《新しい能力を考える メモ①》
《 他者と同調する能力 》
相談会あるある。その1。
「自分の気持ちを伝えるのが苦手」
「協調性がない。」
「みんなと、うまくやれるか」
「社会性を育てたい」
そういう言葉をよく聞くが、そのためにはどんな「能力」が必要かは、あまり語られない。
でも、「この子には難しい」と考えているのは、「障害」があるから。
障害=能力がない、あるいは遅れている、から。
あれ、でも、その「能力」って、なんていう能力だろう?
この本に、「他者と同調する能力」という言葉がある。
「障害児教育」の話ではない。
「ことばが話せる能力」と、「他者と同調する能力」は、同じではない。
「ことばでのコミュニケーション能力」と「他者と同調する能力」は、同じではない。
「文字の読み書きの能力」と「他者と同調する能力」は、同じではない。
では、「他者と同調する能力」は、何によって成長するのか。
「私の学校、私のクラス」が、「私たちの学校、私たちのクラス」に感じなじむこととつながる。
「私の先生」=「わたしたちの先生」という二重の意味を、考えるまでもなく理解することにつながる。
「同調する能力」は、個性を殺して他人に合わせる、ことではない。
その場所で、自分の居場所をみつけるために必要なものでもある。
「身体はトラウマを記憶する」という本では、「トラウマ」が、「他者と同調する能力」をどう変えるか、ということが明らかにされている。
子どもにとって、トラウマの一つは、「親や家族、きょうだい」から「分けられること」。
そして、友だちから、仲間から、「分けられること」だ。
子どもにとって、「分けられること」は、十分「トラウマ」になる。
そして、「分けられること」は、「他者と同調する能力」を、大きく変える。
ふつう学級で、「他者と同調する能力」を育てるために必要なことは何か?
気をつけなければいけないことは何か?
特別支援で、「他者と同調する能力」を育てるために必要なことは何か。
気をつけなければいけないことは何か?
◇
【神経科学の発展のおかげで、脳の発達や自己調節、意識を集中したり他者と同調したりし続ける能力をトラウマがどう変えるかが、以前よりよく理解できるようになった。
高度な画像技術によって、PTSDの脳内の起源が突き止められたので、トラウマを負った人々が他者や物事に関与するのをやめてしまう理由や、音や光に悩まされる理由、些細なきっかけで感情を爆発させたり自分の殻に閉じこもったりする理由が、今ではわかっている。
人生を通して、脳の構造と機能が経験によってどう変わるかも…明らかになった。
私たちは、トラウマの治療法を知っているばかりでなく、予防法もしだいに解明しつつある。】
「身体はトラウマを記憶する」(581~2)
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