聞こえない人生楽しむ、
ろう者編集の隔月刊誌創刊
2010年2月16日(朝日新聞)
創刊された「デフライフジャパン」
編集スタッフが全員、耳の聞こえない
ろう者たちという隔月刊誌が創刊された。
その名も「デフライフジャパン」。
ページをめくると、映画監督への大型インタビューあり、
歴史上の人物豆知識あり。
驚かされるのは、その主人公たちも皆、ろう者であることだ。
「福祉」の枠にくくられず、
デフ(耳の聞こえない)人生を楽しむ顔が並ぶ。
先月の創刊号は、月刊誌「文芸春秋」や
「世界」などと同じA5サイズで、87ページ。
「今月の人」として特集したのは、
2006年の「国際ろう映画&芸術祭」で
グランプリを受賞した大舘信広監督のインタビューだ。
高校生のころに映画に目覚めたという大舘監督に、
聞き手は当たり前のように
「観ていた映画はやはり洋画ですよね?」と尋ねる。
大舘監督は「そうです。邦画にはもともと字幕がなかったからね」。
ろう者には常識。
でも耳が聞こえる聴者の目からは、ポロリとうろこが落ちる。
記事は、77の国・地域が参加して台湾で開かれた
昨年の「デフリンピック」での日本人メダリスト30余人の全紹介や、
松尾芭蕉の門弟・杉山杉風が聴覚障害者だったことを伝える
「聾(ろう)人物事典」などが続く。
写真を大胆にレイアウトしているのが特徴だ。
「ろう社会の現状をありのままに伝え、
聴者が読んでも楽しいものにしたい」と
編集長の佐藤八寿子さん(37)は語る。
米国で84年から「デフライフ」の発行を手がけている
マシュー・ムーア氏(51)と2年前に知り合い、意気投合。
ムーア氏を発行人として日本版の発行に踏み切った。
「雑誌を見たろうの子供たちが
『こんなにすごいろうの大人が社会にいるんだ』と思ってくれたら」
雑誌の休廃刊があいつぐ中での船出だ。
1991年の創刊で、同じように聴覚障害者が編集してきた
隔月刊情報誌「いくおーる」は定期購読者減のため、
今月号の89号で休刊となった。
デフライフジャパンの年間購読料は3500円。
3千人程度の購読者を見込んでいるが、
安定して発行するには5千人は必要だという。
問い合わせは、デフライフジャパン購読係
(FAXのみ。03・3703・5982)へ。
(谷津憲郎)
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