燃えるフィジカルアセスメント

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薬は怖い

2015-03-24 | 症例集

 今回から新シリーズです、まずはじめに、薬は医師が適切に処方すれば、非常に役に立つが、使い方によってはリスクを伴う可能性がある。薬を処方する際にはつねに薬物相互作用を考える必要がある。

 最近では高齢者が多いため多剤投与による副作用が問題となっている、そこで今回からいくつかの症例を紹介し、薬のリスクについて考えていきましょう。

症例1  40歳男性 主訴:発熱

 1ヶ月前よりうつ病で精神科に通院していた。血圧180/90mmHg、心拍数140bpm、呼吸数22回/分、体温39℃、Spo2は空内気で94%、JSC30。全身に発汗がみられ両下肢の振戦が認められた。

 患者がうつ病で通院中だったため、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)、三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressant:TCA)、などのうつ病の薬に関係した症状と考えられ、セロトニン症候群と診断した。セロトニン症候群の三大症状は中枢神経症状、錐体外路症状、自律神経症状である。血圧の変動、発熱、発汗などさまざまな症状があるが、下肢に症状が強い点が特徴的である。

 セロトニン症候群を考えるうえで問題になるのは、向精神薬の服用で生じる悪性症候群との鑑別である。セロトニン症候群はセロトニンに関係し、悪性症候群はドパミンに関係しているので、どのような薬を服用しているかを知り、症状を注意深く分析することが大切である。

 治療に際しては悪性症候群の場合ドパミンのアゴニスト、ブロモクリプチンや筋硬直の強い患者にダントロレンを使用し、セロトニン症候群の場合セロトニンをブロックするシプロヘプタジンを使用する。

症例2  30歳女性 主訴:意識障害

 数ヶ月前より抑うつ状態であった。既往歴は10年前より偏頭痛がある。来院当日、自宅にて興奮状態で倒れているところを家族に発見され、救急車で搬送されている。搬送中には耳鳴りを訴えた。血圧130/70、心拍数120bpm、呼吸数34回/分、体温37,4℃、Spo2が空内気で92%、JCS30。

 意識障害、興奮状態、耳鳴り、頻脈、微熱など多彩な症状をきたす原因薬剤として、偏頭痛の薬であるアスピリンが考えられた。アスピリン中毒の症状では耳鳴りが特徴的で、発熱、呼吸不全などさまざまな症状を引き起こす。アスピリンを服用したのが1時間以内であれば、胃洗浄を行い、1時間を過ぎている場合は胃洗浄せずに活性炭を投与する。治療としては早期の透析療法も有効である。

 今回は以上です、話変わって、大相撲春場所もやはり白鵬が優勝しましたね、照の富士も最後、豪栄道に勝ってあとは兄弟子のはるま富士に期待でしたが力及ばず、寄り切られてましたね、来場所も照の富士の活躍が期待されますね、では次回に。

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