ワニなつノート

学びの選択肢

2006/05/09(大阪日日新聞)の記事。

学びの選択肢 知的障害のある生徒の教育現場(下)
保護者の声 -環境で意識に違い-



知的障害のある生徒の後期中等教育について、
保護者はどのように考えているのか。

大阪府学校教育審議会の障害教育専門部会は2004年7月、
府内の中学校養護学級、養護学校中等部に在籍する
三年生の保護者全員を対象にアンケートを実施。
卒業後の進路希望については、
所属する環境で意識の違いが見られた。

保護者アンケートの対象は計1130人で、
中学校在籍者477人、養護学校在籍者236人の
計719人から回答を得た(回収率63・6%)。

そのうち知的障害のある生徒518人の結果を抽出。
中学校にはさまざまな程度の障害のある生徒が在籍していたが、
養護学校は比較的重度の生徒が多かった。

《緊張感と社会性》
卒業後の進路について、養護学校在籍者は96%が
養護学校高等部への内部進学を希望。
中学校在籍者は、養護学校高等部が48%、高校が35%、
専門学校が7%と分かれた。

進路希望で養護学校を選んだ理由(複数回答)は
「子どもの障害の状況を考えて」が72%で最も多く、
「ゆったりした学校生活を送らせたい」
「個に応じたきめ細かな教育が期待できる」が30%台で続いた。

高校を選んだ理由(同)は「友達など人間関係が広がる」
「社会性を伸ばすことができる」が60%台で上位に並んだ。

実際、知的障害のある生徒が同級生と共に学んでいる
府立柴島高(大阪市東淀川区)でも、クラスでの授業は
緊張するが特別支援教室では、ほっとできる部分があるという。
一方、共に学ぶことで周りの生徒が自然と手を貸すようになり、
本人が活発になる成長も見られる。

《働く意欲と可能性》
同じアンケート調査で保護者が高校に望むものは
「知的障害のある生徒の受け入れ体制を十分に整え、
受け入れ校を徐々に増やすべき」が41%でトップ。

また、養護学校に望むものは
「生活自立や職業自立を目指した教育の充実」
が60%で最も多かった。

子どもの将来に関する希望の内容別集計では、
「働ける職場の拡大、充実」や
「職業を持ち社会貢献してほしい」
といった意見が上位に入り、
就労に対する意識の高さがうかがえた。

職業教育の充実を目指し四月に開校した
府立たまがわ高等支援学校(東大阪市)の教諭は、
生徒の就労について「明るく働ける意欲が大事。
可能性を引き出すことが必要」と話している。
   
◇   ◇

「この子らを世の光に」-。
滋賀県立の知的障害児施設「近江学園」を戦後間もなく創設した
糸賀一雄は、「この子らに世の光を」という
あわれみの政策ではなく、自ら輝く素材に磨きをかけ、
すべての子どもたちの発達を保障する教育の必要性を唱えた。

画一的ではなく、個々の生徒のニーズに応じて
教育環境を整備する責任が行政には求められる。
義務教育の概念が変化する中、
就労による自立を支援する養護学校高等部の開校や、
高校での共生教育推進は、学びの場の選択肢を広げる第一歩。
しかし、財政面での地方と国の役割分担、
教職員の配置や連携など、課題は残されている。

柴島高でコーディネーターを務め、
共生教育の現場に立つ教員は
「子どもたちが幸せになるためには、
世の中が変わらないといけない」と訴え掛けている。 

2006/05/09(大阪日日新聞)



    □     □     □


偶然、見つけた3年前の記事です。

「新聞記事とはいうのは、お気楽なもんだな」
というのが第一の感想。
たとえば小学生が生活科の学習で、消防署を訪ね、
「一番大変なことはどんなことですか~?」
「火事のないときは何をしているんですか~?」
と質問して、聞いたことを作文にまとめる。
この記事は、そんな感じだもんなぁ(@_@;)

【学びの選択肢】
【保護者の声】
【-環境で意識に違い-】
このタイトルで記事を書こうとするなら、
《府内の中学校養護学級、養護学校中等部に在籍する
三年生の保護者全員を対象にアンケートを…》
という部分に、まず疑問を持たないのは、プロとしておかしいだろ。

だって、そこには「普通学級に在籍する障害児の保護者」
が、入っていないじゃないか(-。-)y-゜゜゜

この時点で、「教育関係者」にも、「新聞記者」にも、
「普通学級に在籍する障害児」が視野に入っていないのです。

「いる」のに「いない」ことにされる扱い。
子どもの世界なら「シカト」とか「ムシ」といって、
「いじめ」の常套手段です。


「そんなつもりじゃない?」
じゃあ、どんなつもりなんだろ。
「知らなかった?」
教育委員会が? 新聞記者が?
そんな無知で無責任なら、
新聞になんか書かないでほしいな~~~(@_@;)

どこか特別な場所、特別な環境の事柄についてなら、
「知らない」ことは当然あるでしょう。
でも、この国の義務教育を行っている
小学校、中学校の通常学級に在籍している子どものこと、
を「知らない」「意識になかった」で、
新聞記者って勤まるのかな~~~。
だから、朝日新聞の社説にも、
「子どもを特学に入れない親」と、
「子どもを殴って虐待し、殺してしまう親」を
同列に書けてしまうのかな。

ちょっと前に漢字が読めない総理大臣のことが
よく新聞で取り上げられていたけど、
その人が漢字を読み間違っても誰も傷つけるわけじゃないけど、
あの『社説』は、必死で子どもの思いに寄り添おうとする親を、
確かに傷つけた。
そのことに、気づいているのかな。
なんの返事もないけど。


    □     □     □


記事の中にある、
『卒業後の進路希望については、
所属する環境で意識の違いが見られた。』

これは本当のこと。

でも、新聞記者が本気で取材して書かなければならないのは、
子どもの人生に関わる大事なことが、
「所属する環境」で「意識」の違いが見られるのはなぜかってことだと、私は思います。

「所属する環境」で、子どもの人生の選択が限られてしまうこと。
それこそが、障害による差別の正体です。

ワニなついろはカルタには、こう書いてあります。
《特別な教育には、特別な生き方がついてくる》

小学校を「選ぶ」ときには、普通か特学が、
親が子どものことを考え抜いて「選んだ」と思っている人でも、
高校のときには、「普通」を「選べなく」なっています。

それが、特別な場で、長年暮らすことの意味の一つです。
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