前回に続き、三大死亡原因の最新の予防法と治療法について考えていきましょう。
国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部部長の津金昌一郎氏らが2005年「がん予防八か条」の指針を発表しました。 それは、
①禁煙。 「がんになる確率を三分の二に減らせる最も確実ながん予防法」として推奨。 非喫煙者は他人の煙を吸い込む受動喫煙の危険性に注意する
②飲酒はビールなら一日に中ビン一本以内
③野菜・果物は毎日400g。 野菜は毎食、果物は毎日食べる
④食塩は一日10gまで(できれば6g以下)。 たとえば、塩辛や練りウニといった高塩分食品は週一回以内
⑤60分程度の歩行や軽度の運動。 適度な運動は毎日励行、週一回程度は汗をかく激しい運動が必要
⑥BMIを20~27で維持
⑦熱い飲食物を避ける。 熱い飲み物は、冷まして飲む
⑧肝炎ウイルスの有無を知り、予防・治療する。 とくに肝臓がんになりやすいB型・C型肝炎ウイルスに感染していないか調べ(家族歴や輸血暦があれば要注意)、感染していれば治療を、していなければ予防に留意する
これらの八か条と同様に重要なのが早期発見です。 がん検診は、症状が出る前にがんを発見し、早期治療を行うことでがんによる死亡率を低下させるのが目的です。
とくに若い世代で急増している子宮頚がん、乳がん、50歳以上で頻度が高い大腸がんに関しては、検診の有効性が確立しています。
乳がんは、30~64歳の女性がん患者の死亡原因トップであるにもかかわらず、その検診の受診率の低下が問題となっています。 検診の指針を守り、決められた頻度で検診を受けることが肝心です。
検診で「要精密検査」となった場合、精密検査受診は必須で、受けなければ検診を受けた意味がなくなります。
遺伝要因によるいわゆる「高発がん家系」の場合には、より早期の検診が必要です。 たとえば、母、姉妹に乳がんあるいは卵巣がんの家族歴がある女性で「BRCA1またはBRCA2遺伝子変異」がみられる場合は、25歳以降、年一回の乳房X線検査、年二回の乳房視触診、四ヶ月に一回の婦人科内診、年二、三回の骨盤内超音波検査や腫瘍マーカー検査が必要であり、これら遺伝性がんの可能性がある方は専門機関を必ず受診することをおすすめします。
今回はこの辺で、次回はがんの治療について考えていきましょう。