地下鉄赤塚駅の1番出口を出て直ぐ左側の、地元で鎌倉古道と呼んでいる道をたどる。旧鎌倉街道は一般に上道、中道、下道に分けられるが、その支道という扱いになるだろうか。踏切を渡ると道は右へと曲がっていき、赤塚中央通りに出る。ここを左に行き、その先の角を左に入る。道は右に曲がっていき、福祉園の辺りからは下り坂となるが、ふれあい公園の先で突き当りとなり、古道は途切れてしまう。ここを右に次の角を左に行くと、暗渠になった前谷津川の上の遊歩道に出る。ここを横切って進み、突き当りを左に行けば古道の続きに出られるが、その前に右へ折れて大堂を見に行く。
大堂は兵火にかかって衰退してしまったが、梵鐘の銘に歴応3年(1340)とあるように古い寺であり、南北朝の頃には七堂伽藍を備える大寺であったと伝えられる。遊歴雑記には下練馬村街道から北に真っすぐ10町余、西角の小高い処に大堂があると書かれているが、江戸名所図会の挿絵に描かれている、大堂の東側を回り込んで松月院の門前に出る道を通ったと思われる。現在の道で言えば赤塚中央通りを通ったという事になるだろか。
大堂の前の道を戻り、泉福寺の先を右に折れて坂を上がる。ここからが古道の続きとなる。松月院通りを渡って先に進むと、庚申のお堂のある三叉路に出るが、昔の松月院の境内はこの辺りまであったらしい。今は道も変わってしまったが、そのまま進めば東京大仏通りに出る。左側すぐの東京大仏前の信号を右に入るのが古道のルートで、諏訪神社の西側を北に進み崖線を下って早瀬の渡しに出ていたと言うが、今は道をたどるのが難しくなっている。
古道とはここで別れ、坂を下っていくと左側に乗蓮寺の入口が見えて来る。そのまま坂を下って、不動の滝を右に見て進めば赤塚溜池に出られるが、ここでは左の道に入り、乗蓮寺は後で入る事にして先に区立赤塚植物園に行く。梅に誘われるように先に進み、日本庭園の見本園に入って、中を見て回る。
植物園内を散策するが、春まだ浅いせいか、咲いている花は少ない。芝生広場に上がって小休止し、それから、道一つ隔てた万葉薬用園の中を一巡りしたあと、正面入口に戻る。植物園を出たあと、乗蓮寺の塀に沿って坂を上がる。
坂の上に乗蓮寺の入口があり、東京大仏が姿を現す。もともと、乗蓮寺は板橋宿にあって鷹狩の際の御膳所(休息所)でもあったが、昭和52年にはこの地に移り東京大仏を建立している。中に入り、大仏と本堂に頭を下げ、それから暫し寺の池を眺める。乗蓮寺の場所は赤塚城の二の丸(あるいは出丸)跡とも言われているが、それらしい遺構は見当たらない。
乗蓮寺を出て塀に沿って寺の裏手に回ると、右側に公園のような区画があるが、ここは都立赤塚公園城址地区の一部になっている。ここから左に坂を下り、右に折り返すように下っていくと、坂の途中に左前方に上がる坂がある。この坂を上がって行くと梅林に出る。この梅林の場所に赤塚城の二の郭があったという説もある。
梅林を抜けると広場に出るが、ここが千葉自胤の居城であった赤塚城の本丸跡と言われている。赤塚城は谷が深く切り込んで三方が崖のようになっており、北方は徳丸が原の湿地帯で、守るには向いていた城と思われる。江戸名所図会には空堀の跡がそのままに残り、迂城(出丸)や内城(本丸)と思われる場所には濠の形があり水を湛えているとあるが、現在は空堀の跡らしき場所があるだけである。
赤塚城址の広場を下りると溜池があり、その傍らに区立郷土資料館がある。入場無料という事なので展示を見て回る。屋外展示に行くと左側に納屋があり、正面の民家では雛人形を展示していた。
釣り人の居る溜池の周囲を歩く。その南側は梅林になっていて、梅まつりが開催される予定になっている。水の無いトンボ池を横目に先に行くと区立美術館がある。溜池とその周り、区立郷土資料館や区立美術館を含むエリアは板橋区の赤塚溜池公園になっているが、都立赤塚公園の城址地区とは一体の公園のように見える。
区立美術館の横を通って南に向かい、美術館入口の交差点で左に折れて坂を上がる。新大宮バイパスの上を渡って竹の子公園に向かうが、鎌倉古道はこの辺りを南北に通っていたと思われる。竹の子公園の隣は諏訪神社で、ここから先は下り坂となる。坂の下、左側の崖線下の公園は、都立赤塚公園の大門地区になっている。高島大門の交差点を渡って北に進めば新高島平駅に出るが、今回は東側の赤塚公園沖山地区を歩く。
赤塚公園沖山地区は緑が多い散歩道ではあるが、車の騒音だけは煩わしい。次の信号から先、赤塚公園は番場地区、徳丸が丘緑地地区と続くが、またの機会にという事にして左に折れ、赤塚公園の中央地区に沿って歩く。この地区にはスポーツ施設やバーベキュー広場があり、赤塚公園では中心的な区画になっている。北に進み高島平緑地公園を左に少し歩いて歩道橋を渡れば、新高島平駅である。
<参考資料>「いたばしの古道」「赤塚植物園リーフレット」「日本城郭大系」「遊歴雑記」「江戸名所図会」「今昔マップ」ほか各種地図。