夢七雑録

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32.気仙沼から一関へ

2008-09-19 21:37:06 | 巡見使の旅
 江戸幕府が奥州方面に派遣した巡見使の旅を、連載形式で投稿しておりますが、その旅も宮城県に入りました。その後、また岩手県に戻りますが、一関を経て再び宮城県に入り、石巻、仙台を経て、福島県へと向かいます。

(131)享保2年8月9日(1717年9月13日)、半晴。
 気仙沼では、うなり穴を見物。太田山、青野木山などを眺めつつ、赤岩から松崎に出る。海中に大島村ありとし、亀山の権現社について記す。岩月、最知、長磯、岩尻、大谷を経て津谷[本吉町]で休憩。御在所山と薬師堂、御岳山と蔵王権現などを記す。ここから、海沿いの道を離れ、山田、馬籠を経て狼河原[東和町米川]で泊まる。行程は十里である。

 この日は多くの古舘、城址を見聞きしている。気仙沼では熊谷図書の細浦舘と熊谷長門の新城館、松崎では熊谷左近将監の八幡舘と相見兵庫屋敷、岩月では熊谷式部の八幡舘、最知では阿部太郎左衛門の猿喰館と中舘、岩尻では米倉玄蕃の森舘、津谷では米倉八左衛門の館、山田では山田対馬の八幡舘と芳賀薩摩の要谷舘、馬籠では千葉宮内左衛門の館、狼河原では米谷修理の鳩岡舘である。

(132)同年8月10日、晴。
 狼河原を出立。郡境の七曲峠を越え、藤澤で休憩。奥村隼人の居城ありとし、また岩淵近江守城跡と記す。藤澤からは千厩に出て泊まる。途中に古舘ありと記す。また、千厩に昆野右馬頭の古館、黄海に千葉近江の古舘ありと記す。この日の行程は五里余である。

(133)同年8月11日、雨天、暮れより雷雨。
 千厩から濁沼に出る。柴下総守古館ありと記す。綱木坂を越えると寺沢。小峠を越えると仏坂。そして枯木坂を越えた松川で休憩。長坂から、なら坂を越えると相川。小屋舘という古舘ありと記す。とうかく峠を越えると小嶋。小嶋三右衛門の平山城跡ありと記す。そのさき長部に出て、北上川を船で渡る。柳御所跡、無量光院跡、衣関跡、弁慶堂などを見物して、中尊寺に泊まる。この日の行程は五里半であった。

(134)同年8月12日、晴。
 中尊寺を参詣。光堂をはじめ境内の堂宇を見て回り、数々の宝物を拝観する。そのあと平泉に出て毛越寺を訪ね、達谷に出て休憩。ここで達谷窟を見る。達谷の内に阿久根日向守の古館、平泉の内に秀衡伯父の城跡ありと記す。達谷から小野寺修理の館跡のある中里、山の目を経て、田村下総守の城下、一関に出て泊まる。この日の行程は五里半。田村下総守が、旅宿へ御見舞のため訪れている。

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