《45分とふつう学級の話・後編》
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「45分座れない子」は、どんなふうに語られてきたか。
「落ち着きがない」「言うことを聞かない」「指示が入らない」「多動」という言い方があった。
「じっとしていられない」のは、その子が「アクセルを踏んでいる」からと考えた。だから「立ち歩くな、座りなさい」と怒られる。
でも、本当はブレーキが見つからなくて困っているのかもしれない。ブレーキが効かなくて、心臓ドキドキ、呼吸ハーハー、心は「千々に乱れる」。そんな状態で焦っているのかもしれない。
あるいはアクセルもブレーキも、どちらも見つからなくて困っている子もいる。一見、「45分座っている」。でもその子は教室から「逃げ出す」子と同じくらい怖れ、凍りついているのかもしれない。
座っていることが「できる」のではなく、「凍りついている」だけ。その状態が長く続けば、やがて学校に向かう気力もなくなってしまうかもしれない。
私たちは「45分座っている」ことを、「ふつう学級」にいられるかどうかで語ることに慣れすぎて、一人ひとりの子どもの声に向き合うことを、忘れていたのかもしれない。
今年の就学相談会は、少していねいに話してみたい。