Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

爆発

2014-06-03 01:00:00 | 雪3年3部(聞けない淳の本音~流出)
福井太一が目にした赤山雪は、青白い顔をしながら呆然とその場に立ち尽くしていた。



そのまま俯く雪に異変を感じ、太一が彼女に近寄る。ようやくプロレス技から逃れた横山もだ。

「雪さんどうかしたんスか?何かあったんスか?」



心配そうに顔を覗き込もうとする太一の横で、横山は雪が握っている携帯を取り戻そうと手を伸ばす。

そして次の瞬間、雪は大きな声を上げて横山に詰め寄った。

「ちょっとアンタ!このメールと番号何なの?!何がどうなってんのよ!」



痛いところを突かれた横山は、「さ、さぁね~」と言いながら雪から目を逸らした。

この電話の持ち主が誰であるか、横山も知らないのだ。

「アンタのでしょうが!今の女と何かあってグルになってんでしょ?!またちょっかい出しやがって!」



胸ぐらを掴んで揺さぶる雪に、横山は戸惑い必死に弁解した。

首を横に振りながら、そんなすぐにバレる嘘吐くわけがないじゃないか、と。



しかしそんな言い訳で納得出来る筈は無かった。雪は怒りの形相で尚も追及する。

「それじゃあ今の女の話を信じろっていうの?!先輩の彼女が他に居るっていう、そんな話ー‥」



雪がそこまで口にしたところで、横山は目を見開いた。

「は?」



そしてそんな横山の反応を見て、雪も目を丸くする。

まさか‥違‥



ハッと気がついた時には、もう遅かった。

横山はニヤリと口角を上げたかと思うと、大爆笑と共に雪に近寄る。

「ぶははは!マジでぇ?!その女がぁ?!」



横山は腹を抱えて笑い、「これで辻褄が合った」と言って一人で頷いていた。

雪が目を丸くしていると、横山はニヤリと笑って口を開く。

「お前その女の番号見たか?青田先輩と末尾以外全部同じじゃねーか。

俺から携帯奪って見たんだろ?ん?」




雪は何も言わず俯いた。横山は調子に乗り、尚もヘラヘラと笑いながら続ける。

「まさか青田先輩に携帯までオソロにする女が居たなんてなぁ~?

どうせ先輩とお前なんてちょっと付き合ってすぐ別れると思ってたけど。ま、当然っしょ」




そうだろ?と言って横山はケラケラと笑った。

しかし俯いた雪は、横山の言葉を遠く隔てた場所で聞いている気分だった。



前の見えない煙った世界で、鼓膜の裏に響くのは、先ほどのあの声だ。

電話越しの、女の声



初めは驚いたけど、それが誰であるかある程度はすぐにピンと来た。

”夕飯食べたのか?抜かずにちゃんと食べろよ” ”亮が帰って来たんだってば!”



ピンと来るものがあった。

初めて先輩と会った日、彼と電話していた女。一緒に映画を観に行った時、電話を掛けてきた女。



彼は「知り合いの女」と、その女についてさらりと口にした。それ以上は聞くなというオーラと共に。

しかしそれは後ろめたくてそうしてるのかと言えば、そうでない気がしていた。



自分の他に恋人が居るとか、それを内緒にしていたとか、その説はなにか違う気がした。

彼はそんな面倒なことをするような人間では無いのだ。顔の無い人々の間で沈み込むように佇む彼が脳裏に浮かぶ。

だけど‥



先輩に女が居るかもしれないという表向きの疑惑が問題なのではなく、その根本にこそ問題がある‥。

雪が拳を固めていると、横山は尚も面白がって話しかけて来た。

「あ~らら。我らが雪ちゃんはどうしちゃったのかなぁ~?

てかお前もマジでアイツに色々期待して付き合ってたワケじゃねーだろ?まっさかお前がその程度なんて‥」




べらべらと失礼なことを口にする横山に、太一が険しい顔で口を挟みかける。

しかし当の雪は俯いたまま、沈黙を貫いていた。



横山はその沈黙を図星だと捉え、ゲラゲラと癖のある声で笑って言う。

「えぇ~?何、マジで傷ついちゃった?そゆこと?!

てかさぁ、学科の奴らが本当は何て言ってるのかマジで知らねーの?」




横山は続けた。

皆表面上は”各学年の首席カップル”と口にして褒めそやしているが、実際は影でコソコソ悪く言っていると。



ニヤニヤと笑う横山から、雪は俯きながら顔を背けた。

そして黙っているのをいいことに、横山は雪に忠告をし始める。

「マージでんなことも知らねーでどうするよ?当事者が。

皆言ってんぜ、”赤山とどのくらい続くか。青田は赤山に合わせてやってるけどすぐ別れるだろう”ってな!」




横山は得意になってそれを口にしていた為、

雪の手から携帯が滑り落ちたことに気が付かなかった。



尚も続けようとする横山を見かねた太一が、

声を上げようとする。




その時だった。

導火線を伝った火は遂に爆弾まで達し、勢い良く爆発した。

炎を上げ煙を巻き、その衝撃は雪に衝動を与える。


ぅわあああああああああああ!!!!!



雪は力いっぱい横山の髪の毛を掴むと、「死ね」と言いながら両手でブンブンと左右に振り回し始めた。

横山の顔は苦悶に歪み、されるがままに振り回される。

「それで何なのよ、どうしろっていうの?!」



雪は心に渦巻く怒りのままに、横山を責め続けた。

「アンタこそちゃんと胸張って生きてるって言えんのかよ!この野郎!死ね!死ね!」



その雪の勢いに、太一も間に入れず戸惑っていた。

そしてようやく横山は雪の手を振りほどき、頭を押さえながら顔を上げる。

「このキ◯ガイ女‥!何す‥」



しかしそこで横山が目にしたのは、予想外とも言える表情の雪だった。

その顔は怒りというよりも、哀しみの色の方が色濃く映る。



横山は何も言えず、ただその場で突っ立っていた。

やがて雪は彼と太一に背を向け、そのまま去って行こうとする。



太一は慌てて雪の後を追いかけた。

そんな二人の姿を、横山はその場で見送っている。

「ったく‥マジ暴力的‥」



そう呟きながら二人の後ろ姿を見送る横山であったが、心の中に複雑な思いが芽生えるのを感じていた。

「フン!」



いい気味だ、と思う自分の他に、先ほどの雪の表情が胸に引っかかり気になる自分が居る。

しかし横山はとりあえず前者の方の思いに身をまかせ、携帯を拾うと意気揚々と大学を後にしたのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<爆発>でした。

遂に爆発ですね‥!

髪の毛掴んでブンブン、すごいですね‥。これで横山が◯ゲの一途を辿ってくれれば言うことなし‥。


次回は<流出(1)>です。


修羅場だ~



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