだ。
「きょうだい」の問題のように語られていることの多くは、そのきょうだいのせいではなく、社会が植えつける怖れのせいなのだ。
もしカズキ君が小1から普通学級にいたら、友だちの中にいる弟の姿をはじめから見ることができただろう。光里さんが「なぜ普通学級とか、迷惑をかける」と思うようになるずっと前に。