ワニなつノート

風変わりな特権(その1)

風変わりな特権(その1)

『神話とのつながり』(P58~)

《鶴見俊輔》
…子どもの役割っていうのは、「異化効果」なんですね。
…ラフカディオ・ハーンは日本に来て、大体看板の漢字が読めないから全部、絵として見るんですね。で、ものすごく楽しむんです。びっくりして。

それから日本の音が、下駄の音がね、新しいもので、下駄と草履の音を全部、耳で聞いて捉える。しまいに、松江に行って大黒舞を見るんですが、そのとき、ジプシーの音楽やなんかを連想したりして、ものすごい興味を持つんですね。当時の日本の知識人は、ほとんどそういうふうなとらえ方をしなくって、むしろ。そのとき新しく生まれてきている日本の子どもは、ハーンと共通しているかもしれないんです。

子どもは刻々新しく生まれてきているので、つまり「異化」。

…それが子どもの興味の持ち方で、なんて不思議な所にきたんだろうという、音や、絵や、身振りは全部不思議な物に見えるんです。

そしてそれが不思議な物に見えるってことは、大人にとって不思議なんですよ。つまり、大人にとって見慣れたものが別の光を帯びてくるんで、「異化効果」が現れてくる。


チェスタートンはね、子どもが生きるときに、一人ひとりの子どもにとってエクセントリック・プリビレッジがある。どういうふうに訳すのか、非常に困るんですが、「風変わりな特権」。

「生きるってことは風変わりな特権を持っている」ということなんです。そういうふうに自分の人生を受け取るっていうのは、チェスタートンの力…。「生きるっていうことは、風変わりな特権だ」っていう一行に出会った時には、棒に打たれたように感動しましたね。チェスタートンはすごい力をもっているな、と思ったんです。


    ◇    ◇     ◇

何年振りかでこの本を読んで、すぐにいろんな子どもが浮かびました。やっちゃんやこうちゃんや、そして子どものころの自分が、いっせいに頭のなかであちこち動きはじめました。

「子どもが生きるってことは、風変わりな特権を持っているということなんだよ」

そんなふうに言ってくれる人がいたら…。そんなふうに自分の人生を受け取ることができたら、子どもだった私はもう少し楽に生きてこれたかな。

「障害があっても」ありのままでいいとか、「障害があるから」変わったことをするとかじゃなくて、ただ「子どもが生きるときには、風変わりな特権があるんだよ」って思えればいいんだと、そう思いました。



【おまけ】
お待たせしました(・o・)
昨日、ようやく『就学相談いろはかるた 増補改訂版』を印刷しました(>_<)

2月11日の入学相談会が完成披露パーティかな。このブログ1000本の知恵と勇気と「風変わりな特権」をギュッて詰めこみました。
お楽しみに(^。^)y-.。o○
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