燃えるフィジカルアセスメント

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炎症は脳に働き、全身の老化の方向へ脳が指揮棒を振る

2015-10-19 | 総合診療ニュース

 一般に老化は、一部の臓器だけに起こるのではなく、その個人の全ての臓器が同じように進んでいくことはよく知られています。

 

 また、炎症が老化を促進するということも分かっています。

 

 炎症反応と「全身臓器のコンダクター」としての脳(実は脳にあるホルモン分泌の調整センターである視床下部)の関係を示す研究データがあります。

 

 Nature という著明な医学雑誌に、米国アルバート・アインシュタイン医科大学の研究グループのネズミでの研究結果を発表しています(Nature 497:211頁2013年)。

 

 結果をまとめると、炎症は、ミクログリアと呼ばれる脳内の炎症に関連する細胞にシグナルを起こし、その付近の視床下部の神経細胞に働き、結果として性腺刺激ホルモン放出ホルモン(性腺を刺激するホルモンの放出を刺激するホルモン)の放出を減らす、というものです。

 

 このホルモンは全身に影響を与える働きを持ち、その低下は骨量の減少、皮膚の萎縮、筋力低下、記憶減退につながっているとされています。

 

 炎症は脳にも働き、ホルモンを介して全身の老化の方向へ脳が指揮棒を振っているということです。

 

 もちろん老化ではこのホルモンだけではなく、他の要因も関係していますが、大変興味深い結果ではないでしょうか。

 

 今回は以上です、今回のダブル台風は動きが遅くてなかなか進路が分かりにくいですね、25号は小笠原諸島に近づきそうですね、24号はフィリピンにあって、複雑な動きをしてます、気象情報には注意が必要ですね、では次回に。

 

Dr.徳田のバイタルサイン講座
徳田安春
日本医事新報社
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