昭和という時代には流行していたが、やがて衰退してしまった昭和の遺品の一つにLD(レーザーディスク)がある。LDとは、映像や音声の電気信号を微少な凹凸として円盤の上に記録するビデオディスクの一種で、直径30cmのものが主流だったが、後に直径20cmの円盤も使われるようになった。当初、映像や音声はアナログ信号を記録していたが、音声信号については後に、コンパクトディスク(CD)と同様にディジタル信号として記録することが可能になった。レーザーディスクが登場したのは1970年代のことで、国内では1981年(昭和58年)にパイオニアがLDプレーヤーを発売したのが最初である。
1984年にはCDとLD兼用のプレーヤー、CLD9000がパイオニアから発売された。当時、レコードからCDへの切り替えを検討していた事もあり、価格は少々高かったが思い切って購入した。LDはレンタル禁止だったので、LDを多少なりとも買いそろえないと、LDプレーヤーを購入した意味がなかった。最初のLDは、LDプレーヤーと同時に買い求めた「スターウオーズ」で、結局、シリーズ三部作(旧)をLDで揃えることになった。ただ、LDが安くはなかったのと、当時はTVで度々映画が放映されていた事もあって、映画の多くはビデオテープ録画にまかせるようになり、LDとしては、放送の機会が少ないものや、繰り返し試聴する事の多いオペラやミュージカル映画などが中心になった。
CLD9000はCD兼用機だったが、後にCDプレーヤを購入してからは、LD専用機として使用した。1989年には両面再生が可能なCL909(上の写真)に買い替えたが、結局、この機種を最後まで使い続けることになった。1996年になるとDVD規格が登場してDVDへの移行が始まり、2006年にはLD盤の製造が中止となり、2009年になるとLDプレーヤーも生産終了となる。そして、2012年には使い続けてきたCL909が故障した。中古のLDプレーヤーへの買い替えも考えたが、LDの盤自体にも寿命があることから、あきらめた。かくて、30年近いLDとの付き合いも、これにて終りとなった。