今回はけいれんの問診時の注意点について考えていきましょう。
発作がすでにおさまったあとに来院した場合、痙攣か失神かの鑑別が重要である。 大発作型痙攣では、喉頭痙攣による甲高い叫び声と強直性痙攣で始まることが多く、その後に無呼吸とチアノーゼを呈する。 その後に間代性痙攣に移行することが多く、移行期には、いびき様喘鳴を伴う過換気を呈する。 発作中には、舌を咬み、尿失禁(便失禁)に加え、交感神経系の活動亢進症状として、頻脈、高血圧、散瞳などを示す。
心室性頻拍や心室細動でも痙攣をきたすが、この場合、失神後10秒程度のインターバルを置いて痙攣がみられる。 逆に、痙攣が主体の病態では、最初から痙攣発作が認められる。
痙攣であることが確実であれば、これまでに同様な発作がなかったかどうかと、抗痙攣薬を服用している(していた)かについて聞き出す。 同様の発作でこれまでにも来院していたことがある場合には、カルテレビューで情報を早急に収集する。 乳幼児の場合には、熱性痙攣をきたすような発熱疾患の先行の有無を聞きだす。
アルコール飲酒歴については必ず聞く、依存症の疑いがある場合、最後の飲酒からの経過時間を聞き出すようにする。 その場合、普段はきちんと食事を摂取していたかどうかも尋ねる。 内服している薬剤は、ドラッグなども含めて、すべて詳細に聞き出すようにする。
依存症として、糖尿病の有無に注意する。 薬剤性低血糖や非ケトン症高浸透圧性症候群による痙攣の可能性に注意する。 また、脳血管障害の危険因子などに注意する。 悪性疾患を有する患者の場合には、転移性脳腫瘍も考える。
システムレビューでは、発熱・悪寒・頭痛の有無に注意する。 これらが存在する場合、髄膜炎や脳炎などの感染症を示唆する。 家族歴では、てんかんをもつ患者のほか、心疾患や突然死(QT延長症候群)の有無にも注意する。
今回は以上です、次回は診察と検査について考えていきましょう。