東京港野鳥公園(大田区東海3-1)には、これまで何度か行ったことがあるが、感染が落ち着いている今のうち、久しぶりに出かけてみることにした。持参するのはコンパクトな双眼鏡とコンパクトカメラ。まともな野鳥写真は無理でも、晩秋の野鳥公園の景色ぐらいは何とか撮れるだろう。公園への最寄り駅は東京モノレールの流通センター駅だが、多少遠くても、大井競馬場前から大井ふ頭中央海浜公園内を歩くルートがお勧めである。
港野鳥公園の前の道路は、都道316号・318号(環七)で交通量も多いが、公園内に入ると、その音も遠のいて公園は野鳥たちの領分となる。管理事務所は入口から坂を上がったところにあり、ここで入園料を支払って野鳥たちの様子を見に行く。管理事務所の前には竹が置かれているが、滅多に咲かない竹の花を展示しているらしい。この地が埋め立てられたのは1960年代なので、120年を待たずに竹は花を咲かせたことになる。
管理事務所から東に行くと、すぐに広い芝生広場に出る。ここで弁当を食べるのも良く、2m間隔を開ければ遊ぶことも出来る。雨が降ってきたら、屋根付休憩舎で休んでもいい。
この公園は東園と西園に分かれていて、いそしぎ橋の東側が東園となる。その橋を渡りかけたとき、羽田から飛び立った飛行機が見えた。港野鳥公園は羽田空港から間近な位置にあるが、空港のすぐ傍にあるこの公園は、野鳥にとってはどうなのだろう。
いそしぎ橋の南側には大田市場が見える。北側を見ると鉄道線路があった。地図によると線路は 東海道貨物線で、いそしぎ橋から先は地下となり大田市場から昭和島の下を抜け、羽田飛行場の西側を抜けて天空橋の先で多摩川を潜って川崎に向かっているようである。
いそしぎ橋から先、東園の道を歩く。東観察広場を過ぎて、ネイチャーセンターに行く。2階と1階の観察ロビーから全景を眺めたあと、地階の干潟遊歩道に出て潮入りの池を見る。
ネイチャーセンターの外に出て広場から北側の東淡水池を眺める。野鳥の姿を探すが、間近にはあまり見られない。
2号観察小屋に立ち寄ったあと、1号観察小屋に行く。2号観察小屋のある北側を眺め、それから東側を眺める。ホシハジロだろうか、群れが見える。
前浜干潟観察デッキに行く。オオバンが近くまでよってくる。オオバンの数は最近、全国的に増えているらしい。
もと来た道をネイチャーセンターまで戻り、来た時とは別の散歩道を通って、いそしぎ橋を渡り、管理事務所を過ぎて、西園の自然生態園に行く。
自然生態園の北側に自然学習センターがある。自然観察会などのイベントで使われる場所ということだが、建物は周辺の景観に溶け込んでいるように思える。
自然生態園には雑木林の中を小川が流れている。広くはないが田んぼもあって、植え付けから収穫までのイベントも行われているらしい。ここは、野鳥のほか、昆虫など自然の生態を観察する場所でもあるのだろう。
西園には西淡水池がある。3号観察小屋に行き池の様子を眺める。ここまで来たところで、そろそろ時間切れ、帰らなければならない。次回、来るときには、もう少し時間をとって、園内をじっくり見て回りたい。
東京港野鳥公園はユニークな公園である。この場所は広大な干潟だったところを埋め立てた土地で、水たまりや原っぱに集まってくる野鳥の保護を訴える声がきっかけで、この公園が造られたという。ここには、池や原っぱ、雑木林や干潟などが再現され、野鳥を始めとして生物が生息しうる環境が整えられている。現在、この辺りには、倉庫など物流関係の施設が集まっているが、この公園内だけは、人工的とは言え、自然が存在している。