30年前の初夏、黒姫山麓で撮影したテープを使ってBGV(環境ビデオ)を作りました。
環境ビデオという言葉はもう死語ですが、80年代に日米で同じ時期に始まった映像手法。
日本では故 新井満氏が先駆者です。
通常の映像手法を無視、固定したカメラで延々と撮影する画期的な方法でした。
当時の専門誌でBGVを知って、これは自分もやってみようと挑戦し、
数年に渡って100本を超えるテープが手元に残りました。
そのほとんどは YouTube に「映像による絵画のためのフリー素材」の形でそのままアップ。
その中の一本で改めて作ったのが今回の作品です。
30分間坦々と続くリアルタイムの映像に今回は厳選したBGMを入れてみました。
この草原はそれ以前に開墾されてそのまま放置されたと聞いた記憶があります。
一面に草に覆われ、その中に一本の砂利道。
脇にタニウツギが自生していました。
上空は厚い雲が南風に流れ、時折りその隙間から日が射して草原を這い、
砂利道をスポットライトのように照らし、
私を草原の向こうに誘っていました。
一時期観光業者がこの空間に目を付けたことがあったそうですが地権者が了解しなかったとも聞きました。
現在、この草原は再び開墾されて一面の蕎麦畑です。
30年前、ここは何度も訪れましたが、今にして思えば絶妙の時期でした。