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蕁麻疹での検査

2020-07-09 | 闘魂症例検討会
みなさん、こんにちは。
 
 
どのような検査を行うかの判断をするとき「可能性が少しでもあるので」という発想では検査項目が爆発的に増えてしまう。
 
検査には偽陽性の可能性があり、そのために無益で合併症のリスクのある精密検査を必要とすることがある。
 
また、後に偽陽性であることが判明したとしても、その間は「検査陽性」が患者に与える精神的ダメージは大きい。
 
 
一方、治療には有害作用を含む合併症のリスクもある。
 
治療の有効性が証明されているものでも、NNT (Number Needed to Treat)の大きい介入を行う場合、むしろ有害事象のリスクが上回ることがある。
 
過剰検査や過剰診療を皆が行えば、国全体でのコストは莫大な額となる。
 
 
下記のケースを考えてほしい。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ケース:40歳代男性、会社員。
 
主訴、2か月前からの蕁麻疹。
 
特に誘因の無い、搔痒を伴う膨疹様皮疹が四肢や体幹に出現し数時間で消退する。
 
喘鳴や気分不良なし。
 
詳細な病歴聴取でも原因となる物質や誘因は不明。
 
既往歴、内服歴、アレルギー歴なし。
 
システムレビュー(Review of Systems: ROS)で、蕁麻疹以外に陽性症状は無い。
 
身体所見は正常。
 
血算(分画含む)は正常。
 
赤血球沈降速度1時間値(Erythrocyte sedimentation rate: ESR)は正常。
 
抗核抗体や抗DNA抗体、ANCAは陰性。
 
発症時にヒスタミンH1拮抗薬で症状は軽快するとのこと。
 
患者本人が「蕁麻疹の原因を知りたい」とのことで、特異的IgE MASTmultiple antigen simultaneous test33項目アレルゲンについてFEIA (蛍光酵素免疫測定法: fluorescence enzyme immunoassay)検査を施行した結果、卵白、コメ、犬皮膚の3種類の抗原について陽性であった。
 
しかしながら、ご飯や卵は毎日摂取しているがとくに問題ない。
 
また、犬に触れたこともない。
 
 
(問題)この患者について行われた検査のうち臨床的バリューの高いのは何か?
 
1.      血算(分画含む)とESR
 
2.      抗核抗体
 
3.      DNA抗体
 
4.      血中総IgE値 
 
5.      特異的IgE (MAST33項目アレルゲン)
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
解答は次回に。

 

 

 

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