《支援から子どもを守る7つ》(メモ3)
《医師に振り回される支援》
前回、ミルクボーイに敬意を表して、真剣にネタを考えたところ、ふざけすぎと思われたかもしれない。
でも、私は大真面目なのだ。若いころ、「幼児自閉症論の再検討」(1974年)や「自閉症とは何か」(1984)という600ページ近くもある辞書のような本も読んだ。(「性格異常児学級」という言葉を知ったのもこの本だった。)
私は、小澤勲さんと石川憲彦さんのおかげで、今日まで子どもたちと向きあえたと思っている。8年前に癌になったこともあり、新しい情報よりも、二人の言葉を何度も読み直すことの方が、残りの人生は豊かになると思っていた。
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でも、嫌でも耳に入ってくる情報は、子どもたちの叫びにしか聞こえない。
だから、大真面目に「みんな、怪しい支援に気をつけて!」って言いたくて、読みたくもない本をAmazonで注文する。
だけど、「まじ?」って思うことが多すぎる。中には、「昆虫」の話をしているんじゃないかと感じる人もいる。真面目に話そうとすると、自分も「昆虫」の話をしているような錯覚に落ちる。
そういうときは、やっちやこうちゃんやタダシやゴクミやとおるくんの顔を思い出して、私はにんげんのこどもの話をしたいんだと、仕切り直す。
それで、つい笑いを取りたくなる。。。(^^)v
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「自閉症を分裂病といわれたために、学校や社会から疎外された子どもを多数経験したために自閉症児の将来の可能性を考えると、現時点においては精神病と一線を画して論じた方が子どもの予後がよいことを考えて、あえて一線を画した。」という小澤さんの言葉がある。
その言葉を引いて、村瀬学さんはこう書いている。
「これは、医者の『診断名』が、『学校や社会から疎外された子ども』を作り出していたことの医者の口からの語られていた貴重な証言であるが、こういう「診断名づけ」と「えん罪」はどこが違っていたのだろうか…」
「『自閉症』の歴史はいかにも『自閉症』の側の歴史のようにみえて、・・・半分は『医者たちの側の診断合戦』の歴史でもあった。」
「『診断合戦の歴史』の中で、どれだけ多くの子どもや家族が振り回されてきたか・・・」
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そして、2020年の現代。
『医者たちの側の診断合戦』の歴史に「振り回されてきた支援」があふれている。振り回されの極みが、沖縄の「情緒学級の子ども」が10年で12.5倍増加という数字にも現れている。
学校の先生が、実際に、どんな「発達障害」への理解によって、「特別支援学級」に子どもを入れているか。
◇
『「発達障害」とされる外国人の子どもたち』(2020年)という本がある。
中学校が、どんなふうに「発達障害」という判断をしているかが、先生の言葉で語られている。
◇
まず、日本語指導の森先生が、「日本語だけの問題」じゃく、「なんらかの支援が必要だなっていうふうに」思う。「担任の先生も、特別支援学校で働いた経験もある方」で、「すごく熱心やし、冷静に判断する方だったので、《いや、そうですよ。(発達障害ですよ)》と」。「で、ここ(通常学級)に置いてても、あいつ伸びひんし。…ってことで。ちょっと二人で、お母さんともお話を重ねて。結局、特別支援学級の方に、在籍を変えたんですね。」
・・・ため息がでる。発達障害という言葉が、「外国人としての困難」を、いとも簡単に「障害児としての支援」に変える方便にされているのだ。
では、当の「経験もあり、すごく熱心で、冷静に判断する先生」はどう語るか。
寺田先生「カズキくんの場合は、《発達障害》ってなってるけども、ほんまにどうかって言ったら微妙です。・・・ま、教師やから診断はできひんのですけども。・・・超グレーな状態で特別支援学級に回した経緯はあります。」
◆
ここにも「グレー」という言葉が出てくる。前回の、「グレーに診断して、グレーに支援すればいい」という言葉が、こんなふうにつながってしまっている。
しかもただの「グレー」じゃない。「超グレー」だ。
「超グレー」で、子どもの人生を変える先生。
「ふざけている」のは、私ではない( `ー´)ノ
「支援から子どもを守る」には、「グレーに気をつけろ」だな。
そうなると、「就学時健康診断」も「就学支援委員会」も、ぜーーーんぶ、気をつけろ、だな。
(つづく)