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日本記念日協会の今日(2月10日)の記念日を見ると「ふきのとうの日 」があった。
そこには、”1993(平成5)年に、宮城県古川駅前大通の特産品を販売する「ふるさとプラザ」が提唱した日で、雪解けとともに顔を出すふきのとうを早春の味としてPRしようというもの。日付は2と10の語呂合わせから決定。 ”・・とあった。
宮城県の農産物としては、「ササニシキ」、「ひとめぼれ」を初めとした米が最も有名であるが、旧古川市は、宮城県北部、大崎平野(大崎地方)の中心にあった市で、2005(平成17)年に古川市と6町(松山町、三本木町、鹿島台町、岩出山町、鳴子町及び田尻町)が合併し、現在は大崎市となったその中心部にある。旧古川市は農業が盛んであり、先に述べた「ササニシキ」、「ひとめぼれ」などの誕生の地(古川農業試験場)として有名なところだそうで、「ふるさとプラザ」の3階にはお米をテーマにした日本初の資料館「古川市ササニシキ資料館」が作られているようだ。お米のほか色々な農産物も産出するが、近年、輸入農産物の増加や産地間競争の激化等により、農業のみならず地域産業全体が沈滞化してきているようで、地域産業活性化のため、これまでの概念を変え、「農」から消費者の視点を取り入れた「食」をキーワードに「食のふるかわ」として売り出そうとしているようだ。(以下参考に記載の「IVICT 調査・研究事業 -古川地域産業活性化に関する調査」参照)
「ふきのとう(蕗の薹)」は、キク科の多年草で、正式にはフキ(蕗)のことで、葉柄(ようへい)を“蕗”、花茎(かけい)のことを“蕗”という。茎は地上で伸びるのではなく地中で地下茎となって横に伸びる。 早春、葉よりまえに花茎(先に花をつけて伸びる茎のこと)が出る。
和歌山県生まれの民俗学者であり博物学者でもある南方熊楠の随筆『十二支考 兎に関する史話と伝説民俗 その2』(青空文庫)の一文に、”『塩尻(しおじり)』巻三十に「或る記に曰く永享七年十二月天野民部少輔(あまのみんぶのしょう)遠幹その領内秋葉山で兎を狩獲信州の林某に依りて徳川殿に献ず、同八年正月三日徳川殿謡初(うたいぞめ)にかの兎を羹としたまえり松平家歳首(さいしゅ)兎の御羹これより起る、林氏この時蕗(ふき)の薹(とう)を献ぜしこれ蕗の薹の権輿(はじまり)と云々」とあるは可(い)い思い付きだ、時節がら新年を初め官吏どもの遊宴には兎と蕗の薹ばかり用いさせたら大分の物入りが違うだろ。”・・・とある。
文中の永享八年正月三日は今の暦、西暦(グレゴリオ暦)にすると、1436年1月30日と言うことになるが自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人種田山頭火(禅僧として各地を行乞の旅をし句作を行っている)が、『草木塔』(青空文庫)の「木曾路 三句」(あの有名な句『山あれば山を観る・・」のある「山行水行」の後段の方)の中に、以下の句がある。
「山ふかく蕗のとうなら咲いてゐる」
2月10日の記念日「ふきのとうの日 」の今頃の宮城県北部もまだまだ雪深い季節だろうが、その雪の下には、春を待ちかねたように「蕗の薹」が土を押し上げてきていることだろう。「蕗の薹」は、春を告げる花などの先陣をきって登場する農産物であり、もう直ぐ、そこに春が来ていることを告げる商材としてはうってつけであり、「食」というキーコンセプトで、売り込むのには、良い記念日と言えるだろう。
山頭火のこちら随筆集『草木塔』(青空文庫)の中の最初のところの「茶の花」の中には、”茶の花に隠遁的なものがあることは否めない。また、老後くさいものがあることもたしかである。年をとるにしたがって、みょうが、とうがらし、しょうが、ふきのとうが好きになるように、茶の木が、茶の花が好きになる。“・・・との一文がある。
『広辞苑』にもあるように、ふきのとう(蕗の薹)には、「ふきのじい(蕗の祖父)」「ふきのしゅうとめ(蕗の姑)」の異名もある。
フキ(蕗)は雌雄異花であり、早春、地上に花茎を出したふきのとうは、生長するとその先端に雌花は白色、雄花は黄白色の頭花をつける。ふきのとうには独特の苦みがあるが、雪の下から掘り出した、陽にあたっていないふきのとうはその苦味も少なく、てんぷらなどの食用としてもおいしいものだという。残念ながら私は、そんな雪の下から掘り出した自然の新鮮なふきのとうは、食べたことがない。
ところで、「とう(薹)がたつ」と言う言葉があるが、フキやほうれん草などの花茎(薹)は、花茎が伸びると堅くなって食べ頃を過ぎてしまうことから固くて食べられない。年頃が過ぎる。盛りを過ぎる。時期が過ぎるなどの意で、よく、「○○をするのにちょうどよい時期(年齢・適齢期)を過ぎてしまう・・・」時の例えに使われるが、これが、女性などに対して使われると、随分と傷が付くだろうから使わないようにしないとね~。
ふきのとうは栽培されたパックものがスーパーなどで売られているが、むしろこちらの方が天然自生のものより、苦味がなく、食べやすいといわれているが・・・。
花茎はその後、長い茎が伸びて、大きな葉が出て、「フキ」になるが、この「フキ」は、日本原産で、北海道から沖縄まで各地に分布している。
家人は「フキ」が大好きらしいが、私は、好き嫌いが多く、このような癖のあるものは余り好まないので、家では余り「フキ」の料理はしないが、フキの佃煮「キャラブキ」などは、濃い味なので、酒の肴にもなり、これは、私も好物である。
アイヌ語でフキは「コロコニ」又は「コルコニ」と発音するそうで、北海道で、アイヌの伝承に登場するフキの葉の下に住む妖精「コロポ(ボ)ックル」のコロはフキを示しているのだという。
この伝説に興味のある人は、以下参考に記載の「コロポックル」「コロポックル伝説(足寄町史 概要)」などを見られると良い。
(画像は、左:ふきのとう。右:コロポックルの木彫り人形。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
フキ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%AD
古川市 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E5%B7%9D%E5%B8%82
ふきのとう(蕗の薹) - 食材事典
http://www2.odn.ne.jp/shokuzai/Fukinotou.htm
作家別作品リスト:種田 山頭火
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person146.html
つれづれの文車:種田山頭火
http://www.nextftp.com/y_misa/taneda/taneda.html
作家別作品リスト:南方 熊楠
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person93.html
コロポックル
http://www.d1.dion.ne.jp/~noguckg/HP/korobo.html
コロポックル伝説(足寄町史 概要)
http://www.tokachi.pref.hokkaido.jp/d-archive/sakuin/keyword_d_375.html
見聞録「ふるさとプラザ」~CityDO! 宮城県県北部エリア~
http://www.citydo.com/prf/miyagi/area_kita/kenbun/kanko/furukawa005.html
IVICT 調査・研究事業 -古川地域産業活性化に関する調査
http://www.ivict.or.jp/research/h14/02_301.html
ふき料理
http://www1.odn.ne.jp/inaka-kagami/huki.htm
天野信景 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E9%87%8E%E4%BF%A1%E6%99%AF
浪合記7
http://homepage1.nifty.com/sira/namiai/namiai07.html
そこには、”1993(平成5)年に、宮城県古川駅前大通の特産品を販売する「ふるさとプラザ」が提唱した日で、雪解けとともに顔を出すふきのとうを早春の味としてPRしようというもの。日付は2と10の語呂合わせから決定。 ”・・とあった。
宮城県の農産物としては、「ササニシキ」、「ひとめぼれ」を初めとした米が最も有名であるが、旧古川市は、宮城県北部、大崎平野(大崎地方)の中心にあった市で、2005(平成17)年に古川市と6町(松山町、三本木町、鹿島台町、岩出山町、鳴子町及び田尻町)が合併し、現在は大崎市となったその中心部にある。旧古川市は農業が盛んであり、先に述べた「ササニシキ」、「ひとめぼれ」などの誕生の地(古川農業試験場)として有名なところだそうで、「ふるさとプラザ」の3階にはお米をテーマにした日本初の資料館「古川市ササニシキ資料館」が作られているようだ。お米のほか色々な農産物も産出するが、近年、輸入農産物の増加や産地間競争の激化等により、農業のみならず地域産業全体が沈滞化してきているようで、地域産業活性化のため、これまでの概念を変え、「農」から消費者の視点を取り入れた「食」をキーワードに「食のふるかわ」として売り出そうとしているようだ。(以下参考に記載の「IVICT 調査・研究事業 -古川地域産業活性化に関する調査」参照)
「ふきのとう(蕗の薹)」は、キク科の多年草で、正式にはフキ(蕗)のことで、葉柄(ようへい)を“蕗”、花茎(かけい)のことを“蕗”という。茎は地上で伸びるのではなく地中で地下茎となって横に伸びる。 早春、葉よりまえに花茎(先に花をつけて伸びる茎のこと)が出る。
和歌山県生まれの民俗学者であり博物学者でもある南方熊楠の随筆『十二支考 兎に関する史話と伝説民俗 その2』(青空文庫)の一文に、”『塩尻(しおじり)』巻三十に「或る記に曰く永享七年十二月天野民部少輔(あまのみんぶのしょう)遠幹その領内秋葉山で兎を狩獲信州の林某に依りて徳川殿に献ず、同八年正月三日徳川殿謡初(うたいぞめ)にかの兎を羹としたまえり松平家歳首(さいしゅ)兎の御羹これより起る、林氏この時蕗(ふき)の薹(とう)を献ぜしこれ蕗の薹の権輿(はじまり)と云々」とあるは可(い)い思い付きだ、時節がら新年を初め官吏どもの遊宴には兎と蕗の薹ばかり用いさせたら大分の物入りが違うだろ。”・・・とある。
文中の永享八年正月三日は今の暦、西暦(グレゴリオ暦)にすると、1436年1月30日と言うことになるが自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人種田山頭火(禅僧として各地を行乞の旅をし句作を行っている)が、『草木塔』(青空文庫)の「木曾路 三句」(あの有名な句『山あれば山を観る・・」のある「山行水行」の後段の方)の中に、以下の句がある。
「山ふかく蕗のとうなら咲いてゐる」
2月10日の記念日「ふきのとうの日 」の今頃の宮城県北部もまだまだ雪深い季節だろうが、その雪の下には、春を待ちかねたように「蕗の薹」が土を押し上げてきていることだろう。「蕗の薹」は、春を告げる花などの先陣をきって登場する農産物であり、もう直ぐ、そこに春が来ていることを告げる商材としてはうってつけであり、「食」というキーコンセプトで、売り込むのには、良い記念日と言えるだろう。
山頭火のこちら随筆集『草木塔』(青空文庫)の中の最初のところの「茶の花」の中には、”茶の花に隠遁的なものがあることは否めない。また、老後くさいものがあることもたしかである。年をとるにしたがって、みょうが、とうがらし、しょうが、ふきのとうが好きになるように、茶の木が、茶の花が好きになる。“・・・との一文がある。
『広辞苑』にもあるように、ふきのとう(蕗の薹)には、「ふきのじい(蕗の祖父)」「ふきのしゅうとめ(蕗の姑)」の異名もある。
フキ(蕗)は雌雄異花であり、早春、地上に花茎を出したふきのとうは、生長するとその先端に雌花は白色、雄花は黄白色の頭花をつける。ふきのとうには独特の苦みがあるが、雪の下から掘り出した、陽にあたっていないふきのとうはその苦味も少なく、てんぷらなどの食用としてもおいしいものだという。残念ながら私は、そんな雪の下から掘り出した自然の新鮮なふきのとうは、食べたことがない。
ところで、「とう(薹)がたつ」と言う言葉があるが、フキやほうれん草などの花茎(薹)は、花茎が伸びると堅くなって食べ頃を過ぎてしまうことから固くて食べられない。年頃が過ぎる。盛りを過ぎる。時期が過ぎるなどの意で、よく、「○○をするのにちょうどよい時期(年齢・適齢期)を過ぎてしまう・・・」時の例えに使われるが、これが、女性などに対して使われると、随分と傷が付くだろうから使わないようにしないとね~。
ふきのとうは栽培されたパックものがスーパーなどで売られているが、むしろこちらの方が天然自生のものより、苦味がなく、食べやすいといわれているが・・・。
花茎はその後、長い茎が伸びて、大きな葉が出て、「フキ」になるが、この「フキ」は、日本原産で、北海道から沖縄まで各地に分布している。
家人は「フキ」が大好きらしいが、私は、好き嫌いが多く、このような癖のあるものは余り好まないので、家では余り「フキ」の料理はしないが、フキの佃煮「キャラブキ」などは、濃い味なので、酒の肴にもなり、これは、私も好物である。
アイヌ語でフキは「コロコニ」又は「コルコニ」と発音するそうで、北海道で、アイヌの伝承に登場するフキの葉の下に住む妖精「コロポ(ボ)ックル」のコロはフキを示しているのだという。
この伝説に興味のある人は、以下参考に記載の「コロポックル」「コロポックル伝説(足寄町史 概要)」などを見られると良い。
(画像は、左:ふきのとう。右:コロポックルの木彫り人形。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
フキ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%AD
古川市 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E5%B7%9D%E5%B8%82
ふきのとう(蕗の薹) - 食材事典
http://www2.odn.ne.jp/shokuzai/Fukinotou.htm
作家別作品リスト:種田 山頭火
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person146.html
つれづれの文車:種田山頭火
http://www.nextftp.com/y_misa/taneda/taneda.html
作家別作品リスト:南方 熊楠
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person93.html
コロポックル
http://www.d1.dion.ne.jp/~noguckg/HP/korobo.html
コロポックル伝説(足寄町史 概要)
http://www.tokachi.pref.hokkaido.jp/d-archive/sakuin/keyword_d_375.html
見聞録「ふるさとプラザ」~CityDO! 宮城県県北部エリア~
http://www.citydo.com/prf/miyagi/area_kita/kenbun/kanko/furukawa005.html
IVICT 調査・研究事業 -古川地域産業活性化に関する調査
http://www.ivict.or.jp/research/h14/02_301.html
ふき料理
http://www1.odn.ne.jp/inaka-kagami/huki.htm
天野信景 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E9%87%8E%E4%BF%A1%E6%99%AF
浪合記7
http://homepage1.nifty.com/sira/namiai/namiai07.html