ゆるい感じで。

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林檎ジャム(ガウリナ)

2020-11-22 21:10:31 | スレイヤーズ二次創作
どもですあきらです~。
本日の800字です。11月22日でいい夫婦の日!という事で、無自覚夫婦なガウリナと、友情出演ゼルアメです。旅の一コマ。

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「ガウリイ、見てよこれ」
「お、どうした?」
 旅の道中。さっきまで露天商と食料品の値段交渉をしていたリナは、隣の店の前で暇を潰していたオレに嬉しそうに声を掛けてくる。彼女の抱えた紙袋は、重たそうにパンパンに膨らんでいて。
「へへーん、良いでしょ。店のおっちゃんにオマケでこんなに貰っちゃった」
 得意げに広げられた袋の中身を覗き込めば、そこには赤くつやつやと輝く果物がいくつも詰まっている。――林檎だ。
「おお、旨そうだなあ。おっちゃんに感謝しないとな」
 リナに一体どれだけ値切られたのか。ちらりと見た店主の人の良さそうな顔を思い浮べながら、オレは袋に手を突っこんで一つ取り出して。そしてそのまま齧りついた。
「お、旨い」
「……って、ちょっと! なーに勝手に食べてんのよ」
「良いだろちょっとくらい。こんなに沢山あるんだから」
 歯ざわりが良く、噛めばしゃりしゃりと音がする。そして、たっぷりと詰まった蜜が甘い。これは上物だ。
「そーだけど、これはあ、た、し、が、貰った林檎なのよ。一言許可くらい貰ってから食べるのが筋ってもんでしょーがっ!」
 ジト目で指を突きつけてくるリナは、むすりと頬を膨らませていて。
「はは、そりゃ確かに。すまんかった」
「分かればよし。……って事で、これ使って林檎ジャム作る事にしたから、貴方も手伝いなさいよね」
「はいはい」
 既に今日泊まる宿の部屋は人数分確保している。キッチンでも借りるつもりだろうか。ジャムなら保存もきくし、パンだけでなく焼き菓子に合わせても美味い。
「ガウリイは皮むきと鍋のかき混ぜ係ね」
 にっと笑って。そう言うリナにオレははっとする。
「それほとんどやる事全部じゃないか!?」
「勝手に一個食べた罰よ罰」
「リナぁ~~っ」
 一体いくつの林檎の皮を剥かされるのか。駄賃代わりにもう一個食べてしまおうか。そんな事を考えるオレを後目に、リナは機嫌よく歩き出すのだった。

     *

「……あれで恋人同士じゃないってんですよ。どう思います?」
「知らん。俺に振るな……」
 ――林檎をめぐって騒ぐ男女を陰から眺めながら。そうぼやく男女が居たとか居なかったとか。



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