ワニなつノート

下市の少女 登校へ(朝日)

先日の奈良の中学校の件、
朝日新聞の地方版の記事を見つけました。
いろいろな意味で参考になるので、転載します。



下市の少女 登校へ

◎「現状に固執」と批判◎

◆地裁 町教委、対応示さず◆

車いす生活を送る下市町の
谷口明花(めいか)さん(12)の中学校への入学許可を
町教委に仮に義務づけた26日の奈良地裁の決定。

「命の保証ができない」として入学を拒否した町教委の判断を
「著しく妥当性を欠き、違法」
「障害のある生徒の自立、社会参加を支援する
特別支援教育の理念に反する」などと厳しく批判した。

この決定に、明花さんや両親らは
「1日も早く登校したい」と喜んだが、
町教委は今後の対応について言及を避けた。
(高橋友佳理、吉岡一)


決定の根拠として一谷好文裁判長はまず、
06年6月の学校教育法改正時の衆参両院委の付帯決議で
「健常児と障害児の交流、共同学習のいっそうの推進」
「就学先指定で、本人・保護者の意向の十分な聴取」
とある点を指摘。

さらに09年度には、
「特別支援教育支援員」配置に360億円の予算措置がある
バリアフリー化など必要な設備の整備に国庫補助がある、
などと予算面でも工夫の余地があることを示した。

そのうえで、町教委が就学拒否の理由として
主張する点について検討。

◆1年生の教室を4階に固執する必要性はない

◆生徒数199人と多くないので、教室の位置変更は可能

◆体重は中学卒業までに移動の介助が困難になるほど増えない

◆肢体不自由児を指導する専門教員がいないというが、

◆教員の加配などが可能であり、そもそも一般教員に

◆特別支援教育の専門性の向上が求められている、

などとして、いずれも妥当性はないと排除した。


結論として、「町教委は、結局のところ、
下市中の現状の施設、設備、教員配置に固執し、
現状でとれる手段や改善の余地を検討することなく」
受け入れを拒否したのであり、
「妥当性を欠き、特別支援教育の理念を没却し、
裁量権を逸脱、乱用し、違法」と断じた。


一谷裁判長はさらに、決定の緊急性についても言及。

「下市中学で他の生徒と授業を受け、
学校生活を送ることで障害を克服し、
心身共に成長するための時間が刻々と失われる状況にある」

「すでに失われた時間が
3カ月近くに及んでいることを考慮すると、
償うことのできない損害を避けるために緊急の必要がある」

と繰り返し強調し、強い調子で、
明花さんの早急な受け入れを求めた。


◆父親「温かく迎えて」◆

地裁の仮決定を受け、父親で公務員の正昭さん(51)は
「全国から手紙やお電話で励ましをいただいた。
今は感謝の気持ちでいっぱい」。

母親の美保さん(45)は
「バリアフリーは拒否の理由にならない、と
これまで何度訴えても聞き入れてもらえなかった主張が
やっと認めてもらえてほっとしています」。

両親は7月から登校させたいといい、
明花さんは「友達に会えるのがうれしい。
もし音楽クラブがあったら入りたい」と笑顔を見せた。
 
一方で正昭さんは
「(訴訟は)これで終わりでなくこれからがスタート。
(入学して)中学の先生が温かく迎えてくれるかが一番心配」
と不安ものぞかせた。

町教委などによると、下市中には肢体不自由児のための
特別支援学級がなく、明花さんが通うためには
学級の設置などの準備が必要になる。

また、町教委が決定を不服として抗告すれば、
入学が延びる可能性もある。

町教委はこの日、「決定の詳細を把握していない。
今後、内容を熟読精査したうえで、対応を検討していきたい」
と談話を出しただけだった。

下市中は「町教委からの指示を待って対応する。
報道による騒ぎで子どもたちに多大な影響が出た。
谷口さんが来たら他の生徒となじんで、
全生徒が落ち着いて勉強に取り組めるようにしたい」としている。

2009年06月27日 朝日新聞
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