ワニなつノート

ほうきと生米(その6)

ほうきと生米(その6)


Hideの二つの記事を紹介します。
同じ「事件」の記事ですが、印象は違います。

ほうきで殴られることは、被害者本人にとっても、家族にとっても「痛み」そのものです。

そして、その「被害」を、周囲がどのように受けとめ、扱うかによって、痛みは、深まる場合があります。新聞記者の人には、こうした事件を扱うときには、加害者や事業所への取材だけで記事を書くのは、考え直してほしいと思います。

学校に置き換えれば、「いじめた側だけにいじめた言い分を聞くこと」や、「いじめはない、という学校の言い分だけ」で、記事を書くことと同じです。
それは、いじめられた子どもと家族を、さらにいじめていることになります。



    ◇     ◇     ◇     ◇


傷害:障害者の体たたく 柏のNPO、
男性ヘルパー解雇 /千葉


毎日新聞 2011年6月16日 

 柏市のNPO・・の男性ヘルパー(63)が、派遣先の知的障害者の男性(27)の全身をほうきでたたいてけがをさせたとして、県がNPOに再発防止を行政指導したことが分かった。NPOはヘルパーを解雇。被害者の男性は家族を通じて被害届を提出し、柏署が傷害容疑で調べている。

 NPOによると、男性は5月2日午後2時半ごろ、柏市内の自宅アパートで昼食後に何度も「食べたい」と意思表示をして興奮状態になり、夕食まで待つよう求めたヘルパーともみ合いになった。男性は室内にあったほうきで繰り返したたかれ、背中がはれ、手から出血する軽傷を負った。

男性は言葉が不自由で身長が約180センチあり、複数のヘルパーが交代で24時間態勢で介護していた。

 NPOは責任を認め、今月5日に理事長が辞任。ヘルパーも5月末に解雇した。・・・理事は「重大な虐待、人権侵害と受け止めている。申し訳ない」と話した。
【早川健人】


    ◇     ◇     ◇     ◇

「障害者自立に支援を」虐待問題で母親訴え

読売新聞 2011年6月28日

知的障害者の男性(27)が先月、柏市のNPO法人の男性ヘルパー(同月末で解雇)にほうきで背中をたたかれる暴行を受けた問題で、男性の母親が27日、読売新聞の取材に対し、「障害者の自立のために、介助するとたちに障害者への理解を深めてほしい」と訴えた。障害者虐待防止法が17日、国会で成立したばかり。

       ◇

「息子は言葉がしゃべれず、人をつねることなどでしか、『イヤだ』という意思を伝えられない。暴行した人は何とでも言えるが、誰が息子を守ってくれるのでしょうか」

26日に千葉市内で開かれた、児童虐待について考えるシンポジウム。終盤、約30人の出席者の中から、仲井さんが立ち上がり、語りかけた。
仲井さんは障害者の介助に取り組んだ経験を持つほか、障害児の育児相談や就学支援を行うグループ代表も務める。

仲井さんの三男は今年5月、柏市のNPO法人・・から派遣された男性ヘルパーにほうきの柄で体をたたかれ、手や背中に軽傷を負った。このほか、食事だといって、めんつゆをかけた生米を与えられていた。仲井さんは三男への暴行について、「無抵抗な人を一方的に攻撃するのはひどすぎる」と憤る。

三男は言葉は不自由だが、他の人が話す言葉は理解でき、小中学校は普通学級に通学し、工業高校を卒業。家族は「障害があっても、自分らしい生活をしてほしい」と願い、3年前から柏市内のアパートで一人暮らしをしていた。生活保護や障害年金の給付も受け、自立した生活を送っていた。知的障害者としては珍しく、「今後のモデルに」と期待されていた。
男性ヘルパーは周3回程度、三男を介助。暴行については謝罪したが、なぜ暴行したのか、仲井さんは理由を聞いていないという。

障害者への虐待を発見した際に市町村への通報を義務づける障害者虐待防止法が17日に成立、来年10月に施行される。仲井さんは今年10月、障害者の親や介助関係者らと協力し、同法を学び、障害者への接し方を考える会を開く予定だ。
仲井さんは「障害者を親がいつまでも抱え込むには限界がある。障害者が一人で生きていくことができるようにするためには、周囲の理解と助けが不可欠」と話した。

コメント一覧

mayumi
ありんこさんへ、
私は、ありんこさんの言葉で、傷ついていませんよ。大丈夫ですよ。今回感じたのは、記者の取材の仕方、書き方で、被害者は、何度でも苦しめられる、と感じました。
ありんこ
言葉が足りずすみません。

この事件をこのブログで知ってモヤモヤっとしたものが多くて

箒の柄で殴りめんつゆをかけた生米を食べたさせた→父親のように接していた

被害者であるはずなのに→意思表示をして興奮状態となり云々、身長が180センチあり・・・。などなど

自立生活センターの関係者も記者もその先にどんなメッセージを込めているのかと
加害者側の言い訳ばかりが幅を利かせまかり通ってしまう
そんな社会であってほしくはないと感じました。

mayumiさん私の言葉で傷つけてしまって申し訳ありません。お詫びいたします。<(_ _)>

どんなに言葉で自らが受けた被害を訴えることが出来なくても「…仕方がない」で片付けてしまおうとは現時点では思ってはいません。
今後の成り行きを見守っています。

mayumi
「加害者側だけを取材した記事は、変ですよね。」だけでは、私たち被害者本人と家族は、済まないのです。
その記事でまた苦しむのです。反論できない、障害があることで、仕方がない様な捉え方をされるような文章。事実は、箒の柄で殴ったこと、「これでも、食ってろと」、生米を食べさせたこと。誰にだって、そんなことは、やってはいけないことなのに。
ありんこ
記者の視点がまったく違っていて、同じ事件を取り上げたものとは思えませんね。
記事を読んむ読者への事件の印象の広がりが違ってくるでしょうね。
通常事件が起これば加害者と被害者への取材をして記事が構成されていくのに加害者側の取材だけで記事を書いてしまうって普通に変ですよね。

新聞に載ったとあったので紙面をくまなく探しましたがこちらは震災記事中心でなくてどんな風に載っていたんだろうと思っていました。
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