Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

布石

2014-06-30 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)
めでたく蓮と恵がカップルになったことを、

雪は自宅で勉強をしている時に知らされた。付き合うことになったと、メールが来たのだ。



まさか二人が‥と雪は思ったが、とりあえずお祝いメールを送っておいた。

小さい頃から喧嘩ばかりしていた二人が付き合うなんて、なんだか変な感じがする‥。



雪はメールを打ち終えてから、額の汗を拭って深い息を吐いた。

毎日色々なことがありすぎて、勉強に集中することが難しくなっている。

横山のことで巻き込んでしまっている聡美や太一にも、申し訳ない思いでいっぱいだ。



雪はパラパラとノートをめくりながら、それでも今日は何事も無く過ごすことが出来たと思い、ホッとする。

明日も平穏な一日であって欲しいと、静かに神に祈る。



雪は深く溜息を吐いた。視線の先には携帯電話がある。

先輩からの連絡は無い。携帯は震えも鳴りもせず、ただ沈黙している。



雪はどこか胸の内が騒ぐのを感じた。

静けさは、ギリギリの均衡を際立たせる



例えるならば、砂浜に築いた砂の城を前にしている気分だった。

波が来る前のほんの僅かな時間しか楽しめない、儚い砂の城‥。


明日何が起こるか、それは誰にも分からない。

大きな運命の歯車に私達は、為す術もなく回されるだけなのだ‥。




翌日、朝早くから赤山蓮は恵とA大の構内に居た。

こんなゴキゲンな笑顔を浮かべながら。



そのままニコニコして隣を歩く彼に、恵は言う。

「も~!何も朝から来なくたって‥」



少し困ったように口にする恵にも、蓮は「一緒に登校するのも楽しいっしょ」と言って嬉しそうだった。

地獄鉄‥ラッシュアワーの人混みで溢れかえる地獄のような地下鉄だって、二人一緒ならハッピーだと。

そのまま暫し二人が会話を重ねていると、後方から不意に名前を呼ばれた。

「蓮君?」



二人が振り返ると、彼は笑顔を浮かべて挨拶を口にした。

「やぁ、おはよう」



青田淳だった。

蓮は淳の顔を見るやいなやピッと姿勢を正し、深く頭を下げて挨拶した。

「わっ!淳さん!」 「久しぶりだね。大学に遊びに来たの?」

「あ、ハイッ!おはようございますっ!」



その超低姿勢の蓮に、恵は幾分呆れ顔だ。

今日はテストですか、と蓮が淳に質問すると、淳はレポートを出しに来たと言って微笑んだ。

明日はテストがあるよと続けて口にした淳に、蓮はファイティンと言ってエールを送る。



淳は蓮の隣に居る恵に視線を移すと、ニッコリと笑って挨拶した。

すると意識しまくりの蓮は、ビクッと身体を強張らす。



恵はそんな蓮に肘鉄砲を食らわすと、同じく笑顔で挨拶を返した。

二人のそんなやり取りを前にして、淳は不思議そうな表情だ。



気まずい思いでその場に佇む蓮の前で、暫し淳と恵は歓談した。

「君ら二人、幼馴染みなんだよね。朝から一緒に登校かぁ」 「はい、そうなんです。雪ねぇと一緒に小さい頃から‥」



しばし俯いていた蓮だが、決意を固めるとバッと顔を上げ、淳に向かって力強く宣言した。

「俺ら、付き合ってるんです!」



いきなりそう口にした蓮に、恵はビックリして息を飲んだ。淳も目を丸くする。

「昨日からっす!」「えっ本当に?」「マジっすよ!あれ?姉ちゃんから聞いてないっすか?」



その蓮からの問いに、暫し淳は固まったが、



すぐに笑顔を浮かべて口を開いた。

「朝から大ニュースだね」



淳は二人に祝いの言葉を述べた。お似合いだよ、と。

蓮と恵が礼を言って頭を下げると淳は頷き、授業があるからそろそろ行くよと別れの挨拶を口にする。

「そうだ。お祝いに今度ご馳走するよ。連絡してくれな」



その淳の提案に、蓮はバンザイをして喜んだ。

社交辞令じゃないっすよね?!と口にする蓮に、笑顔で首を横に振る淳。



そして彼は教室へと向かって歩いて行った。

淳の後ろ姿が小さくなるのを見届けてから、蓮はガッツポーズで口を開く。

「それじゃあ奢られようじゃね~の~!悩んだ分食べて取り返してやるぅ!」



悩んだといっても一日じゃないか‥。

恵は呆れながらそう返し、いい加減にしてと言って蓮をポカポカ叩いた。



カップルになったとはいえ、二人の雰囲気は今までと変わらない‥。





清水香織は、鼻歌を歌いながら構内を歩いていた。

テストを受けに行く為、教室へと向かう。



すると視線の先に、見慣れた後ろ姿があった。青田先輩である。

おそらく彼も自分と向かう方向は同じだろう。香織はオロオロし始めた。

で、出来るだけ足音を立てないように‥抜き足差し足‥



忍び足‥と心の中で思うより先に、彼は香織に気がついた。

心臓がドキリと跳ねる。



香織がうろたえていると、彼は行く先を指差して口を開いた。

「あ、同じ授業だよね?」



香織はバッグの持ち手をギュッと握り締めながら、二、三歩後ずさりをし、口を開いた。

「あ‥あ‥あ‥私はちょっと‥コンビニに‥」



そう小さく口にしてから、香織は逃げるように反対方向へ駆けて行った。

「え?そっちには‥」



淳は香織に声を掛けたが、彼女はそれを聞くことなく行ってしまった。

一度も淳の方を振り向くこと無く。



淳は一人で口角を歪め、嗤いながら、ポツリとその言葉の続きを呟いた。

「コンビニなんて無いけど‥」




上々だった。

今日の清水香織の反応は、先日彼女に下した警告が生きている証拠だ。



そして先ほど、新たに布石を打っておいた。

蓮と恵が付き合うことになったという、予想外だが好都合な事態が彼を動かす‥。



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<布石>でした。

この先輩のコート‥。



バー◯リー設定ですかね‥?

なんか色合いが‥ますます彼をおじさんにさせる‥orz


次回は<疎ましいライオン>です。


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