小さな子どもたちが学び始める学校というところでは、「問題が起きること」が悪いことと考えるのではなく、「起きる問題は起きた方がいい」と考える方が、自然なことだと思う。
「順調に問題がおきること」、それを「苦労してみんなで考えること」、そんな集団生活の学びの場であることは、とっても「いいこと」だと思うんだけど。
【こ】子どもには風変わりな特権がある
だから、子どもの「風変わりな特権」により起こる問題は、大人が大騒ぎして「予防」を考える問題ではありません。学校の外から強盗が入るとか、誰かが更衣室に隠しカメラを置くとか、そういう「問題」が起きないようにするのは、校長の仕事です。でも、子どもが、子どもであることで「起こる」問題は、それを「受けとめる」のが教師の仕事です。
そこで、問われるのは、先生の「問題予防能力」ではありません。
大人の、『子ども対応能力』が問われるのです。
たとえば、「就学時健康診断」という子どもへの詐欺を毎年のように繰り返し、専門家や先生がよってたかって必死で探しているのは、「学校で問題を起こす子どもはいないか?」ということです。
でもね、相手は、ただの5歳、6歳の子どもです。
どんな「大問題」を起こせるというのでしょう。
そもそも、たった数時間の健診で「発見」できるのは、大人が「予想」できる「問題」を起こしそうな子どもです。
予想できる。予見できる。
5歳、6歳の子どもが起こしそうで、しかも大人が「予見」できる「問題」。
たいした「問題」じゃないと、断言できます。
そこで見えてくるのは、やはり大人の「子ども対応能力」です。
それをあってはならない「問題」と呼ぶ、大人たちは、きっと子どもの頃、「風変わりな特権」を認めてもらえないまま大人になったのだと思います。だから、その特権を知らないし、味わったことがありません。だから、おとなになってからも、子どもたちに認めてあげることができないのかもしれません。
(つづく)
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