医療を受けた結果がどうなるかをアウトカムといいます。
患者さんにとって切実で最重要なのは、①死亡、②病気、③不快、④機能障害、⑤不満足の5つの悪い結果が減ることで、これらは「患者中心のアウトカム」と呼ばれます。
特に総合診療の領域では、患者さんの満足度も病気が治ることや死亡が減ることと並んで重要視されています。
最近、米国で患者集団を、満足度に従って4分割して調査した結果、満足度が最も高い患者グループでは、最も低いグループに比べて、救急医療の利用は少ない(0.92倍)が、入院(1.12倍)・総医療費(8.8%)・薬剤費(9.1%)が大きく、死亡率(1.26倍)も逆に高かった、という報告がありました(The Cost of Satisfaction. Arch Intern Med. 2012;172(5):405-411)。
これはあくまでも米国での結果ですので、日本の患者さんにそのまま当てはめることはできません。
しかし、高度に専門化した医療介入を進めている米国と日本は似ている点もあるのです。この論文では、満足度を高めるために、あまりにも患者の好みに沿った医療が行われたためではないかという考察はなされています。
詳しい因果関係が分析されていませんので、他の関連する要因の検討も必要でしょう。
重要なアウトカムであり、日本の患者さん向けにこれからもっと研究すべき課題と思います。
「良薬は口ににがし」ということわざもあります。
患者の満足度が高ければ全てよい、ではなく、「患者中心のアウトカム」の全てを考慮することが重要なのです。
また、このことを患者自身が知ること、医師が患者に伝えることもたいせつなのです。
今回は以上です、朝晩とだいぶ涼しくなってきました、そろそろ暖房器具を準備する時期だと思われますが、聞くと沖縄ではまだ扇風機を使っているそうです、日本は南北に長いですね、では次回に。
ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ | |
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