高村光太郎の「あと゜けない話」
智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間(あいだ)に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。
この高村光太郎の詩からふくしまには「ほんとうの空がある」と言ってきた。
現実には見た目きれいな空はある。この空はもう「ほんとうの空」って言えるのだろうか?
今日の夜7:00からテレビユー福島で放送された「キララ☆ふくしま」の「この青空は、ほんとうの空ってことでいいですか?」という、郡山市あさか開成高校の高校生が作ったTVドラマを見て感動してしまった。
このドラマは、あさか開成高校の演劇部の生徒たちが、原発事故後の福島を舞台に、演劇部の生徒達の不安や苛立ちが描かれている作品です。この作品は、フィクションではなく全て現実に自分たちが体験したことを実際のエピソードとして演じています。
マスクとゴーグルをつけて夏でも長袖を着ている生徒もいました。放射能から逃れるために富岡町が郡山市へ避難してきた生徒もいました。原発事故により会社が移転したために大阪に転校していった演劇部の仲間もいました。そういう体験をしたことを忘れないために、忘れさせないために演じているそうです。
われわれ大人は生活する現実を考え、震災と原発事故から1年半たった今、現実から逃避したい気持ちになっているし考えたくもなくなっている。でも、今の高校生や若者は、今の現実をしっかりととらえ将来きっと以前のふくしまを取り戻すんだと頑張っている。
そういう姿を見ると本当にたくましく思い、感激してしまいますね。
このような大災害を経験した若者たちは、福島に帰ってきてきっと以前のきれいなふくしまを取り戻してくれるでしょう。