goo blog サービス終了のお知らせ 

真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

HPは hide20.web.fc2.com
ツイッターは HAYASHISYUNREI

リットン調査団を欺く関東軍

2009年01月13日 | 国際・政治
 国際連盟の脱退もさることながら、日本が国際連盟から派遣されたリットン調査団を、さまざまな方法で欺いていたとすれば、ことはさらに重大であると思います。「目撃者が語る昭和史 第3巻 満州事変」平塚征緒編集(新人物往来社)から、関連する部分を抜粋します。
---------------------------------
              リットン調査団を欺く関東軍
                      元関東軍特務機関員 アムレトー・ヴェスパ
 リットン委員会
 5月1日に私はハルビに帰ったが、それはリットン委員会がハルビンに到着する僅か10日前であった。それより1週間前に種々の警察機関は、
国際連盟委員会へ何か訴求を提出しようとする「希望を持っている疑いがある」人物を全部逮捕して監禁せよ、という命令を受けた。

 ・・・

 日本軍当局の命令に従えば、逮捕を受けた「被疑者」は皆、国際連盟の委員団が出発してしまうまでは投獄して置かれることになっていた。彼等は盗賊や匪賊や麻薬中毒者と一緒に地下牢に投じられた。大多数の者は委員団が立ち去って後、3,40日間も放免されなかった。
 リットン委員会の到着する1ヶ月前に、日本軍は著名な中国人、ロシア人多数に国際連盟代表に対し「訴願」を提出せよ、と命令した
。かかる「訴願」はいずれも日本人が作り上げたもので、ロシア人や中国人はこれに署名しさえすればよかったのである。「訴願」に書いてあったことが「満州国」の輝かしい現在と将来とに対する限りなき讃美と渇仰とであったことは、今さら言うまでもないであろう。
 接待委員会が非常な注意を払って作られた。この委員会の委員全部に対し礼儀作法が教えられた。彼等は何をどう言うべきであるかということを暗記せねばならなかった。もし教えられたことより一言でも多く、または一言でも少なく喋ったら、また、もし言っていることを空にするようなことをちょっとでもしたら、それがために生命を失わねばならぬぞ、と警告された。
 
 ・・・

 委員会の主要な人々が宿泊することになっていたハルビンのホテル・モデルンは、包囲されてしまった。委員連の占めるはずの部屋の近くには、通常の泊まり客を装った政治警察員であるロシア人や日本人が宿泊していた。3名の刑事が事務所に番頭として配置され、その他の連中は中国人の給仕、部屋係、その他となった。3人の日本少女が警察に雇われて、女中となって働いていた。沢山な刑事が食堂にも、読書室にも、その他ホテル中にうろうろしていた。他のホテル、例えばグランド・ホテル、ノヴイ・ミールなど委員会の他の連中が宿泊しうそうなところにも同じような用心がされていたのである。
 委員団の連中が立ち寄りそうだと日本人が考えた主要な商店、料理店、一流の劇場には、店員、番頭、給仕、案内人として警察のスパイが全部配置された
 正確な数字をあげると、1361名の中国人、ロシア人、朝鮮人並びに9名の日本人が、リットン委員会に対し満州国に敵意ある宣伝を行う「虞れあり」との「嫌疑」をかけられて逮捕され、ハルビンを距たる6キロの、松花江の対岸にある孫北の収容所に容れられた。同様に、委員会が刑務所を参観したいと申し出ることも考えられたから、
全ての政治犯、すべてのロシア市民、英語または仏語の喋れる囚人は皆、刑務所から孫北の収容所へ移された。あらゆる病院についても同じ用心がされた。疑わしい患者は全部、委員会の人達が訪問しそうもない日本人の病院へ移された。
 次は、民衆が全部「満州国」に寄与していると委員会の人々に印象づけるように、民衆の随喜渇仰を捏造することであった。おびただしい「満州国」の小国旗と執政薄儀の安物の肖像とが、小旗は3銭程、肖像は2銭程で作製され、ハルビン在住の中国人、ロシア人、朝鮮人ばかりでなく、鉄道沿線の住民は全部この小旗と肖像とを各々1円で買わせられた。「小旗と肖像」1組を売り歩く商人隊は、いずれも中国人またはロシア人の商人1人と2人の日本人護衛兵と1人の日本人会計とから出来ていた。この商人隊は、家々を戸別訪問して強制的に一組ずつ買わせ、もし委員会の滞在期間中これを扉や窓に飾って置かぬと全家族を逮捕するぞ、と強迫した。2円の代金も払えないような極貧者は、15日以内に警察へ代金を持参せよと命ぜられた。

 ・・・

 150名以上の中国人と50名以上のロシア人とが、 ホテル・モルデンの付近をうろうろしていたというだけの理由で逮捕された。逮捕するぞと脅迫されて、親達は子ども達を示威運動や行列に参加するために、外へ出してやらねばならなかったし、子ども達は行列に加わって熱狂的な万歳を叫び、「満州国」の旗を振らなければならなかったのである。
 政府に雇われている中国人も、事務員も工場労働者も、起つことの出来る者は皆、中国人であろうとロシア人であろうと、「満州国」の旗を無理やりに買わされ、行列に参加させられた
そして誰も彼も、あらん限りの声を張り上げて、「満州国万歳」を絶叫せねばならなかったのである。

 
 http://www15.ocn.ne.jp/~hide20/ に投稿記事一覧表および一覧表とリンクさせた記事全文があります。一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。また、必要に応じて空行を挿入していることもあります。旧字体は新字体に変えています。青字が書名や抜粋部分です。赤字は特に記憶したい部分です。「・・・」や「……」は、文の省略を示します。 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« リットン調査団 目的は日本... | トップ | 関東軍謀略工作の暴露(ヴェ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事