長寿とは老化の結果として成り立つものです。 老化について考えてみましょう。
老化とは、時間の経過とともに、成熟した心身に生じる不可逆的な生物学的変化と定義されます。 人間の場合、皮膚のしわ、白髪などの外見および脳、心臓などの機能低下といった内部の変化として現れてきます。 しかし、これをもとにして、「老化がはじまった」と失望するのは大きな間違いです。 老化現象にあまり一喜一憂せず、老化を受け入れながらも健康に長く生き、天寿を全うしましょう。
では、老化とは病気でしょうか、いえその機能が障害されているかどうかで判断してもいいのではないでしょうか。 老化現象を病気とみなし治療をすることで、自然な流れを妨げ逆行させることによるひずみが、また別の障害や副作用を呼ぶことが多いからです。 自然な老化現象と病的老化を区別しましょう。 深慮が必要です。
例えば、普段から140と90と高血圧で生活していた80歳の男性にたまたま145と95とでたので降圧剤を成人量飲ませたとします、どうなりますか、急激な血圧の低下が脳梗塞を引き起こす可能性もあり、自律神経のバランスを崩して、めまい、転倒、骨折のリスクを負うでしょう。 また逆に病的老化なのに「年のせい」とすましてしまい、機能回復の機会を失うというケースもあります。
老化はただ単に生体内の変化ではないということを強調したいと思います。 年齢を重ねるということは確かに多くのストレスを伴い、社会的役割、友人、伴侶、収入の喪失を経験する、ということです。 しかし、そこにいたる道のりを勝ち抜いてきたこともまた事実であり、これを豊かな、穏やかな老後の糧にしていきたいものです。