ワニなつノート

ほうきと生米(その7)

《障害者と認知症高齢者と女性と》


Hideの事件があり、千葉県は『自立生活センター』に対し、「指定障害者福祉サービス事業者等」の調査を行いました。この調査に基づき、「改善報告書」の提出を求めました。5月26日のことです。



【特定非営利活動法人自立生活センターケーツー 理事長 様】

【千葉県健康福祉部長】

【指定障害者福祉サービスの事業者に対する調査結果について(通知)】


障害者自立支援法(平成17年法律第123号)(以下「法」という。)
第48条第一項の規定に基づき実施した調査の結果、下記のとおりの結果を得たので通知します。ついては、現場において職員が説明、指示した事項も併せて考慮の上、所要の措置を講じ、当該措置による改善状況等について報告願います。

《中略》

3・指導事項改善状況等報告書の提出期限
平成23年6月27日(月)


        


という訳で、27日に県に確認したところ、改善状況等報告書は、「白紙」でした!!

県によると、事業所から「提出」はされたが、受け取らずに返した、ということのようです。

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事件があったのは、5月2日です。
事件の概要は、その場にいた加害者、目撃者の証言と、事業所の聞き取り調査、県の聞き取り調査によって、ほぼ全容は明らかになっています。

ところが、その事件を受けとめ、改善策を考えるべき事業所が、2カ月たってもまだ「改善策」が作れないでいる、というのです。
少なくとも、県が「受理」できる程度の「改善策」も提示できないというのです。

事件そのものは、形としては「一ヘルパーの暴行」です。
「個人の虐待」であるとも言えます。

しかし、それに対する改善策も示せない事業所の在り方は、それ自体、障害者全体に対する「虐待容認」の姿勢につながります。その危機感、緊張感がないようにも感じられます。

5月2日以降も、hideはそこで生活しています。Hideの生活を支えるヘルパーの人たちもがんばっています。これでは、せっかく、現場でがんばって働いているヘルパーを守ることさえ難しくなるのではないでしょうか。

        ◇

タイトルにあげたように、これは「障害者」の問題としてだけ考えては、うまくいかないように思うのです。
「虐待」への対応に関しては、すでに「虐待防止法」が成立していた高齢者への対応の方が進んでいます。

でも、やはり、障害者、高齢者、認知症、といった「問題のある人」への「対応」が鍵ではありません。
なぜなら、ほんの百年前には、それは「女性」の問題だったからです。
そこでは、「女性」が問題なのであって、障害や認知症といった病気や障害が問題ではなかったからです。

時間がないので、短い引用を置きます。
 


           

これらの科学者たちは自分を善意の救助者で、女性をその低い水準から引き上げる者と思っていたが、男女の社会的地位が平等である世界など片時も思って見たことさえなかった。

女性は研究して人間らしくケアする対象であって、固有の権利を有する主体であるべきではなかった。

ヒステリーについての啓蒙的な見解を擁護するその同一の人物がしばしば、女性の高等教育機関への進学、専門職への加入を認めず、また女性の参政権に反対している。

『心的外傷と回復』ジュデス・L・ハーマン著 


            


これらの専門家たちは自分を善意の救助者で、障害児をその低い水準から引き上げる者と思っていたが、障害のある子どもの社会的地位が平等である世界など片時も思って見たことさえなかった。

障害児は特別に支援して人間らしくケアする対象であって、固有の権利を有する主体であるべきではなかった。

障害児教育についての啓蒙的な見解を擁護するその同一の人物がしばしば、障害児の普通学級や普通高校などの教育機関への進学に反対している。

『ワニなつノート』yo
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