夢七雑録

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池袋駅周辺の4公園めぐり

2020-10-10 11:10:08 | 公園・庭園めぐり

豊島区は、2014年に民間有識者組織から消滅可能性都市の指摘を受けたことを踏まえ、その脱却を目指して国際アート・カルチャー都市としての都市像を実現するべく取り組むことになり、池袋駅周辺の4公園を文化交流の舞台と位置づけ、賑わいと人の流れを広げるまちづくりを進めることになった。4公園とは、池袋西口公園、中池袋公園、イケ・サンパーク、南池袋公園の4カ所である。

(1)池袋西口公園と東京芸術劇場

池袋西口公園は、東京学芸大学(旧豊島師範)の附属小学校跡地に1970年に開園した公園で、池袋駅西口から近い所にある。1990年、この公園内に東京芸術劇場が開館した時、公園も一体として整備され、噴水と彫刻のある公園として親しまれていた。東京芸術劇場には大中小のホールがあり、そのうち、大ホールには世界最大級のパイプオルガンがある。東京芸術劇場は2011年から改修工事が行われ、その翌年にリニューアルオープンしている。

東京芸術劇場内には展示スペースもあり、5月に開催される回遊美術館では会場の一つになっている。写真は2016年の回遊美術館の際にB1のロワー広場に展示された巨大バルーンこけしである。

2002年、池袋西口公園に屋外ステージが寄付され、2004年には開閉式のルーフが作られ、雨天でも演奏が出来るようになった。上の写真はジャズフェスティバルで会場として利用されていた時のものである。

2019年11月、池袋西口公園はクラシック音楽のコンサートや演劇に対応した野外劇場、「グローバルリングシアター」へと変身を遂げ、フルオーケストラに対応するメインステージのほか、大型ビジョンとサウンドシステムが備えられ、GLOBAL RINGと呼ばれる、らせん状の巨大リング型モニュメントが設けられた。よく見るとリングは五線譜のようになっていて、ここで演奏された音楽は、リングによってらせん状に上昇し世界へと広がってゆく、そんなイメージをいだかせる。

もとの公園にあった大噴水は消滅したが、グローバルリングの中央に小さな噴水として復活している。昔、この公園の辺りに、池袋の名の由来ともいう丸池という池があったが、この噴水はその池の湧水を表現しているらしい。噴水は定時に噴出するようになっているが、音楽とも連動するという。

グローバルリングの下には案内所を兼ねるグローバルリング・カフェが設けられている。また、カフェの裏手にはトイレも整備されている。この公園は世界に向けての文化発信拠点であると同時に、災害時の情報発信拠点でもあるようだ。

 

池袋西口公園から中池袋公園に歩いて行くには、池袋駅の地下街を通る方法もあるが、駅北側の歩行者専用の雑司ヶ谷隧道で線路の下を通る方が近道になる。この隧道の開通は1925年に遡るが、1986年の改修後はウィロードと呼ばれるようになった。以前は暗い道であったが、2019年の改修で色鮮やで明るい道になり、通る人も増えている。ウィロードから先は明治通りを渡って東に向かい、次の交差点を渡って左手直ぐの角を右に入れば中池袋公園に出る。

 

(2)中池袋公園

中池袋公園は1950年に区画整理事業で誕生した公園で、2018年から改修工事が行われ、砂地舗装を平坦な石張りの舗装に変えるなど、各種イベントに対応できる公園として、2019年10月に一般開放された。また、アニメの聖地・池袋の発信拠点とすべく、公園内にアニメイト・カフェを設置している。

旧豊島区役所の跡地などの再開発により誕生した、ハレザタワーとブリリアホール(芸術文化劇場)及びとしま区民センターは、前庭となる中池袋公園を含めて、ハレザ池袋(Hareza池袋)と呼ばれている。ハレザは、非日常を体験できる「ハレ」の場と、多くの人が集まる場所を示す「座」という言葉を合わせた造語で、様々な文化の賑わいを発信する舞台という意味合いを持たせているようだ。ブリリアホール及びとしま区民センターは2019年11月のオープンだが、ハレザタワーは2020年7月のオープンとなる。上の写真(2020年9月)は中池袋公園側から見たもので、左側からハレザタワー、ブリリアホール、としま区民センターであり、公園と合わせてハレザ池袋ということになる。

2019年11月から池袋駅周辺をめぐる小型の電動バス、IKEBUS(イケバス)が運行を始めている。Aルートは池袋駅の東側、Bルートは池袋駅の西側と東側を回るようになっており、写真は中池袋公園付近を通るAルートのIKEBUSである。IKEBUSには赤色のものが多いが黄色のバスもある。

 

(3)豊島区役所庁舎の移転とハレザタワー

豊島区役所の旧庁舎(豊島区東池袋1-18)は免震工事が行われていたため東日本大震災でもさほど被害は無かったものの、建物自体が老朽化し防災拠点としては難があり、手狭でもあったので建て替えが検討された。問題は費用の点で、これを解決するため日出小学校跡地を活用してマンション一体型の庁舎とし、財政負担無で新庁舎を建てることになった。上の写真は2016年の旧庁舎の解体工事の様子で、この旧庁舎の跡地に建てられたのが、ハレザタワーである。

写真は2019年のハレザタワーの状況である。まだ工事中で、豊島区役所の新庁舎への案内表示もされていた。

2020年7月にハレザタワーがオープンした。7階以上はオフィスで、6階以下にシネマコンプレックスとシネマプラザが設けられた。写真はシネマエントランスで右側に道路の上をまたいでブリリアホールとの間に設けられた連絡通路が見えている。

ハレザタワーは地上33階158m。写真はサンシャイン60ストリート側から眺めたハレザタワーである。

 

(4)芸術文化劇場(ブリリアホール)と区民ホール

豊島区には戦前にも公会堂があったが空襲で焼失していた。戦後の復興が進むにつれ豊島公会堂建設の機運が高まり、区民の寄付もあって1952年2月に着工の運びとなり、徹夜の工事の末、この年の11月に豊島公会堂はオープンした。この公会堂は、式典や公演、集会、歌謡ショー等のほか、芸能会などにも使われていた。上の写真において、手前の建物が豊島公会堂で、その向こうの建物が豊島区民センターになる。豊島公会堂の跡地に建てられたのが豊島区立芸術文化劇場(ブリリアホール)で、豊島区民センターの跡地が、としま区民センターとなる。

豊島公会堂は2016年2月で閉館し取り壊されることになり、その前に一般公開されていたので入ってみた。写真は上から順に、公会堂2階の通路、2階席から見下ろした舞台、客席から見た映写室である。

映写室には35mm映写機(上側の写真)が2台設置されていた。また左右のピンルームには演者の動きに合わせて光をあてるピンスポットライト(下側の写真)が各1台設置されていた。

写真は上から順に、出演者や関係者が利用していたと思われる公会堂内の階段、地下に設けられていた畳敷きの楽屋、小道具の置き場である。

2016年、豊島公会堂は解体され、その跡地に建てられたのが、豊島区立芸術文化劇場(ブリリアホール)で、2019年11月に開館している。

一方、1969年に建てられた豊島区民センターは、老朽化が進んでいたため改築が検討されたが、結局、裏手にある生活産業プラザと合築することになり、2016年に閉鎖。2019年11月に、としま区民センターとしてリニューアルオープンしている。なお、ブリリアホールと区民センターの間は道路上をまたぐ連絡通路によって結ばれている。

 

中池袋公園のあるハレザ池袋から、サンシャイン60通りに出て左に行き、東急ハンズの先のエスカレーターを下り、サンシャインシティの地下街を歩いて、サンシャインシティ東側1階のバスターミナルに出る。その東側一帯は造幣局東京支局の跡地で、区営グランド前の交差点を渡り、跡地に沿って東に向かえばイケ・サンパークに出る。

 

(5)イケ・サンパーク

サンシャインシティの東側に造幣局東京支局があった。写真はその入口で、敷地の北東側にあった。2016年10月、支局はさいたま市へと移転した。

写真は造幣局東京支局の裏口で、ここを入ったところに造幣東京博物館があった。入館は無料で、大判小判のほか造幣局製造の貨幣や勲章と褒章を展示していた。また、予約制で工場の見学も行うほか、秋には造幣東京フェアを開催していた。なお、造幣東京博物館については2016年6月に閉館になっている。

造幣局跡地については防災公園とするとともに、跡地の西側に東京国際大学を誘致し(2023年開学予定)、サンシャインシティと連携したイベントの実施などによる賑わいの創出にも取り組むこととしている。写真は跡地の工事の様子で、上側の写真は2020年1月の工事の状況、下側の写真は2020年3月の工事の状況を示す。

造幣局跡地の東側は、としまみどりの防災公園、通称イケ・サンパーク(IKE・SUNPARK)として、2020年7月にプレオープンしている。上側の写真は北東側の入口で、造幣局東京支局時代の入口に相当し、桜も両側にある。下側の写真は公園の南側でカフェとなる予定の建物が見えている。

旧豊島区民センターの隣にあった池袋保健所は、2019年10月に造幣局跡地に移転している。その建物は、イケ・サンパークの南側の道を西に行ったところにある。

 

池袋保健所の先の交差点を左に行き、グリーン大通りを渡って右に、道路の工事現場を左に入ると、豊島区役所新庁舎が入っているビルがある。

 

(6)豊島区役所新庁舎

豊島区役所の新庁舎が入る建物は地下3階地上49階で、高さは189m。有楽町線の東池袋駅には地下通路が通じている。建物の呼称は「としまエコミューゼタウン」で、豊島区の新庁舎は1階の一部と3~9階、マンションは11階~49階を占めている。10階は免震装置などがあり豊島の森と呼ぶ屋上庭園がある。施工は大成建設。設計・監理は日本設計が担当し、外観デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所が、ランドスケープデザインはランドスケープ・プラス社が担当している。この建物の着工は2012年2月で、2015年3月には落成式が行われ、同年5月7日には新しい豊島区役所が開設している。写真は2015年3月のものである。

2015年3月25日に見学会があったので行ってみた。建物の1階入口は4カ所あり、入ると1階から9階まで吹き抜け空間になっているアトリウム(建物内の空間空地)に出る。その近くには、豊島区の事業や区民の活動のための多目的ホールとして利用される「としまセンタースクエア」がある。区役所に用事がある場合は、エレベータかエスカレータで上がることになるが最初は分かりにくい。そのため1階には区役所の総合案内所も設けられている。

エレベータで上がって、上からアトリウム内を見下ろしてみる。庁舎内部の自然採光と自然換気を可能にするため吹き抜けのアトリウムを設けたという。

庁舎の3階と4階は、区民の利用が多い窓口サービスゾーンで、3階の総合窓口と4階の福祉総合フロアからなる。また、庁舎の5階は災害対策センター、6階と7階は事務室、8階と9階は区議会ゾーンになっている。3階から9階までの回廊状の通路には、回廊ミュージアムと呼ぶ美術作品などの展示空間が設けられている。

10階は庁舎の屋上に相当し、免震設備が設置されるほか、豊島区の昔の自然を再現した豊島の森と呼ばれる屋上庭園が造られている(写真は2015年3月)。

写真は南側から見た「としまエコミューゼタウン」の全体像で、2020年9月の撮影である。豊島区役所新庁舎の横を通るのは環状5の1号線で、明治通りの池袋駅付近の混雑を解消するためのバイパスだが、工事はまだ続いている。

 

(7)南池袋公園

豊島区役所新庁舎から西に行き、本立寺の北側の道を西に行くと南池袋公園に出る。1951年に区画整理事業で出来た公園であったが、公園の地下に東京電力が地下変電所を設置することになり、それに合わせて公園の改修と地下駐輪場の設置が2009年から進められ、改修を終えた2016年にリニューアルオープンしている。

この公園の魅力は広い芝生だが、公園の西側には桜も植えられ、花見を楽しむことも出来る。園内の北西側は少し高くなっていてサクラテラスと呼ばれている。

公園の南側はキッズテラスと呼ばれている。ここには、アートでもあり玩具にもなるリボンスライダーと呼ばれるすべり台がある。

公園の北側には、芝生地に臨んで、ラシーヌ・ファーム・トゥ・パークというカフェレストランがある。

カフェレストランの西側は多目的広場になっている。この公園内ではどこからも、豊島区新庁舎が入っている、としまエコミューゼタウンの建物が見える。南池袋公園からグリーン大通りに出て左へ行けば池袋駅東口に出られる。

 

 

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