⑤《子どもの作品》
りさちゃんが2年生になって初めての授業参観の日。
教室前の廊下に子どもたちの絵が貼られています。
壁いっぱいに貼られた絵の中で、お母さんやお父さんの笑顔があふれています。
子どもたちの絵の表情につられて、お母さんお父さんの笑顔があふれます。
《遅れを招く環境的対応》
一年前、お母さんは30枚の絵の中から、りさちゃんの絵を探しましたが、すぐには見つかりませんでした。
そこで絵の下に書かれた「名前」をたどって、その絵を見つけたとき、お母さんは少し悲しい気持ちになりました。
それはお母さんが知っている「りさの絵」ではありませんでした。
よく見ると、下の方に「りさちゃんのまま」と、子どもの文字がみえます。
りさちゃんが画用紙の端にぐじゃぐじゃの線しか描かないので、先生がとなりのまきちゃんに、りさちゃんのお手伝いをしてあげてね、と頼んだのでした。
まきちゃんは、いつもりさちゃんのことを気にかけてくれます。
自分の連絡帳を書いたあとに、必ずりさの連絡帳を書いてくれます。
折り紙も二人分折ってくれます。
りさちゃんは、いつもクシャクシャの折り紙ときれいな鶴を持って帰ります。
お母さんは、その両方をタンスの上にかざっています。
だから、まきちゃんの気持ちはとてもうれしく思います。
でも、やっぱりその絵の前で、笑顔にはなれませんでした。
《子ども自身の適応行動を促す対応》
りさちゃんは絵を描くのは好きですが、2年生になっても少しも上手になりません。
ドラえもんも犬もネコもうさぎも、どれも同じ○と‥に見えます。
りさちゃんが2年生になって初めての授業参観の日。
お母さんが探すまもなく、りさちゃんの絵がみえました。
廊下には、遠くからでも一目でわかる、その絵が貼ってあります。
隣のクラスの男の子が、なんだこりゃーと、こけながら通っていきます。
お母さんは、みんなの絵を見比べて、他の子どもたちの成長に驚きながら、でもそこに○と‥の絵が並んであることがうれしくてしあわせな気持ちでした。
家に帰って、「アンパンマンの絵、上手だったね」というと、りさちゃんは、「お母さんだよ」と教えてくれました。
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ishizaki
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