《その4》【まゆーきの能力と篠原先生の本から】
「障害児の高等教育の場」について考えるとき、篠原先生の本をひっぱりだした。
篠原さんが、大学で教えた「障害のある」学生だった人たちとの対談だ。
2010年の本だが、以前読んだ時より、今の方が面白い。
たぶん、「まゆーきの能力」を考えているからだと思う。
「関係の原像を描く」というタイトルだが、そこに描かれているのは「大学」という場所が元になっている。
でも、関係の「原像」なら、生まれた時からの「関係」を築いている「まゆ&ゆーき」が「原像」と言える。
そんな訳で、強引に、篠原先生らしい(?)こだわりの部分を引用する。
◇
【街中を一緒に歩くことまで「福祉」になっている】
篠原:
「健常」者側は、そういう設備が整ってきたので、手を貸さなくても「障害」者が街中を一人で歩けるようになったと思い込んで、「視覚障害」者の傍を通り過ぎていくという感じになっていないかなぁ。
瀬川:
……声をかけてくる若い人のなかには、福祉教育を受けてるなってわかる人がいる。
あそこに白杖をついて歩いてる女の人がいるからじゃなくて「障害者」がいるから声をかけるみたいな感じでね。黙って人の手首をつかんだり、男だろうが女だろうが、私の腰に手を回す人もいる。性別も年齢も関係なく、ひとを「障害者」という物体のように扱ってくることに腹が立つ。
篠原:
なるほどね。街中で、偶然に通りかかった「見えない」人と一緒に歩くことさえも、「福祉の心」を持った“クロウト”の行為になってしまっているんだ。
瀬川:
最近、ライトセンターの便りを見ていたら、「私たちは、視覚障害者の自立を支援するボランティアです」って書いてある。例えば「お宅に行って読めないものの整理をお手伝いします」って。
ボランティアにまで「自立、自立」って言われる時代になっちゃったんだな、勘弁してよって思いますね。
(「関係の現像を描く」篠原睦治・編著 現代書館)
◇
『ボランティアにまで「自立、自立」って言われる時代になっちゃったんだな、勘弁してよ』
これって、とっても大事なことだとおもう。
どうして大事かと考える以前に、大事だと分かる。
(つづく)
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