Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

カップル誕生

2014-06-29 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)
赤山蓮は、日が沈んでから外に出た。

しかしその表情は暗く、蓮は深く息を吐きながら頭をぐしゃぐしゃと掻く。



昨日目にした絵が頭から離れない。

恵のスケッチブックに詳細に描かれた、姉の彼氏の絵‥。






蓮は溜息を吐きながら、マンションの玄関前の階段を下りた。

するとそこに、腕組みした彼女が待ち構えている。

「今日は出て来たね?」



「昨日はシカトだったけど」



あのカフェでの一件以来、蓮はあからさまに恵を避けていた。昨日は恵の呼び出しがかかっても、彼はそれをシカトした。

しかしさすがに今日は無視出来なかったらしく、蓮は気まずい気持ちを押して出てきたのだった。

恵から目を逸らしながら頬を掻く蓮に、恵は正面からぶつかって行く。

「蓮、本当にどうしちゃったの?あたしが雪ねぇの彼の絵を描いてたからって、

なんでこんな風にぎくしゃくするの?」




蓮は目の前の恵から、唇を噛んで顔を逸らした。

心が揺れて、紡ぐ言葉が見つからない。



恵は蓮が考えていることを推測して、怒ったような表情で彼を見つめた。

後ろめたいことなど無いと、恵自身が一番良く分かっていた。



恵は沈黙する蓮に構わず、大きな声で自分の気持ちを口にした。

「そうよ!その通りよ!あの先輩を初めて見た時、めちゃめちゃカッコ良いと思ったよ!」



「けど芸能人に対して思うようにあの先輩の顔が好きだっただけで、

雪ねぇの彼氏に対してそういう感情抱くわけないでしょ?!あたしは雪ねぇに対して顔向け出来ないことをしたつもりはない!」




恵は蓮が、”雪ねぇの彼氏”に気があると誤解していることが許せなかった。

だから正面切って彼の目を見て、ハッキリと今本当の気持ちを口にしたのだ。

しかし蓮は、まだ彼女を信じられなかった。というよりも、そのことよりも気になっていることが蓮を憂鬱にさせていた。

「顔が気に入ったって‥それでもずっと描き続けてるってことは、

気があるってことじゃんか‥」




蓮は、恵が姉の彼氏‥もとい青田淳に気があることの方がショックだった。

彼の絵を描き、手元にずっと持っていることが、何よりもショックだったのだ。

恵は蓮の言葉とその態度に、少し苛立って言葉を続けた。

「違うってば!てかどうして蓮がこんなに不機嫌になるの?意味分かんないよ!」



恵はまだ彼の本心には気がつかない。

互いが持っている少し内容の違う誤解が、掛け違えたボタンのように噛み合わずぎくしゃくする。



そしてその恵の言葉を最後に、二人の間には沈黙が落ちた。

暫し立ち尽くした蓮は、彼女と目を合わせぬまま静かにこう口にする。

「てかさ、お前は俺が何でこんなに怒ってんのか分かんないだろ?

俺のことなんて何とも思ってないんだから」




その蓮の告白に、恵は目を見開いた。

彼の心を悩ませている問題が、今ようやく理解出来たのだ。



そう言ったきり「もう帰る」と、項垂れたまま建物の中へ戻ろうとする蓮だったが、

恵は彼の背中に向けて力いっぱいスケッチブックを投げつけた。



恵は怒ったように彼に背を向け、階段を下りながら振り返ってこう口にした。

「人の絵を勝手に見るんなら、最後までちゃんと見れば?!」



そのまま足早に去る恵の後ろ姿を目で追いながら、蓮は溜息を吐きつつスケッチブックを開いた。

そこにはやはり青田淳の絵が描かれている。

「だからこんなん見せられてどうしろって‥」

 

パラッ、と次のページを捲ると、

静かに微笑む青田淳の絵がまた描かれていた。



しかし次のページを捲って目に入って来たのは、

青田淳のようで青田淳でない人物だった。



そしてそのページ全体に視線を走らせた蓮は、はっと息を飲んだ。

そこに描かれている人物はまさに、自分だったのだ。



それは、恵の心の中を写し取った気ままなグラフィティーだった。

そして今その中心で微笑んでいるのは、他でもない自分なのだー‥。





蓮は走った。

スケッチブックを持ったまま、彼女が去って行った方向へ全速力で。

「キーンカーン!!」



恵の後ろ姿を見つけた蓮は大きな声でその愛称を呼ぶと、息を切らせて彼女に駆け寄った。

嬉しくて堪らないという表情で、スケッチブックを自分のその顔の横で翳す。

「この絵俺だろ?!俺だよね?!俺じゃん!!」



分かりやすくテンションの上がった蓮を前にして、

恵は無言でそんな彼をじっと見ていたが、やがてその手を軽く振り払ってこう言った。

「知らない!好きなように思ってれば?!」



フン、と言ってそのまま背を向ける恵の後ろで、蓮のテンションは更に上昇した。

この絵が自分であることを否定しない彼女の心の中心に、今まさに自分が居るのだ‥!



蓮は恵に駆け寄ると、彼女の周りをくるくると踊るように舞いながら話し掛けた。

「なぁなぁ!俺明日一緒に大学行ってもいい?試験期間だけどさ」



何度も返事を促す蓮に、恵は冷静な態度で一言口にした。

「いいよ」



蓮は心を踊らせながら、もう一度恵に確認する。

「マジ? マジでいいの?」



恵は少し微笑みながら、再びこう口にする。

「うん。いいよ」



いい、には「好い」という意味もある。

蓮は恵の口にした言葉の中にそのニュアンスを汲み取って、ガッツポーズで喜びに震えた。



そして二人は肩を並べながら、秋の夜道をゆっくりと歩いた。

蓮は未来の約束を次々と口にし、恵はそれに笑顔で頷く。

「そんで晩飯も一緒に食おうな!お前の好きなもん食いにいこ!」

「そうだね」

「試験終わったら遊園地行こうぜ。それから映画見たいのあんだ。一緒に行こ?」

「うん」



やむを得ない事情から、(仮)のカップルだった恵と蓮は、今日晴れて正式なカップルとなった。

二人の間を阻んでいた誤解も括弧も消え去って、二人は互いに笑顔を浮かべ共に歩く。


これから先に楽しいことが沢山待ち受けていると思うと、蓮の心はウキウキと踊るようだった‥。



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<カップル誕生>でした。

(仮)が外れましたね~^^おめでとう蓮と恵!


そして今回の肝となるここ。



恵は「チョアヨ」と言っています。

この「チョアヨ」は「良い、好き」という意味で、ここではWミーニングになっています。

蓮の提案に「良いです」という意味と、「好きよ」という意味ですね。

記事では直訳のままにしましたが、意訳するとこんな感じだと思います↓

・・・・・・・・・・・・・・

蓮は恵に駆け寄ると、彼女の周りをくるくると踊るように舞いながら話し掛けた。

「なぁなぁ!俺明日一緒に大学行ってもいい?試験期間だけどさ。

一緒に登校とか、お前楽しくって好きだろ?」




何度も返事を促す蓮に、恵は冷静な態度で一言口にした。

「うん、好きよ」



蓮は心を踊らせながら、もう一度恵に確認する。

「マジ? マジで好き?」



恵は少し微笑みながら、再びこう口にする。

「うん。好きだよ」



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やはり「好き」という言葉が出ると、その後の蓮のガッツポーズの喜びがより伝わってくる気がしますよね。

皆様はどちらがお好きですか~^^


次回は<布石>です。


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