27年目の就学相談会を終えて、いろんなことを考えている。
なにか大切なことに気づきかけている、気がしている。
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A.《「勝たなくてもいいんじゃないの」という言葉》
これは、森田ゆりさんの「ドメスティック・バイオレンス」のあとがきの言葉。
直接的には、妻を殴ってしまう夫たちに向けた言葉。
でも今回は、「もめごとや対立が起きると多くの人は、勝とうとします」という言葉にひっかかった。
就学相談会は、ふつう学級か特別支援学級か、の対立の話しなんだろうか?
私が、小さな子どもたちの親と話したいことは、対立と選択の話しなんだろうか?
そうじゃ、ないよな、という思いが、日に日に強まる。
それは、「ふつう学級か特支学級か」を選んできた訳じゃない、と書いたこととつながる。
(「ドメスティック・バイオレンス」森田ゆり 小学館文庫)
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B.《累犯障害者と呼ばれる人たちのこと》
ふつう学級と特別支援学級の「メリット・デメリット」という言葉を聞くと、連想する言葉。
【…「福祉の場には、自由がない」ということになる。
「福祉施設に世話になったら無期懲役だ」
「福祉に行くと一本のレールに乗せられてしまう」
「すべて職員に自分のことを決められてしまい、それに従わないとかわいくない人と言われる」
「せっかく福祉から逃げ出したのに、また戻るなんて嫌だ」】
【ある日。「グループホームと刑務所の暮らしは何が違う?」と問われ、高村は口ごもった。
「たばこが吸えたら、刑務所でもいい?」と重ねて聞かれると、不意に笑みを浮かべて「それならいいね」と、あっけらかんと言った。】
(「居場所を探して ―累犯障害者たち」 長崎新聞社)
メリット・デメリットでは、選ぶことのできないものが、ある。
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C.《遅れを招く環境》
【遅れを招く環境は、州立病院にも作業所にも、養護学校にも、普通校の養護学級にもあります。実に悲劇的なことには、ほとんどすべてのサービスが遅れを招くようなものになっており、さらに悲劇的なことには、「お世話をする人」の態度の中にもそれが見出されます。】
【キャピタル・ピープルファーストのメンバーの多くは、「遅れを招く環境」である州立病院、地域の居住施設、作業所、成人知的障害者のデイ・ケアなどに行ってサービスを受けるくらいなら、何も受けないほうがましだと主張している。】
【「何でも自分が感じることや思うことを大切にしていいんだよ。」
「遅れを招く環境」によって、多くの知的障害者は、自分がまるで価値のないもののように思いこまされて、自らの感情や考えに全く自信がもてなくなります。
知的障害者がこのように失われた価値をもう一度取り戻し、人格ある人間として存在するためには、まず、自分の考えを肯定し表現することに自信がもてるようになることが必要です。
これなくして、自分の人生における選択・決定を自分の意思で行い、自立していくことは難しいでしょう。】
(「私たち遅れているの?」 カルフォルニア・ピープルファースト 現代書館 )
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4.《「オープンダイアローグ」と「遅れを招く環境」のこと》
共通しているのは、「私抜きで私のことを語らないで」が基本であること。
◇
大事なことは、親が、子どものために、「最善の選択」をしてあげることではなく、子ども自身が、自分の人生における選択・決定を自分の意思で行い、自立していけるように手伝ってあげること。
地域の学校にエレベーターがないから、エレベーターのある支援学校へと、「最善の選択」をしてあげるのではなく、地域の学校にエレベーターをつけてもらえるように援助=行動すること。
親自身が、自分の人生における選択を行うことかな。
(つづく)