【 本格的な感染ピークは8月か 】
インドで報告された新型コロナウイルスの変異型 “デルタ株” による影響は、5週間程前から始まった新規感染者の増加という形で表れています。
全世界での新規感染者数の推移は、グラフの青色線が示している通り、7月に入ってから増加に転じている事を示していますが、人口13億人のインドの影響を除いてみる必要があります。実際、インド以外の全世界での新規感染者数の推移を示す緑色線が示す通り、インドを除く全世界では 5週間前から増加に転じている事を表しています。
その時期に感染者が増加に転じた国は、デルタ株による感染拡大が始まった英国と、アフリカで最も深刻な状況に陥っているナミビアと隣国の南アフリカですが、それ以外の国々での感染拡大を見れば、メディアが危機感を煽る報道をしているのとは対照的に、まだ多くの国では感染抑制が続いているか、3月から5月にかけての、世界的な感染ピーク当時と較べると余裕があるレベルだと言えます。
ただ、グラフでも読み取れる通り、今後、春と同じ様な感染拡大のグラフを描くと想定されるので、世界的な感染ピークが 8月に到来すると予想されます。
【 各国の状況 】
New infection case transition table by country and day
< 欧州 / Europe >
5週間前から拡大が英国で始まり、当初は他国への感染伝搬は目立たなかったものの、ポルトガルとスペインで2週間前からはっきりとした拡大が始まり、英国の隣国・アイルランドでも同時期に、そして、欧州での感染の起爆地となってきたルクセンブルクやベルギー、オランダでも英国と同等の深刻な感染状況に陥っています。
一方、大国であるフランスやドイツでは抑制状態を続けていますが、既にバカンスシーズンは始まっており、英国の様に行動規制撤廃を名言している国が隣国にある以上、必ず感染拡大は訪れると容易に推測できます。
東欧の大国・ロシアは3週間前からデルタ株による感染拡大が報告されている他、キプロスやギリシャでもはっきりと拡大を示しており、特にキプロスは欧州で最悪な状況に陥っていると言えます。は先週から年の感染拡大初期、イタリアやスペインを始めとする欧州各国がロックダウンで厳しい行動規制を行なう中、国民の自主的判断に委ねた事から欧州各国から揶揄され非難されたスウェーデンですが、その方針には大きな変更を加えないままで、感染をかなり抑制する事に成功を収めています。
< アフリカ / Africa >
パンデミックが始まって以来、アフリカ諸国が経験してきた感染状況は、メディアの報道が大げさと感じられる程に、欧州各国の状況と較べると新規感染者数の割合もずっと小さく、まるで大陸全体がウイルスへの耐性を持っているかと思われた程でした。
しかし、今回は異なります。アフリカ大陸の北と南の両端で厳しい感染拡大が発生しています。北はチュニジアが世界最悪レベルの感染状況に陥っており、その隣国のリビアでも2週間前から一気に感染拡大が発生しています。
そして、大陸南端ではナミビアが英国と同様に5週間前から深刻な状況に陥っており、その隣国・南アフリカでも感染が広がっており、今後はアフリカ中部地域、サヘル地域などでの感染拡大が懸念されます。
< アジア / Asia >
アジアで最も感染被害が懸念される国は、メディアが取り上げる人口13億人のインドや人口2億人のインドネシアではありません。確かに、新規感染者数だけを見ればインドやインドネシアの状況が目を惹きますが、人口が多い国である事を忘れてはいけません。
人口あたりの新規感染者数・【感染密度】が示す被害の深刻さから言えば、最も厳しい感染状況に陥っている国はモンゴルであり、マレーシアやイラク、クウエートなどの国々です。例えば、モンゴルでの感染状況を日本に置き換えると、英国と同様に毎日 5万人ほどの新規感染者が報告されているのに等しく、英国との医療体制の差を勘案すると、一層、モンゴルの状況が心配です。
< 大洋州 / Oceania >
この地域は、盟主国たる オーストラリア と ニュージーランドが長期間に亘り低く安定した【感染密度】を記録し続け、他の島嶼国でも目立った感染拡大を許さなかった優秀な地域だったのですが、4週間ほど前から フィジーが世界最悪の【感染密度】を記録するほどの窮地に陥っています。推定される医療体制や COVAXなどでのワクチン供給体制、メディアを始めとする注目度から見て、かなり厳しい医療状況になっていると推察され、心が痛む状況です。
< 北米 / Northern America >
カナダと米国の両国ともに、5週間ほど前には高い【感染密度】の時期を脱しており、充分に抑制が続いているとも居る状況です。メディアが感染拡大と不安を煽る報道を繰り返していますが、5月当時の深刻な状況と較べれば、様々な行動規制を解除しているのは当然と言える状況です。
とは言え、ワクチン接種先進国であるとしても、デルタ株による感染拡大への影響からは目を離せません。
< 中米 / Central America、Caribbean >
コスタリカが長期間に亘り高い【感染密度】を記録し続けており、バハマやキューバで感染拡大が続いています。一方、メキシコは米国と同様に抑制された状況を続けていますが、いづれ デルタ株による感染拡大が起きると懸念され、中米の大国として、米国以上に注意が必要です。
< 南米 / Southern America >
南米は、世界から忘れ去られている感染大陸です。それも、メディアが好んで報道する人口2億人の大国・ブラジルよりも、コロンビアやウルグアイ、アルゼンチンやパラグアイなどの諸国がより深刻な状況が続いている事を忘れてはいけません。
多くの国々ではワクチン供給体制が欧米諸国などと大きく異なり、COVAX供給を加えても充分な数量を確保できていない状況です。
世界各国やメディアが焦点を当てるべき国や地域は南米諸国であり、最後まで深刻な感染が続く大陸になる可能性が高い事を理解して、ワクチン供給など医療資機材などの支援を行なうべきです。
なお、情報出典元の OCHA とは「国際連合人道問題調査事務所」の事です
Source:#OCHA ( https://www.unocha.org/ )
#COVID19
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